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【電子書籍1〜2巻発売中】ダジャレ好きのおっさん、勇者扱いされる~昔の教え子たちが慕ってくれるけど、そんなに強くないですよ?~  作者: 歩く魚
おっさんと3人の冒険者

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ダンジョン

今さらですが、今作の「魔術」だったり「魔物の生態」だったり「ダンジョン」だったり、そういう設定はフィーリングで読んでもらえると幸いです!

 彼らの話を聞いていくと、3人で「ビギニング」というパーティを組んでいるそうだ。

 キャスは例外で、冒険者のほとんどは数人でパーティを組んで冒険を行うものらしい。

 個人的には自分でパーティ名を決めて良いというのが魅力的に感じた。

 俺がつけるなら、そうだな……。


「…………oh・sun」

「よく分からんが絶対にナシ」


 速攻で否定されてしまった。

 太陽に驚いていると思わせつつ「おっさん」というアイデンティティが入っている良いパーティ名だと思ったんだけどなぁ。


「そのパーティにしか入れないのだとしたら、どんなに危険でも個人で冒険者やると思うぞ。誰もが」

「えぇ……」


 そこまで言われるのか……。

 パーティ名の反応は芳しくなかったが、俺たちの道中は至って安全だった。

 途中で二体のオークと出くわしたが、3人は苦戦しながらも撃破していた。

 経験は多くはないのだろうが、命を落とすような危険は犯さない戦い方に好感を覚える。

 さらに平原を進んでいくと、唐突に地下へと続く坂のような穴が目に入る。


「ここが今回の目的地、平原のダンジョンです」

「ダンジョン?」


 初めて聞く単語だったのでおうむ返ししてしまう。


「説明してやろう。ダンジョンとは、ダンジョンコア……? とかいうアイテムが周囲の地形を巻き込んで生成する地下迷宮なんだよ」

「何それ怖い」


 地下の迷宮とか、一歩間違えたら戻って来れなくなりそうだ。


「確かに危険極まりないダンジョンも存在するが、おそらくここは初級も初級のものだろう。ほとんど魔力を感じないからな」

「そうです。ここは駆け出し冒険者が経験を積むために訪れることが推奨されている、比較的安全なダンジョンです」


 ビギンがハキハキと補足してくれる。


「今回はこのダンジョンの最下層、第五層へ到達する事が目的になります!」

「五層まで行くのはどのくらいかかるんですか? お恥ずかしながら私はダンジョンに入った事がなくて」

「これまでにも何度か探索した事があるのですが、3層までは到達できました」


 半分ほど探索が済んでいると考えて良いようだ。


「私もここまで低レベルなダンジョンには入った事がないぞ。おい、一層を攻略するのに大体どのくらいの時間をかけている?」

「えっと、休憩を抜いて大体5時間くらいです!」

「遅い! この程度10分で十分だろう! ジオもそう思……使い物にならんな!」


 10分で十分……こんなにサクサクとジョークが出てくるなんて、やはりルーエには才能があるようだ。


「……過労死……死ぬ……」


 ネンテンが何か言っているが、声が小さすぎて聞こえない。


「と、とりあえずいきましょうか。三層までの地図はあるので、まずはそこまで」


 ビギニングの面々に案内されてダンジョンへと突入した。

 地下へと続く穴という見た目に威圧感を覚えたが、中は思ったよりも明るかった。

 というか、一定間隔に松明が配置されていて、かなり人の手が入っているのがわかる。


「あぁ、僕たちみたいな右も左も分からない冒険者が命を落とさないよう、周辺の街や国が力を入れて整備してくれたんです」


 きょろきょろ見回している俺に、ビギンが親切にも教えてくれた。

 魔物を根絶するのではなく、若者の成長の場に利用する。

 なんとも自分勝手な理論と言えなくもないが、合理的だ。

 

「三層までは地図があるって言ってましたけど、地図はどこかで売られているんですか?」

「いえ、ダンジョンの地図は貴重なもので、販売してはいけないことになっているんです。だから冒険者は自らの足でダンジョンを探索して地図を作るんです」

「い、一応先輩がお下がりをくれることもあります……そんな幸運そうそうないですけど……死ななくて済む可能性が……上がります」


 山での最初の一年を思い出す。

 自分が今どこにいるのかわからず、空腹で倒れそうになりながら彷徨った記憶がある。

 自分の居場所を把握するというのは山でもダンジョンでも重要なことなのだ。


「地図を記すのは誰が?」

「それは……僕です……。死にたくないから頑張って描きます……」


 過剰な心配が正確な地図を記すのに一役買っているのだろう。

 適材適所というやつだ。


「私は索敵魔術を使ったりしています。魔物が角で待ち伏せしている可能性がありますから」

「そうやって安全な冒険を心がけているわけですね」


 ルーエのように、のちに復活できるわけでもなく、人生は一度きりだ。

 冒険者は危険に満ちた職業ではあるが、それは命を繋ぐためにできることを全てやった上で踏み込むものなのだと感心する。

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