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ネームドモンスター

この作品の戦いは勢いで読んでもらえると嬉しいです。

実際こうならないだろっていうのも勢いで誤魔化してください…

 俺の考える魔物とは、見た目が至ってシンプルな、デカい肉食動物という感じだった。

 生きるために得た武器、機能を有する、野生の産物。

 だが、今目の前にいるそれ、それらは、俺が今まで見たことのない「装飾」を有する種だ。


「に、2体のネームドモンスター!? 報告だと1体だったのに!」


 俺も軽く目を通したが、キャスの言う通りネームドモンスターは一体しかいないと書かれていた。

 それは巨大な蛇のような魔物だが、頭部には王冠のような装飾品を付けている。

 しかし、最も目を引くのはその蛇が対空しているという点。

 一対の翼が生えているのだ。

 物語に出てくる悪魔のような薄く黒い翼。

 あまりにもミスマッチな姿に目を丸くする。


「あれが依頼書にあったキングバジリスクっすか!? じゃあ、もっと強そうな隣のやつは!?」


 ランドも驚愕に目を見開いていた。

 そう、彼がキングバジリスクと言った個体よりも、その隣を浮遊する魔物の方が明らかに風格がある。

 鶏のような頭や身体を持っているだけでなく、鶏にはない木の幹のような屈強な尾を備え、さらに天使のような純白の翼を広げていた。

 見た目は蛇とは似ても似つかないが、その形状は山にいたデカいトカゲを彷彿とさせるもので、三者の間には関係性があるのかもしれないという考えがよぎる。


「もしかしてコカトリスなの……? いや、でも……」

「違う種みたいだけど関係はあるのか?」

「バジリスクは、その血に触れた物を石化する能力を持っている蛇なの。それに対してコカトリスは絶滅したはずの生き物で、その特徴は――」

「おわぁ!? マジか!?」


 ランドの視線の先には、先ほど撃破したオークの死体が転がっていた。

 それはある意味まだ「新鮮」な素材であったが、推定コカトリスと思われる生物の吐く息がかかった瞬間、ことごとくが石化してしまう。


「やっぱり。コカトリスはさらに強力な石化能力を持っていて、血どころか息に触れても石化してしまうの!」

「同じような力があっても別物っすよね!? なんであんな仲良さそうなんすか!」


 違う種でも共生関係にある場合も確認されているが、大抵はどちらかが強い生き物で、もう一方を守る。

 その代わりに、弱い方が強い方の利になる生態をしているのだ。

 しかし、眼前の二体に限っては、どう考えても共生の必要がない。

 どちらもが捕食する側であり、明らかに対立するはずだからだ。

 

「……確か、バジリスクがその弱点を克服するために進化した姿がコカトリスと言われているの。今ではバジリスクは直接ドラゴン種に姿を変えるとされているけど……」


 キャスは呼吸を整えて再び口を開く。


「けど、正統な進化というならコカトリスを経由するべき。二体はつがいみたいだし、一体がキングバジリスクとして、もう一体がコカトリスとして進化したと考えれば辻褄は合う」

「つまり、あいつはさしずめクイーンコカトリスっすね」

「ここからさらに進化してドラゴンになったら、私たちじゃ止められないかもしれない。今のうちに叩かないと……」


 すでに俺は蚊帳の外状態だったが、とにかくあの二体が元は同じ魔物で、放っておくと危険だというのは理解した。


「それで、俺はどうすればいいっすか!?」

「私とジオは魔術で石化に耐性を持てるけど、ランドくんまでまわす余裕はないかも。だから血に触れないように、私とバジリスクを攻撃するよ!」

「了解っす!」


 二人は頷き合うと、目にも止まらぬ速さで駆け出していく。

 キャスは走りながら、自らの身体に薄い膜のような光を纏わせる。

 一方、ランドは相手の吐血を警戒してか、バジリスクの背後に回り込んだ。


「……俺は?」


 まさかとは思うが、俺は単身でこの恐ろしい魔物の相手をしなければならないのだろうか。

 息が触れるだけで石になるとか言っていたが、彼らは全く俺を心配していない。

 

「血は蒸発させても石化効果があるから凍らせる! その隙にランドくんは砕いて!」

「おっけっす! 粉々にしてやりますよ!」


 二人は強者らしい手数の多さでバジリスクと渡りあっているらしい。


「コケェェェェェェ!!!!」


 助けを呼びたいところだが、コカトリスは私を見ろと言わんばかりに叫んでいるし、どうやら逃げることは出来なさそうだ。

 一応、俺も防護魔術をかけておくかな。


「さて、死なないように時間を稼いで、あとはキャスに頼みますか」

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