第1話 お世話になります?
異世界じゃないものって久しぶりになります。『任侠アニキ』って作品の主人公を女性にした版です。光輝が可哀そうだし……。
よろしくお願いします!
「ゔん?今肩になんか当たった気がするんだけど、お前か」
――と、俺は杏に詰め寄った
「あー、すいません」と、杏。
「すいませんで済むか?親父の肩がどうなってるかわかんないじゃねーか?」
「親父?親子なんですか?すいません、これは込み入ったことを」と、杏は詫びた。
「舐めてるのかー‼」と、組員殴りかかったが杏はひらりとかわした。
「うーん。カタギに好きにさせるのはなぁ。よし、俺が直々に」と、光輝が殴りかかった。
「仕方ないよね?正当防衛だよね?」と杏はブツブツなにやら独り言を言い、光輝を地面に抑え込んだ。
「二代目‼」と、組員。
「お前、強いな。よし、俺のトコに来いよ。悪いようにはしない」
そう言い、杏は黒塗り高級車で連れていかれた。
(えっ?私…誘拐されたの??)
「「お帰りなさい。二代目‼」」と、組員たちの声が響く。
「えーと、そちらは?」
組員の疑問も尤もだ。
「今日から俺のパートナーだ。姐さんとでも呼んでやれ。こいつは強い。この俺を組み敷い…何でもない。以上だ」
「あの、私は拉致られた?ここは?」
光輝はニっと笑った。
「関東でも屈指の西谷組だ。杏、お前はココで俺のSPなどしてもらう」
「私の意思は?」
――ああ、杏が離れるのは嫌だなぁ。
「ない」と、俺はキッパリと言った。
「杏、格闘技経験は?」
「うーん。いろいろやって黒帯になったら次って感じで今の感じ」
「さすがにこの経験はないだろう?」
俺は杏を地下射撃場に連れていった。
「さすがにない。で、的をうつの?出店の屋台の射的みたいな感じ?」
「とりあえずやってみろよ」
――つい耳に息を吹きかけてしまった。
杏が反応して1弾打ってしまった。悪いことに跳弾が二人をかすめた。
「ねえ?…そういういたずらはやめてよ…。本当に死ぬとこだったじゃないの!!」
それから、杏は射撃を練習した。上達速し。
翌朝、光輝が目を覚ます。
――あーウザい…。組員たちはいつになったら料理上達するんだか?朝から味噌汁が濃いか薄いかだもんなぁ。出汁の感じしないし…
光輝の嗅覚が喜んだ!このかぐわしい香りはなんだ?朝からまともな味噌汁の香りがする‼急いで着替えて皆のいる部屋に行く。
「「二代目、おはようございます‼」」組員は朝からうるさい。
「おはよう、光輝さん。朝飯作った。お世話になるんだし、家事くらいするよ。それにしてもここの台所すごいね。冷蔵庫がおっきくて、中にいっぱいもの入ってるし。組員みんなの分もあるからなそれに、鍋とか大きいの‼寸胴鍋?それで味噌汁作ったんだけどどうかな?」
「「姐さんのみそ汁最高っス」」
「二代目、姐さんは俺の服のほつれも直してくれたんです。俺は気にしてなかったのに」
――オカンみたいだな
「どれ、味噌汁をひとつ」俺は雷に打たれたように味噌汁でやられた。
「よかったら、他のもどうぞ。もちろん皆さんで」
「「姐さん、バンザーイ!」」組員はテンションマックス。
「喜んでもらえて嬉しい!」
「さて、おまえら。杏に格闘技を教えてもらえ。強くなれ」
「え?今までは二代目が…」
「俺は二代目としての仕事に専念する。その間、杏が師匠だ。強いぞ、俺とタメはるくらいにな」
「「姐さん、お願いします!」」また、組員の太い声が響いた。
「えーと…、私は家事をするつもりだったんだけど?」と、杏。
「面白い。その間、杏を襲ってみろよ、修行だ。杏はかわすぞ?ドスとか使うなよ?明日の美味い朝食が食べれなくなるぞ」
「うーっス」組員は合意した。
「家事の間、気が抜けないのかぁ。結構大変ね。私から仕掛けるのは?」
「今日のところは避けるに専念ってことで」
「はぁ、了解しました。光輝さん」
――俺のことを名前で…‼
杏は忙しかった。洗濯物を干していたら、組員が仕掛けてきた。かわすと洗濯物が地面に落下…。
「あ、洗濯やり直し…」杏は凹んだ。
皿を洗っているときに仕掛けてきた。かわすと食器を割ってしまった…。
「あ、割れたの片づけなきゃ…」また杏は凹んだ。
さすがに杏はちょっと嫌だった。
「光輝さん!家事してる時は仕掛けないでほしい。仕事増えるの!あと、瓦とかないの?なんかイライラするから、体動かそうと思って」
「何枚必要だ?」
「んー?9枚くらい?組手できるといいんだけど、光輝さんも相手になんないもん」
――なんかちょっと腹立つー
「なんだよ?あの時は手を抜いてたんだよ。お前はカタギだったしな。本気でいいのか?空手でな」
二人は着替えて道場へ。お互い黒帯。
結構勝負は長く続き、ギャラリーに組員までついた。15分くらい本気で二人はやり合っていた。
――杏、そうとう苛ついてたんだなぁ
と、気を抜いたらいきなり杏の上段回し蹴りが決まって勝負がついた。
「光輝さん、途中気を抜いたでしょう?」汗の滴る杏の体をぼーっと魅入ってしまった。
――やっぱいいよなぁ。無駄がない筋肉でしまった体
「あ、ああ悪い。途中で仕事の事思い出した」
「二代目とやり合うなんて、姐さんすげー‼」
組員の杏への目線がまた変わった。
「家事だけじゃなくて、格闘も出来るんすね!」
「そういや杏、夕食後の幹部会の時俺のSPとしてついてきてくれよ」
「光輝さんは強いのに、SPいるの?」
「一応な」
@西谷組幹部会
「二代目、その新しいSPは?」
「あぁ、俺が拾った。相当強い。俺よりな」
幹部会がざわついた。「二代目より強い人間なんていたのか?」等。
「ねぇ?光輝さん。私は来てよかったの?」
「いいお披露目だろ?」
――ああ、俺のパートナーとも言いたい!…が言えない
「今はうちに住み込みで暮らしてる。カタギとは言えなくなったな」
「そう…私はカタギじゃなくなったのね……」
――杏が凹んだー!どうすればっ⁉
「杏、俺は明日朝飯に魚の煮つけが食べたい」
杏が輝き始めた。
「あ、でも組員さんの分までとなると相当な魚の量が…」
――あー杏を困らせたー‼
「俺の分だけでいい。組員にはそうだな…カレーでもどうかな?」
「あ、それなら簡単。承知しました」と、杏は席を離れた。
「二代目?今の会話は?」
「あいつは家事がめちゃくちゃうまくてな。料理は組員が絶賛している故の会話だが?」
「話は変わりますが、不穏な動きがあります」
「どこだ?」
「林組です」
「はぁ、林かぁ。面倒だなぁ」
林は結構おっきい組織だし、ヤクを使うのをご法度にしてるうちと違ってヤクもなんでもありだから、面倒だ。これでサツまで現れたらどうしようか?
「まぁ今はまだ見守るくらいだな。うちにまだ被害ないんだろ?うちのシマにも」
今は早く帰って明日の朝飯が食べたい…
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