表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
11/123

愛しの猫耳メイドさんの秘密の世界線 シーズン02 第2章3節:お使いと勝ち取ったご褒美



#本編 #シーズン2


[[00_シーズン2本編目次|目次へ戻る]]


第2章3節:お使いと勝ち取ったご褒美

リリアナの案内で、三人は月明かりに照らされた、ガラス張りの巨大な温室の前に立っていた。


「ここが、学園の秘密の温室ですわ。一般の生徒は、立ち入りを禁じられています」


「なるほど。それで、この中に『夢見草の根』が?」


「はい。ですが、温室の中は、魔法植物が自生する危険な場所。どうか、お気をつけて…」


リリアナは、少し心配そうな顔で、ご主人様とミミを見送った。 しかし、彼女はすぐにはその場を立ち去らず、そっと温室のガラスに身を寄せ、中の様子を伺い始めた。


温室の中は、まるで幻想的なジャングルだった。 淡い光を放つ苔、ひとりでに歌を歌う花、獲物を待ち構える食虫植物。 ミミは、ご主人様の後ろにぴったりとくっついて、慎重に進んでいく。


「ありましたにゃ! ご主人様、あれですにゃ!」


ミミが指差した先に、月の光を浴びて、青白く輝く可憐な花があった。 『夢見草』だ。


二人は、協力してその根を丁寧に掘り起こし、目的のものを手に入れることができた。


「やりましたにゃ、ご主人様!」


「ああ、これも全て、君のおかげだよ、ミミ。君の鼻が、この花の場所を突き止めてくれた」


ご主人様の言葉に、ミミは、えへへ、と嬉しそうに笑った。 そして、先ほどのリリアナの姿を思い出し、メラメラと対抗心を燃やす。


(リリアナさんだけ、ずるいですにゃ! ミミだって、ご主人様に、もっともっと、甘えたいんですにゃ!)


「あの、ご主人様…!」


ミミは、ご主人様のローブの裾を、きゅっと掴んだ。


「ミミ、頑張りましたにゃ! だから、その…ご褒美が、ほしいですにゃ…!」


「ご褒美?」


「はいですにゃ! じゃんけん勝負で、ミミが勝ったら、ですにゃ!」


ご主人様は、ミミのその可愛らしい挑戦に、楽しそうに微笑んだ。


【サービスシーン: タイプH】 【覗き見と羨望の連鎖ルール適用】


ガラスの外から、リリアナは、固唾を飲んで二人の様子を見守っていた。


(また、じゃんけん勝負…? ミミさんは、今度はどうなさるおつもりかしら…?)


リリアナの胸が、チリ、と痛んだ。 先ほど、自分がお仕置きをねだった時の、ご主人様の優しい手つきが、まだ肌に残っている。 もっと、甘えたかった。もっと、触れてほしかった。 そんな、自分でも気づかなかった独占欲が、リリアナの心を掻き乱す。


温室の中で、ミミは、意を決したように、右手を後ろに隠した。


「いきますにゃ! じゃん、けん…!」


ご主人様が、ゆっくりと「グー」を出す。 その瞬間、ミミが出したのは…。


「ぽん!」


可愛らしい掛け声と共に、ミミが出したのは、そのグーを優しく包み込むような、「パー」 だった。


(勝ち…! あの子は、ご褒美を選んだ…!)


リリアナは、思わずガラスに額を押し付けた。


「ミミの、勝ちですにゃ! それでは、ご褒美、お願いしますにゃ!」


ミミは、にぱーっと効果音がつきそうな満面の笑みで、ご主人様の前に立つと、その場にちょこんと座り込み、自らの頭を指差した。


「ご主人様の、その素敵で大きな手で、ミミの頭を、いーっぱい、いーっぱい、撫でてくださいですにゃ!」


「ははは、お安い御用だよ」


ご主人様は、優しく笑うと、ミミの頭に、そっとその大きな手を置いた。


(ご褒美:頭をたくさん撫でてもらう)


わしゃわしゃ、と少し乱暴に、でも、愛情を込めて撫でられる。 猫耳の付け根を、指の腹で優しくこすられると、ミミの喉の奥から、ゴロゴロと、とろけるように甘い音が漏れた。


「あ…ご主人様…そこ、もっとですにゃ…」


ミミは、うっとりとした表情で、ご主人様の手に、自らの頭をすり寄せる。 その姿は、まるで、信頼する飼い主にじゃれつく、無防備な子猫そのものだった。


(か…可愛い…!)


ガラスの外で、リリアナは、思わず顔を赤らめた。 あんな風に、無邪気に、そして大胆に、ご主人様に甘えることができるミミが、少しだけ、羨ましかった。


(私には、あんな風には、とても…)


でも、とリリアナは思う。


(私には、私のやり方がある…)


リリアナの瞳に、静かだが、しかし確かな対抗心の炎が宿る。


(見ていらっしゃい、ミミさん。次の勝負では、私が、あなた以上に、ご主人様をメロメロにさせてみせますから…!)


温室の中の甘い時間と、ガラスの外の静かな闘志。 二人のヒロインの想いが交錯する中、記憶インクの材料は、あと一つとなった。


#シーズン2 #本編



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ