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【電子書籍1〜2巻発売中】ダジャレ好きのおっさん、勇者扱いされる~昔の教え子たちが慕ってくれるけど、そんなに強くないですよ?~  作者: 歩く魚
おっさんと戦い

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回想

 シャーロットがまだ山中にいた頃。

 夕食も終わっていざ就寝という時、思い立ったかのようにジオに質問をぶつけた。


「先生は最初から魔物を倒せたのですか?」


 幼い子供の質問とは思えないほどの熱力を感じたジオは驚いたが、すぐに優しい笑みを浮かべて答える。


「……最初から倒せたわけじゃないよ。初めて山に入った時はもう、死ぬかと思う日ばかりだった」

「そ……そうなのですか!?」

 

 自慢ではないが……というより自慢する相手がいなかったのだが、自分の恩師に絶対の力を感じていたシャーロットは驚愕に目を見開く。

 山中で倒れて今にも死にそうだった自分を拾い、今日まで育ててもらった恩。

 縄張りから逸れてジオの家を襲いにきた魔物たちを瞬殺する強さ。

 てっきり、最初から人間を遥かに超えた強さを持っていたものとばかり思っていた。

 シャーロットの考えを推測したのか、ジオは他の子供たちが寝るのを確認してから話を再開する。


「引き抜くと死ぬほど叫ぶ植物とか、なんだかよくわからない光を発しながら追いかけてくる石像とかいるからね」

「……そんなの見たことないのですが」


 引き抜くと叫ぶ植物はともかく、光を発する石像は超古代から伝わる技術とかが用いられている気がする。

 あまり過去の記憶はないが、本を読んでいたのは覚えているので知識はあった。


「植物の方は見つけにくいからね。危ないからあんまりスポスポ引き抜いちゃだめだよ?」

「承知しました」


 とは言いつつ、他の生徒が引き抜いてどうなるのかを見てみたい気持ちはあった。


「石像の方は……どうにも一体しかいない種だったみたいで、倒したら見かけなくなったね……」

「そうなんですね」

「10本くらい触手があったし目から光線を放ってくるし、かなり危ない魔物だったんだけど……やりすぎだったかなって思うよ」


 ジオは外的に容赦しない性質だったが、生態系を破壊したいとは思っていない。

 そのため、明らかにヤバい生き物……物質を倒したことにすら罪悪感を抱いているようだった。


「今でも存在している魔物はどうなんですか?」

「それならあの大きいトカゲが厄介だね……」


 大きいトカゲ、それが世に言うドラゴンだというのはシャーロットにもわかっていたが、ジオの呼び方に合わせて突っ込まないでいた。


「あいつは後ろにも目がついてるのかってくらい勘が良くてね……まぁ実際は適当に尻尾を振り回しているだけなんだけど、要するに後ろに回り込んでもあんまり効果がないんだよ」

「意図のない行動が時には厄介だったりしますよね」

「……よく知ってるね。尻尾を切ればかなり楽にはなるんだけど、それも大変だ。そういうことなんだよ」

「では、先生はどうやって巨大なトカゲを倒したのですか?」


 生徒のお手本のような反応にジオは嬉しそうな顔をする。


「生き物は脳を潰せば大体死ぬからね。それはトカゲも同様なんだけど、皮膚が硬いから並の攻撃じゃ通らない。かと言って強力な武器を用意しても、重かったりで逆にこっちが危険になる」


 人差し指を立てる。


「だから一番良いのが目を狙うことなんだよ。目は柔らかいから脳まで達しやすいし、振り返らないと見えない絶妙な位置で機会を窺えばあとは……ザクっとね」

「……なるほど。ですが、目を狙えない場合はどのようにすれば?」

「まぁ、その時は――」


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