第4話 大人数は楽しい食卓
「いやー、夕飯早めに作って正解!おでんに味が染みてきてる!卵もいい感じ!」
「杏?おでんの鍋買おうか?コンビニにおいてあるみたいなやつ」
杏の眼が輝いた。
「このコンロで使えるやつがいいです!そういうの売ってるとこないのかなぁ?」
――杏がキラキラしそうだな
「鍋ごと出そうか、テーブルまで持って行けるかな?おーい、力自慢の人二人ぐらいいませんか?」
二人くらい来てくれた。
「このおでんの鍋をテーブルまで運んでくれないかなぁ?」
「「ウッス」」
杏は鍋敷きを持ってテーブルまで行った。
「その鍋、落としたりすると皆さんの反感買うから気をつけてくださいね」
――悪魔のようなことを言うな…
「お皿は何枚くらい必要だろう?とりあえずあるだけ出そう!あ、その鍋敷きの上に置いてください」
杏は食器棚からおでんに合いそうな食器をあるだけ出してみた。
「卵は一人一つで。あとは早い者勝ちかな?白いご飯も炊いたから必要な人は言ってくださいね」
食事は戦争。でもまずは二代目。その後は涼。あとは戦争。
「楽しい食卓?」お涼が聞く。
「とりあえず、にぎやかだろう?」光輝が応える。
「なぁ、光輝。ここって何人いるの?」杏が聞いた。
「卵、どれだけ必要なのかわかんなかったの」
「悪い。俺も把握してないんだ。顔は覚えてるんだけどなぁ」
「姐さんー、おでんもめちゃうまっス」
「「あざーっす」」声デカいなぁ。と涼。
「ところで、何で杏が女子力以上に高くて涼が低いんだ?そこは悔しくないのか?」
「うーん、近くにやってくれる人がいると甘えてしまうというか…そんな感じかな?」
「杏。涼の部屋だが、やっぱりお前の部屋の側がいいか?」
「いやいや、あの子地味に色気ないのはそうなんですけど、イビキがうるさくて離れてる方が私は助かるかな?」
一方で、
「涼、お前の部屋なんだが。やっぱり杏の部屋の近くがいいか?」
「うーん、知らないオッサンの側よりはそっちの方がいいなー」
――悩める光輝って感じだな。どうしたもんか?
結局組員と杏の部屋の真ん中を取ったみたいなところにした。
「さて、今日の朝飯は…ん?味噌汁が香ってこない‼杏のストライキか?」
――俺は朝から胸がざわついた
「「おはようございます‼」」
「おはよう」
「おはよう、光輝。光輝も皆さんに朝の挨拶くらいしろよ!」
「おはよー」
「「おはようございます、お嬢‼」」
「杏ー!今日の朝ご飯はー?」涼が聞く。
「フレンチトースト!人数分焼くの大変そうだなぁ。昨日の卵、残ってたし…と思ったんだけど」
「パンケーキの粉も混ぜないと足りなくない?」
「涼にしては分かってる感じだけど、そうだなぁ」
「光輝さん!昨日光輝さんが口走った業務用のキッチン用品やら食材やらを買いに行きたいんだけど?」
「幸い俺のSPの仕事は今日はないから、行ってくるといい。ああ、俺のカード使うから俺もいないとダメか」
「涼は若い衆と空手の組手でもするといい。涼の方が強いと思うんだけどなぁ」
――杏も涼もキラキラしてるからよしとするか
「で、杏は何が欲しいんだ?うーん昨日みたいにおでんやるならおでん用のやつがあるといいなとか、今朝だとホットプレートがあればいいのにとか。どっちも業務用で。食材はここの冷蔵庫でかいから業務スーパーの方が割安なんだよ。すぐなくなるし。みんなで食べるからね」
よくヤクザ映画で見るような黒塗りの外車が横付けして待っていた。
「さ、二代目、姐さん、お乗りください」
「杏。俺が外出するときはお前はSPだからな。俺は賞金首だ。誰が狙ってるかわからない。この車も防弾装備だ」
「了解」と杏は応えた。
「運転手さんとかは信頼して大丈夫なのか?」
「親父の代からだ」
無事に業務用品が買える店まで着いた。
「光輝さん!この食器も買っていいかな?あー、これも♪」
――杏、輝き5割増しだな。はしゃぎすぎだろう…
「えーと、おでんの鍋は…あった‼光輝さん!どっちがいい?」
――正直どっちでもいいけど、やり取りが新婚さんみたいでイイ‼
「左の方が俺は好きだ」
――本当は杏が好きだ‼
「じゃ、鍋はこれで。ホットプレートは…あった‼種類が多いなぁ」
「光輝さんー、どれがいいかなぁ?人数多いし、困るよね」
「一度にたくさん作れそうなのがいいんじゃないか?」
「そうだよね。待たせたら悪いし。他にも寸胴鍋とか見よう。見てるだけで楽しい!」
「そんなに楽しいならまた連れてくるぞ?」
「本当?すごく嬉しい!」
杏は光輝に抱きついた。杏に他意はない。
――ああ、杏の腕が力強く俺を…いかんいかん!
「業務スーパーに行くんだろ?昼飯を考えたら早くしないとな」
「あ、大変だ!」
@業務スーパーにて
「うーん、今日の昼飯のことはだいたい決まったんだよなー。夕飯はどうしよう?」
「昼は何にするんだ?」
「お好み焼き!さっきホットプレート買ったし。ここで豚肉とキャベツと卵と長芋買って終了!夕飯…」
「おい、豚肉・キャベツ・卵・長芋を持ってこい」と光輝が部下に指示した。
「夕飯…鳥の唐揚げは?光輝さん、どう?」
「大好物…」
――くっそー顔が紅潮してしまう。だっておふくろ作ってくれたし。
光輝の指示のもと持ってきてくれたが量が足りない…。自分で行こう。鶏肉も買わなきゃだし。3キロくらいか?
「豚肉はもっとないと皆さんのお腹膨れないよ。バラ肉1キロくらいかな?キャベツは1.5玉くらい?卵30個と長芋一本と鶏肉3キロ。あとは小麦粉3袋っと」
「量多くないか?」
「皆さん、そんだけ食べるんです!」
俺は他にもパスタ系とか今後のためにも買い置きを作った。