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第8話 ご利用は確実に

「「姐さん…朝からうまいっス!」」

「バランスよく食べてねー。って残るかな?〆で雑炊作りますか?」

「「最高っス。さあ、たらふく食べよう!」」

「で、今日もお腹休んだら涼の組手で鍛えてくださいね!ちゃんと昼飯が待ってますから」

――アメとムチ…

 朝から雑炊も食べ、ご機嫌な組員。ヤクザさんには見えないのです。


「ほら!私がシゴクよー!」

「「お嬢…勘弁っス」」と、悲鳴が上がる。

「涼。ちょっとこいつらの中で調べてもらいたいんだが?」

「へぇ、光輝が私に依頼って珍しいね。で?」

「腕が割と立つなぁと思うやつをピックアップしといてくれ。そうだな、10人くらい」

「私に軽々負けてるけど?」

「相手が悪いんだ。頼んだ」と、二人でコソコソと話した。


 その間杏はご機嫌に家事をこなしていた。

「今日は天気もいいし、洗濯物がよく乾きそうだ!洗濯しながら掃除もしなきゃなぁ。昼飯何にしよう?」

 すっかり主婦である。

「光輝さん!こないだ行った業務スーパーにまた連れてってくれないかな?食材減るの速いなぁ。流石大人数の男だよ。男子寮ってこんなんなのかな?買いだめしたつもりだったんだけどなぁ」

――これは…デート⁈←違う!

「あぁ、いいが。外で俺といる時はお前は俺のSPだからな」

「それはわかってる」

「いや、杏が食材選びに夢中になってるからさ。SP忘れてないか?と思って」

「そもそもSPいらないくらい光輝さんは強いじゃない」

「それ言うか?」


 お買い物♪光輝は浮かれていた…。結構ヤバい状態なのに。

「昼飯は何がいいかな?光輝さんは何がいい?」

「朝飯が鍋だからなぁ?あいつらも疲れてるだろうし…。肉か?」

「焼肉?量が凄そう。うーん、丼で焼き肉を出せばいいのか!って人数分丼ある?」

「一般家庭じゃないからなぁ。丼も買わなきゃ無いのか…」

「不経済だな…。カツカレーは?それなら皿足りるだろ?カレーが残ればアレンジできるし」

「揚げ物して、カレー作ってって大変じゃないか?」

「任せておいて!なんと!組員さんの中で料理上手さんを発見しました。彼をアシスタントにします」

――二人っきりの台所…。誰だよ?そいつは!

「だから今日は、肉を買って、買いだめしよう…予想を上回る量だけどいい?」

「…っああ、それは構わない」

「揚げ物用のフライヤーも買っていいか?」

「美味しいものは正義だ。このショーバイしてるやつに説得力はないがな」

「これからも揚げ物をカラッと揚げるためだ!量が多いからな」

 そして、大量の肉と俺にはわからないスパイス達と小麦粉と卵にパン粉。さらには備蓄用としての食材も買い込んだ。

「これでしばらくは大丈夫の予定なんだけどなぁ。あ、キャベツも欲しい!野菜も買わないとな。やっぱバランスよく食べないと!」

――そこまで考えてくれていると知ったら組員泣くぞ?


「さーて、料理!とその前に洗濯ものとか掃除しないとな」


@車中

「そんな料理上手いたか?杏がうちに来るまでまともな味噌汁がでたことなかったぞ?」

「料理上手な人、北条さんって言うんだけどわかるか?」

「いや、下っ端は覚えてないんだ」

「覚えなよ、名前。地味に怪しいな。料理を手伝ってほしいけど毒を盛られたりはヤダなぁ」

「あ、それあり得るな」

「そいつをマークするか?」

「それと下っ端って言ったけど北条さんは40代だね、見たとこ。下っ端なの?この業界?」

「それも怪しいな、俺も台所に…」

「それは直接攻撃される恐れがあるからやめときなよ」

「下っ端でもなくて、料理上手が今まで隠れてるのか…。会ってみるかな。杏がSPな。銃を携帯しておけよ」

「やっぱそうなるのね…」

「そうなんだよ」当然のように言う光輝に杏はちょっとガッカリ気分になる。


 掃除も洗濯も終わった。料理だー!というように杏の気分は↑↑だった。

「料理するぞー!っと。涼のとこにいるかな?北条さん。あと、光輝さんはどこ?銃持たなきゃダナぁ」


「光輝さんどこにいるかわかる?」と組員に聞いた。

「「姐さんの後ろっス」」の言葉通り後ろに光輝はいた。

「杏、涼のトコに北条連れに行くぞ」

「そのつもり」と杏はジャケットの内側から抜けるように銃を携帯していた。

「あー、銃を携帯用のベルトもあるんだが…。あとで渡す。今は道場の向こうにあるしな」


「涼ー!北条さんっている?昼飯作るの手伝ってほしいんだけど?」

「北条?」組員の中でざわつく。どうやらその名前を知らない人ばかりのようだ。

「北条っていないのか?」光輝が聞く。

「「自分は知りません」」というものばかり。

「なぁ、これは会うまでもなく黒か?」と杏が光輝に聞く。

「限りなく黒に近いな。射撃場近いし、銃の携帯用ベルトを持ってくるか」

 


射撃場では銃弾が盗まれていた。

「杏に渡す予定のベルトはあるんだけどなぁ。ほい杏」と、軽く渡された。

「最終目標が俺の命で、それまでにうちのシマを荒らしまわり、銃弾の窃盗か…。面倒な真似をするなぁ」


「銃弾なんだがな、実は…」

 と、杏には隠し場所を伝えた。普段置いてあるところとは別に保管場所があることを聞いた。

 一部の人間にしか知られていないような場所にまだあるらしい。


「ところで杏、昼飯…」

「あー‼カツカレーじゃなくてただのトンカツだけどいいかなぁ?」

「杏が作ればうまいからいいんじゃねーの?」

「そんじゃ私は台所に入る!涼は立ち入り禁止‼」


 傷物になった組員たちのハートを鷲掴みにした。

「姐さんー!最高っス!トンカツがサクサクと筋切りまでしてあって」

「「だよなー」」

「涼!どうしてあんたは手加減をしないの?できないの?未熟者!」と、杏に怒られている。

「涼ー、頼んでたやつはできたか?」

「ああ、でもまだまだ弱いけど?」

「一般人よりは強いんじゃないか?」

「まぁそうかな?そういうのチェックも杏の方がうまいよ」

「で、涼がチェックした中には北条ってやついたか?」

「うーん、いなかったと思うなぁ」

 ますます怪しい北条…



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