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【電子書籍1〜2巻発売中】ダジャレ好きのおっさん、勇者扱いされる~昔の教え子たちが慕ってくれるけど、そんなに強くないですよ?~  作者: 歩く魚
おっさん、パーティに行く

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報告

「社交パーティに出る?」


 ロジャーとの訓練が何日か続き、ほぼ形になってきたころ。

 諸々の仕事を終えて戻ってきたシャーロットが、会うやいなやそんなことを言ってきた。


「はい。本当ならもっと早く先生の元へ帰って来れるはずだったのですが、先日先生がネームドモンスターを倒した事を聞いて、王に報告しに行ってきたのです」

「……それがパーティとどう関係してるんだ?」

「関係してはいないさ。王はパーティにジオを招いて貴族についてよく知ってもらおうと思っているんだろう。でも、世間に名は知れているとはいえ、何処の馬の骨ともわからない男を無条件に呼ぶのは怪しい」


 ルーエが得意げに説明を加える。


「そこで、凶悪な魔物を倒して村を救ったという実績が舞い込んできたことで、王は大々的に招待できるようになったということです」

「……行きたくないんだけど」


 なんとなく説明はわかった。

 国のためになることをしたから豪勢な場に呼んでもらえるということだ。

 だが、前から言っている通り気が進まない。


「王様に会う時にも少し見かけたけど、あんなキラキラした場所に居なきゃいけないなんて苦行だよ。俺もうおじさんだよ? 光が当たるとシワがね……」

「大丈夫さ。お前のシワは加齢によるものではなく努力の成果なのだから。私はそれすらも愛しているよ」

「いや加齢のシワだから……」


 努力でできるシワってなんだよ。


「……ストレートに好意を伝えるにはこうすれば良いのか……勉強になる」


 シャーロットが小声で何か言っているが聞き取れない。

 きっと、俺のシワが目立つことについて悲しんでいてくれてるんだろう。


「安心してください。魔物討伐の功績で疑われることはなくなりましたし、むしろ興味を持たれるはずです」

「興味を持たれるのも嫌なんだよね……」


 一言二言なら大丈夫かもしれないが、話が続けば続くだけ田舎者だというのが露呈してしまう。

 いや、むしろ自分が気付いていないだけで言葉の訛りなんかがあって、それが原因で……。

 俺一人がバカにされるならそれでいいが、ルーエやシャーロットにまで傷がつくのは嫌だ。


「なぁに、そう硬くなるな。いざという時は私がリードしてやるし、気分が悪くなったら帰ればいい」

「……そっか。ありがと――」

「あぁ、硬くなるというのはそういう意味ではないぞ?」

「わかってるよ!」


 せっかくルーエを見直しかけていたのに、凄まじい評価の振れ幅だ。


「じゃあ……行ってみるよ」

「ありがとうございます。パーティは来週ですので、先に服装を整えておきましょう」

「……服装を整える? これじゃダメなの?」

「お前……城で見てたんだよな?」

「あ……うん。なんとなく……」


 なんとなくとは言ったものの、照明で目がチカチカしていて9割型何も覚えていない。


「パーティにはドレスコードがありまして、男性はタキシード、女性はドレスを着用することになっているのです」

「タキ……シード? ドレスはわかるよ」


 最近のルーエはその場所に合わせた服を着ているが、最初に山に現れた時に着ていたのがドレスだったはず。

 だから、ドレスは……どれっすかと分からなくなることはない。

 ……ふむ、なかなか良いジョークが思いついたな。

 ドレスはどれっすか。

 おそらく「ドレス」には高貴、高級なイメージがあると思うが、「どれっすか」が少々崩した言い方のため、前半の硬さをうまく中和している。

 これなら若い世代にも通じるだろうし、気づいていな風を装って言ってみるか。


「もちろん、ドレスをどれっ――」

「タキシードは少しタイトな服装ですね。城下に店があるので、早いうちに向かって採寸してもらいましょう。フォックスデンの方々には後で私から伝えておきます」

「あ、はい……」


 言うまでに少し時間がかかってしまったのがいけなかった。

 このジョークを披露して一笑いもらうのはまた今度にして、俺たちは城下へ急ぐことにした。

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