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愛しの猫耳メイドさんの秘密の世界線 シーズン02 第2章2節:再会と敗北への勇気

#本編 #シーズン2


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第2章2節:再会と敗北への勇気

書庫の奥から現れたリリアナは、数日眠っていないかのような深い疲労を顔に浮かべていたが、その瞳だけは、鋼のような強い意志で輝いていた。


「ご主人様…。それに、ミミさんまで。どうして、この場所に…?」


「リリアナこそ、一人で無理をしすぎだ。顔色が悪いぞ」


ご主人様の優しい言葉に、今まで気丈に振る舞っていたリリアナの瞳が、大きく揺らぐ。 彼女はずっと、たった一人で、この学園を襲った 『記憶喰らいの呪い』 と戦っていたのだ。


「…ありがとう、ございます…。お二人が来てくれて…本当に、心強いですわ…」


安堵からか、リリアナの膝が、がくりと崩れ落ちそうになる。 ご主人様は、咄嗟にその華奢な体を支えた。


「少し休んだ方がいい。私の研究スペースが、この奥にありますの。…少し、お話をよろしいでしょうか」


リリアナの私的な研究スペースは、膨大な書物と、錬金術の道具が雑然と置かれた、彼女らしい空間だった。 ご主人様は、リリアナを革張りのソファに座らせると、その向かいに腰掛けた。


「それで、調査の進捗は? 何か、分かったことはあるか?」


「…はい。呪いの中心は、この図書館の最深部にある 『禁断の書庫』 。そして、呪いを解く鍵は、ただ一つ…失われた文字を、再び世界に定着させる、伝説の魔法インク、『記憶インク』 だけですわ」


リリアナは、そう言うと、一枚の古びた羊皮紙をテーブルの上に広げた。 そこには、インクの材料となるであろう、いくつかのアイテムがリストアップされている。


「ですが、材料の一つである『夢見草の根』が、どうしても見つからなくて…」


その声は、か細く、震えていた。 ご主人様は、その姿を見て、ふっと、悪戯っぽく微笑んだ。


「…なるほどな。それじゃあ、リリアナ。景気づけに、俺と、特別なゲームをしないか? 『公開お仕置き宣言じゃんけん』 だ」


「…こ、公開…お仕置き宣言…?」


「ああ。まず、リリアナが、俺にされてみたい『お仕置きのフルコース』を、この場で宣言する。…そして、そのお仕置きを賭けて、俺とじゃんけんをするんだ。見事、俺に負けることができたら、宣言通りのお仕置きをくれてやる」


ご主人様は、ミミに目配せをして、少しだけ席を外すように促した。 ミミは、こくりと頷くと、とんでもないゲームが始まったと胸をときめかせながら、本棚の陰に、そっと身を隠した。


【サービスシーン: タイプJ: 公開お仕置き宣言じゃんけん(Janken Punishment Game)】 【覗き見と羨望の連鎖ルール適用】


(な、なんてゲームなの!? お仕置きを自分で宣言するだけでも恥ずかしいのに、わざと負けなきゃいけないなんて…! リリアナさん、どうするのかしら…!?) ミミは、自分のことのように、ドキドキしながら、その選択を見守った。


リリアナは、顔を真っ赤にして俯いていたが、やがて、ご主人様からの甘い挑発に、くっと顔を上げた。その瞳は、潤んで、熱を帯びている。


「…のぞむ、ところですわ。わたくしだって、ご主人様に、甘えたい時も…ありますもの」


そして、意を決したように、宣言を始めた。


「まず、私の目を目隠ししてください。そして、手足を、動けないように、優しく縛ってほしいのですわ。…そ、そして…!」


リリアナは一度言葉を切ると、さらに声を上擦らせた。


「私が書いた同人誌、『銀髪の賢者はご主人様の夢を見るか?』の…いちばん恥ずかしいページを…わ、私の耳元で、読んで、くださいませんか…?」


(ひゃあああ! 言った! 言っちゃったわ、リリアナさん! あんなに恥ずかしいお仕置きを、じゃんけんの前に宣言するなんて、なんて勇気なの!?) ミミは、口元を両手で押さえ、興奮と羨望で体が震えた。リリアナが、ただの知的な優等生ではない、欲望に忠実な一人の女性なのだと、改めて思い知らされた。


「いいだろう。最高の宣言だ。…だが、本当に負けられるかな?」


ご主人様の挑発に、リリアナの体がびくりと揺れる。そうだ、まだ勝負はついていない。この最高のお仕置きは、自らの手で「敗北」を掴み取らなければ、手に入らないのだ。


「いきますわよ…! じゃん、けん…!」


ご主人様が、ゆっくりと拳を構える。 リリアナの表情は、羞恥、欲望、そして「負けなければ」というプレッシャーが入り混じり、見ているミミまで息が詰まる。


ご主人様が、ゆっくりと「グー」を出す。


その瞬間、リリアナの顔から、ふっと力が抜けた。プレッシャーからの解放と、確かな勝利(敗北)への確信。その表情は、もはや恍惚の域に達していた。


「ぽん…!」


彼女が、震える手で、しかし誇らしげに差し出したのは、か弱い 「チョキ」 だった。


(負けた…! やったわ、リリアナさん! あのプレッシャーの中で、見事に負けてみせた…!) ミミは、心の中で喝采を送った。それは、勇気ある敗者への、最大限の賛辞と羨望だった。


「…ふふ。私の、負けですわね、ご主人様」 リリアナは、蕩けるような笑顔でご主人様を見つめた。


「ああ、見事な負けっぷりだ。褒美をやろう」


ご主人様は、宣言通り、まず、柔らかな布で彼女の目隠しをした。次に、その手首と足首を、革の紐でソファの肘掛けに優しく結びつける。


そして、どこからともなく、問題の同人誌を取り出すと、リリアナの耳元に顔を寄せた。


「いくぞ、リリアナ。お前が書いた、最高にえっちなポエムだ」


ご主人様の低い声が、リリアナの耳を直接震わせる。


「『……ああ、我が主よ。今宵も私は、貴方の夢を見る。その力強い腕が、私の細い体を易々と抱き上げ、書庫の壁に押し付ける。抵抗など、できはしない。いいえ、する気もないのです。貴方の熱い吐息が耳を掠め、理性を溶かす甘い言葉が、私の脳を蕩かす。「リリアナ…お前は、俺だけのものだ…」と。ああ、ご主人様、その唇で、私のすべてを塞いでくださいまし…!』」


「ひゃんっ…! あ、あぅ…! や、やめて…でも、もっと…!」


自分が書いた情熱的な文章を、愛するご主人様の声で読み上げられるという、極上の羞恥と快感。リリアナの体はびくんびくんと震え、恍惚の表情のまま、完全に意識を飛ばしていた。


(うわあああ…! すごい…! 自分の欲望を宣言して、それを自分の力で勝ち取るなんて…! ミミも、いつか…!) ミミは、嫉妬と羨望と、そして新たな目標を胸に刻み、熱い吐息を漏らした。


やがて、朗読が終わると、ご主人様は、ぐったりと蕩けているリリアナの拘束を解き、その頭を優しく撫でた。


「…少しは、スッキリしたか?」


「…はい…。お陰様で、脳が、とろけてしまいそうですわ…。ありがとう、ございます…ご主人様…」


リリアナは、潤んだ瞳でご主人様を見つめると、その胸に、こてん、と頭を預けた。そして、安心しきったように、すーすーと、可愛らしい寝息を立て始めた。


「…『夢見草の根』なら…秘密の、温室に…むにゃ…」


ご主人様は、満足そうに微笑むと、眠ってしまったリリアナを抱き上げ、ソファにそっと横たえるのだった。 #シーズン2 #本編



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