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愛しの猫耳メイドさんの秘密の世界線 シーズン02 第3章2節:再会と騎士団長の言い訳



#本編 #シーズン2


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第3章2節:再会と騎士団長の言い訳

天空都市は、美しい白亜の街並みとは裏腹に、張り詰めた空気に満ちていた。 街行く人々は皆、地下の民への敵意を瞳に宿し、武装した兵士たちが至る所を巡回している。


「…これは、思った以上に根が深い問題のようだな」


ご主人様の言葉に、ミミとリリアナも、神妙な顔で頷いた。 三人は、情報収集のために、天空の民の騎士団が駐屯する詰所へと向かっていた。


詰所の扉を開けると、その中心に、燃えるような赤い髪をポニーテールにした騎士団長・エリスがいた。


「ご、ご主人様!? なぜ、あなたがこの場所に…!?」


騎士団長としての威厳も忘れ、エリスは、ご主人様の元へと駆け寄った。


「久しぶりだな、エリス。相変わらず、勇ましい姿だ」


「からかわないでください! …いえ、お会いできて、本当に…本当に、嬉しいです…!」


エリスは、込み上げてくる感情を必死に抑えながらも、その声は、微かに震えていた。 彼女は、この絶望的な状況の中で、ずっと一人で戦ってきたのだ。


「…少し、二人で話せませんか? 私の部屋へ…」


エリスは、ご主人様と、そして、その後ろに立つミミとリリアナを、自室へと招き入れた。


エリスの部屋は、騎士団長らしく、質実剛健とした、簡素な部屋だった。 机の片隅に、ご主人様からもらったであろう、古びたお守りが、大切そうに飾られている。


「…単刀直入に言います。このままでは、天空の民と地下の民は、全面戦争に突入します」


エリスは、苦渋に満ちた表情で、現状を説明した。彼女自身は和平を望んでいるが、立場がそれを許さないのだという。


「…すみません、暗い話ばかりしてしまって。せっかく、ご主人様が来てくれたというのに…」


エリスは、ふっと、寂しそうに微笑んだ。 その姿を見たご主人様は、悪戯っぽく笑った。


「…なるほどな。それじゃあ、エリス。俺と、**『公開お仕置き宣言じゃんけん』**をしないか?」


「…え…?」


「まず、お前が俺にされてみたい『お仕置き』を宣言する。そして、じゃんけんで、わざと俺に負けるんだ。もし、うっかり勝ったり、あいこになったりしたら…面白い言い訳でも聞かせてもらおうか」


ご主人様は、ミミとリリアナに目配せをして、部屋の外で待つように促した。 二人は、最新ルールの、あまりにも意地悪で面白そうなゲームの行方を、息を飲んで見守った。


【サービスシーン: タイプJ: 公開お仕置き宣言じゃんけん(Janken Punishment Game)】 【覗き見と羨望の連鎖ルール適用】


部屋の中で、エリスは、顔を真っ赤にして俯いている。騎士団長としての誇りと、ご主人様に甘えたいという願望が、彼女の中で激しくせめぎ合っていた。


(エリスさん…どうするのかしら…) (プライドの高いエリスさんには、酷なゲームですにゃ…)


やがて、エリスは、震える声で、しかし、はっきりと宣言した。


「…わ、私の、この鎧を…ご主人様の手で、一枚ずつ、脱がせてほしいのです…。そして、ベッドの上で四つん這いになった私の頭を…優しく、撫でてください…」


(言った…! 騎士の誇りである鎧を脱がせてほしいなんて…! それはもう、完全な服従宣言じゃない…!) ミミとリリアナは、その大胆な宣言に息を呑んだ。


「いいだろう。最高の宣言だ。…さあ、勝負だ、エリス。俺に、負けてみせろ」


「いきます…! じゃん、けん…!」


ご主人様が、ゆっくりと「グー」を出す。 エリスの拳が、一瞬、ためらうように固まる。そして…。


「ぽん…!」


ご主人様の拳に、自らの拳をこつんとぶつける、「グー」 だった。


(あいこ…! やっちゃったわね、エリスさん…!) (一番、言い訳が難しいパターンですにゃ…!)


扉の隙間から見ていた二人は、思わず頭を抱えた。 勝敗がつかない。それは、エリスの心の中に、まだ葛藤が残っている証拠だった。


「…あいこ、だな。残念だったな、エリス。お仕置きは、なしだ」


ご主人様が、わざとらしく冷たく告げる。 その言葉に、エリスは、はっと我に返った。このままでは、最高のお仕置きが、流されてしまう…!


「ま、待ってください! いまのは、ノーカウントです! 無効ですわ!」


「ほう? なぜだ?」


「そ、それは…! その…!」 エリスの翠色の瞳が、必死に答えを探して、ぐるぐるとさまよう。そして、閃いた!


「き、騎士としての、長年の訓練のせいです! 敵意を向けられると、つい、防御の構えを取ってしまう、悲しい性なのです! いわば、これは、不可抗力! 私の意思では、ありません!」


さらに、エリスは、畳み掛ける。


「そ、それに! そもそも、ご主人様が、あまりにも、その…か、格好良いのがいけないのです! そんな、真剣な顔で見つめられたら、誰だって、緊張で、頭が真っ白になってしまいますわ! だから、今のあいこは、半分はご主人様のせいでもあるのです! 責任を取って、お仕置きをしてください!」


支離滅裂。しかし、必死だった。 顔を真っ赤にして、潤んだ瞳で、必死に言い訳をまくしたてるその姿は、威厳ある騎士団長のものではなく、ただの、恋する女の子のものだった。


(か、可愛い…) (あのエリスさんが、あんなに必死に言い訳を…)


ミミとリリアナは、そのあまりのいじらしさに、胸を打たれていた。


ご主人様は、しばらく、きょとんとしていたが、やがて、こらえきれずに、ぷっと吹き出した。


「…ははは! わかった、わかった! 俺が悪かったよ。そんなに必死な言い訳を聞かされたら、罰を与えないわけにはいかないだろう」


「ほ、本当ですか!?」


「ああ。その見事な言い訳に免じて、特別に罰してやる。…さあ、宣言通り、お前の鎧を、俺に脱がせてみろ」


「は、はいっ!」


エリスは、ぱあっと顔を輝かせると、喜び勇んで、ご主人様の前に跪いた。 ご主人様は、宣言通り、一枚、また一枚と、彼女の誇りであった鎧を、ゆっくりと外していく。


やがて、鎧を解かれたエリスは、恥じらいながらも、ベッドの上で四つん這いになった。 ご主人様は、その燃えるような赤い髪を、壊れ物を扱うかのように、優しく、優しく撫で始めた。


「…っ…ご主人、様…」


「よく、頑張ったな、エリス。お前の言い訳、最高に可愛かったぞ」


「か、可愛くなんて、ありません! …でも、ありがとうございます…」


エリスの瞳から、ぽろぽろと、大粒の涙がこぼれ落ちた。 それは、自分のプライドと戦い、必死の言い訳で、本当に望むものを手に入れた、嬉し涙だった。 #シーズン2 #本編



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