表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

5/14

第5話 女子力は重要なのか?

「ただいまー」

「「おかえりなさい」」

「なんかみんな傷物になってない?大丈夫?」

「お嬢が…強いっス」

「涼!あんたは、手加減ってのも鍛錬なのよ?」

「手合わせでどんなもんなのか試したの!で、今日の昼ごはん何?」

「お好み焼き。おニューのホットプレートでガンガン焼きまくり。っと準備しなきゃ」

「光輝!杏はすっかり主婦だね」

「俺は助かってる。家はきれいになったし、飯はうまい」

「確かに杏の飯はうまいよ。しかも、強いから私の鍛錬になる。光輝は杏に劣るのか?」

「そうだなぁ。杏の方が強いなぁ」

 光輝は遠い目で言った。

「ふーん、じゃ、今ここは杏が一番強くて、その後が光輝、私って続くわけだ」

「その後がなかなか続かないだろ?差が大きすぎる。まぁ、銃に頼ってるってのもあるんだろうけど、体術もできないとなぁ。そこで!涼があいつら、今傷物になってるやつらを鍛えてほしいんだ」

「おっけー。家でダラダラ過ごすより楽しそうだし。杏の料理はおいしいもんね」

――ああ、笑顔が杏と同じでいい感じだ‼



「昼ご飯準備できたよー!ってホットプレートの準備くらいしてよ、涼!」

「え?私指名?ひどくない?」

「ひどくない!さぁ準備を急げ。温めたら油を塗って!そのくらいはできるよね?」

「できると思う」

「子供のお手伝いレベルだよ、さあ急げ~。みんなが待っている!」

「「お嬢ヤケドするといけないんで、俺やりますよ」」という声がそこかしこから上がり、涼もちょっとその気になりかける。

「甘やかしてはいけません!これはこの子の女子力を上げるのに必要なんです!」

「杏、出来た。…と思う」

 …心配だ。

「とりあえず焼こう!豚のばら肉からも油出るし、大丈夫だ!各々出来るよね?」

「「ウッス」」

 小声で杏は涼に言う。

「ねぇ…女子力ここの皆さんより低くない?」

「お嬢の分は俺が焼きます!」

「「俺が」」

「私はそんなに食べれないよ~」

「自分の分は自分で焼きなよ~」杏が台所から言う。

「まだまだ作らないと足りなくなるな。男所帯だし。キャベツの千切り祭りだね。余ったら、夕飯のみそ汁にでも使おう」

 と、すっかり主婦的になっている。

「涼ー、長いもすりおろして。そんくらいできるよね?」

 杏は挑戦的に涼に言った。

「できるだろう…と思う。」

「ぬめぬめするからねー。すりおろしすぎて、あんたの手までおろし金にさらさないでよ?」

「なぁ、杏。これ、皮のとこ持てばよくない?」

「そうだけど?」

「くそっ。私の中では大発見だったのに…」

「私に料理で勝とうなどとは甘いよ」

「杏はいつ食べるんだ?」

「うーん、とりあえず落ち着いたころかな?光輝さんもまだじゃない?」

「そういえば。杏を待ってくれてんのかもよ?」

「あのでかいホットプレートで一人焼くのは虚しいからな…。最悪フライパンでもいいんだけど」

 ド天然もここまでくるとなぁ…と涼は思う。


「光輝さん、焼いてるよ。さっき買ったホットプレートで。みんな喜んでくれて何より♪」

――杏が楽しそうにしてるからよしとするか

「光輝さんは食べないの?」

「ん?いや、お前が食べる時に一緒にと思ってな」

 でも無情に光輝のお腹の音が鳴った。

「光輝さん…無理せずに食べて。そのお腹の音が面白いっ…」

 杏も涼も笑ってしまった。杏は腹を抱えている。

――笑われた…

「食べてよ!」

――ちょっと怒ってる?笑いながら…

「俺、焼いたことない…」

 仕方ない。と杏がフライパンで焼いたお好み焼きを光輝に与えた。

「二代目、このお好み焼きはソースが不要なんです!」

「あぁ、みんながソース取り合ったり、ソースがなくなったりしないように生地に味付けたんだけど。どうかな?」

「「最高っス!」」

 杏の頬が緩んだ。味見も出来なかったし、行き当たりばったりでどうだか不安だったのだろう。

「ソースって手作りできるんだな…」

「光輝さん!何を言うの?あらゆるソースが手作りのよ。そもそも3星レストランとかのシェフだったらソースは手作りでしょ?まぁ、食べてよ」


「これは…予想を上回る食べっぷりだなー。私も作りながら食べないと無くなりそうね」

 杏の不安的中。完食。キャベツは千切り祭りだったのになくなった。

「もうないけど、まだお腹減ってる人いる?」

――地味に俺…二代目なのに…

「うーん、夕飯何にしようかなぁ?その前に洗い物しなきゃなぁ。たくさんあるよな。ホットプレートの手入れもしなきゃいけないしな。しながら考えよ」

「杏はポジティブだね」

「涼がネガティブなんじゃないの?いつまでも私に勝てないの引きずってるでしょ?」

 涼、凹む。

「洗い物終わったら掃除しまくりね」

 杏が生き生きとしている。この屋敷をひとりで掃除するのに…。

「あ、夕飯は鶏の唐揚げだったな。フライヤー買ったし♪洗い物終わったら下味付けしておかなきゃだな」

――杏、機嫌いいなぁ。家事がたまってるのそんなにいいかなぁ?世の中の主婦は嫌がるはずだが?

「光輝!杏の事ばっかり考えてるの顔に出てる!組の事に頭切り変えたら?」

――涼、スルドイ…



評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ