愛しの猫耳メイドさんの秘密の世界線 シーズン02 第2章3節:お使いと勝ち取ったご褒美
#本編 #シーズン2
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第2章3節:お使いと勝ち取ったご褒美
リリアナの案内で、三人は月明かりに照らされた、ガラス張りの巨大な温室の前に立っていた。
「ここが、学園の秘密の温室ですわ。一般の生徒は、立ち入りを禁じられています」
「なるほど。それで、この中に『夢見草の根』が?」
「はい。ですが、温室の中は、魔法植物が自生する危険な場所。どうか、お気をつけて…」
リリアナは、少し心配そうな顔で、ご主人様とミミを見送った。 しかし、彼女はすぐにはその場を立ち去らず、そっと温室のガラスに身を寄せ、中の様子を伺い始めた。
温室の中は、まるで幻想的なジャングルだった。 淡い光を放つ苔、ひとりでに歌を歌う花、獲物を待ち構える食虫植物。 ミミは、ご主人様の後ろにぴったりとくっついて、慎重に進んでいく。
「ありましたにゃ! ご主人様、あれですにゃ!」
ミミが指差した先に、月の光を浴びて、青白く輝く可憐な花があった。 『夢見草』だ。
二人は、協力してその根を丁寧に掘り起こし、目的のものを手に入れることができた。
「やりましたにゃ、ご主人様!」
「ああ、これも全て、君のおかげだよ、ミミ。君の鼻が、この花の場所を突き止めてくれた」
ご主人様の言葉に、ミミは、えへへ、と嬉しそうに笑った。 そして、先ほどのリリアナの姿を思い出し、メラメラと対抗心を燃やす。
(リリアナさんだけ、ずるいですにゃ! ミミだって、ご主人様に、もっともっと、甘えたいんですにゃ!)
「あの、ご主人様…!」
ミミは、ご主人様のローブの裾を、きゅっと掴んだ。
「ミミ、頑張りましたにゃ! だから、その…ご褒美が、ほしいですにゃ…!」
「ご褒美?」
「はいですにゃ! じゃんけん勝負で、ミミが勝ったら、ですにゃ!」
ご主人様は、ミミのその可愛らしい挑戦に、楽しそうに微笑んだ。
【サービスシーン: タイプH】 【覗き見と羨望の連鎖ルール適用】
ガラスの外から、リリアナは、固唾を飲んで二人の様子を見守っていた。
(また、じゃんけん勝負…? ミミさんは、今度はどうなさるおつもりかしら…?)
リリアナの胸が、チリ、と痛んだ。 先ほど、自分がお仕置きをねだった時の、ご主人様の優しい手つきが、まだ肌に残っている。 もっと、甘えたかった。もっと、触れてほしかった。 そんな、自分でも気づかなかった独占欲が、リリアナの心を掻き乱す。
温室の中で、ミミは、意を決したように、右手を後ろに隠した。
「いきますにゃ! じゃん、けん…!」
ご主人様が、ゆっくりと「グー」を出す。 その瞬間、ミミが出したのは…。
「ぽん!」
可愛らしい掛け声と共に、ミミが出したのは、そのグーを優しく包み込むような、「パー」 だった。
(勝ち…! あの子は、ご褒美を選んだ…!)
リリアナは、思わずガラスに額を押し付けた。
「ミミの、勝ちですにゃ! それでは、ご褒美、お願いしますにゃ!」
ミミは、にぱーっと効果音がつきそうな満面の笑みで、ご主人様の前に立つと、その場にちょこんと座り込み、自らの頭を指差した。
「ご主人様の、その素敵で大きな手で、ミミの頭を、いーっぱい、いーっぱい、撫でてくださいですにゃ!」
「ははは、お安い御用だよ」
ご主人様は、優しく笑うと、ミミの頭に、そっとその大きな手を置いた。
(ご褒美:頭をたくさん撫でてもらう)
わしゃわしゃ、と少し乱暴に、でも、愛情を込めて撫でられる。 猫耳の付け根を、指の腹で優しくこすられると、ミミの喉の奥から、ゴロゴロと、とろけるように甘い音が漏れた。
「あ…ご主人様…そこ、もっとですにゃ…」
ミミは、うっとりとした表情で、ご主人様の手に、自らの頭をすり寄せる。 その姿は、まるで、信頼する飼い主にじゃれつく、無防備な子猫そのものだった。
(か…可愛い…!)
ガラスの外で、リリアナは、思わず顔を赤らめた。 あんな風に、無邪気に、そして大胆に、ご主人様に甘えることができるミミが、少しだけ、羨ましかった。
(私には、あんな風には、とても…)
でも、とリリアナは思う。
(私には、私のやり方がある…)
リリアナの瞳に、静かだが、しかし確かな対抗心の炎が宿る。
(見ていらっしゃい、ミミさん。次の勝負では、私が、あなた以上に、ご主人様をメロメロにさせてみせますから…!)
温室の中の甘い時間と、ガラスの外の静かな闘志。 二人のヒロインの想いが交錯する中、記憶インクの材料は、あと一つとなった。
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