『速記者とワシ』
速記者が、網に絡まったワシを助けてやりました。なぜ、速記者がワシがいるところにいたのかは不明ですが、ワシを助けたのには理由があります。原文帳は、和紙でつくりますんでね、親近感があるのです。
ワシは、何度も何度もお辞儀をしてから、空高く飛び去っていきました。速記者は、いいことをしたなと思いながら、ワシを見送りました。
全然別のある日。速記者が屋根の上に座って、速記をしていますと、ワシが、上空から急降下してきて、速記者が持っていた原文帳を奪いました。ワシは、一旦飛び去って、少し離れたところに原文帳を落としました。
速記者が、仕方ないなぁ、という感じで腰を上げ、屋根から降りて、原文帳を拾うと、何と、さっきまで速記者が座っていた屋根が、崩れ落ちたのです。
ワシぐらいになると、恩を忘れないものなのですね。
教訓:鶏は、だめらしいです。




