短編 ロリハイエルフに異世界TS転生しちゃった僕の冒険譚 -創作魔法で目指せ自堕落引き籠り生活-
タイトル提供企画!
オッス! 僕、社畜! ……待った、待った。作者が落ち込むから速攻ブラワザバックでブロックユーザー登録は勘弁してくれ。可能だったら感想の一つでも書いてくれると喜ぶ。いや、最近連載の方に全く……おっと、話が逸れたね。今のは忘れないでくれ。
もう皆は読み飽きているだろうから詳細な描写は省くけれど、僕は異世界に転生する事になったんだ。記憶持ち越しで魔法関連の才能と現地の文字や言葉の習得にボーナスだってよ。但し、代償も存在するらしいんだが……。
「まあ、その手の話が流行っている世界なんだから平気だろうけれど、君が転生して記憶を引き継がないなら普通に自分の人生を送っていた人物への転生だ。一人の人生を奪い、家族や周りの人達を欺いて貰い物の力でチヤホヤされる。その事で何人かが才能の差に挫折して人生を狂わせるだろうけれど……まあ、君の責任じゃないさ」
僕の責任じゃないってんならわざわざ言わないで欲しかった。これ、一生罪悪感を抱えて生きろって事?
……まあ、良いか! 神様が直々に僕は悪くないと言っているし、だから僕は絶対に悪くないんだ。うんうん、転生かぁ。
「ダラダラと好きな読書をしながら三食お八つに昼寝付きのニート生活が送りたい。転生先が楽しみだ」
ゲームとかアニメには興味が無く、読書だけが趣味だった僕。転生先は魔法が存在するらしいから僕が知りもしない物語が存在すると思うと今から胸が高鳴る。働いていた会社じゃ家に帰れない日も多くって読んでない本も沢山あったけれど、それだけが心残りかな?
「……ぷっ! 残った家族の事を心配すらしない奴は今まで多く居たけれど、敢えて転生によって何が待っているのか教えてあげたのに平気な顔する奴は初めて見たよ。前の奴なんて罪悪感から十歳の誕生日の前日に自殺したのにさ。本当に人間は面白いよ」
「うん、美味しい!」
やあ、転生後、五歳になった僕です。前世では入社後から食べる為の仕事の筈が仕事の為に栄養を流し込む作業的な食事だったけれど、今は楽しむ為の食事になっているよ。テーブルの上に並んだのは天然の食材で作られた御馳走。体が小さいから多くは食べられないんだけれど、結構濃厚な味で満足だよ。
「姫様、デザートの氷菓子です」
天然の氷を削り出して蜜とフルーツを添えたかき氷だって最高。ゼリー飲料だけで一週間過ごした事もあったけれど、本当にちゃんとした食事が三回食べられるって天国だよ。
あっ、因みに僕は女の子になっちゃってます。銀髪で青い目をしたエルフの王族。ハイエルフって呼ばれるらしんだけれど、ロリコンだったら確実に惚れていたね。いや、マジでエルフって顔面偏差値高い! 三日で見飽きる気がしないね。
名前はエリシア、現在の王様の歳の離れた妹さ。家族仲は良いし、エルフってのは身内の繋がりを大切にするらしいから政治的理由で殺される心配もしていないよ。
え? せっかく異世界転生したんだし、冒険者になるのがテンプレだろうって? ハハッ! 無い無い、有り得ない。だって僕、王族ぞよ? 例え末端だったとしても政治的価値が存在するし、少なからず重要な情報だって持っている。敵からすれば無残に殺して晒して士気高揚だの取引材料にうってつけ。それが危険な日雇い冒険者になるだなんて、税金をふんだんに使って護衛を一個師団用意しなくちゃ駄目って物でおじゃるよ、おっほっほ。
結論。外に出るのも許可が必要なのに冒険なんて出来やしない。外で勝手に死ぬのを期待されていない僕の冒険は始まる前から終わったばかりだ!
「ねえ、アッテルト。次の行商人は何時来るの? 新しい本が欲しいなあ」
それはさておき、フカフカのベッドに寝転んでの読書は最高。本は印刷技術が未発達だと高価だし、物流面が整っていないと遠くで書かれた本は情報すら入って来ない。でも、僕の広い部屋の大きな本棚には沢山の本が入っている。そろそろ新しい本棚をお願いしないとね。
「次は半年後だと一週間前に申しましたよ。それに本がどれほど入って来るかは不明です」
「また”これは王族が読むに相応しくない”って奴かしら? せっかく外の物語を読む機会なのに残念ね」
彼女は僕の専属メイドのアッテルト。身分が高い家の令嬢が王家で奉公するってのは珍しく無いらしく、行商人から外国の本を買って来てくれるのも彼女だ。でも、内容に規制が入るのが残念。エッチなのは分かるけれど、戦い重視の冒険譚だって読ませて貰えない。女の子向けの優しい世界で始まって終わる物ばかりなんだ。
「そうふて腐れては行儀が悪いですよ。ほら、もうすぐ姫様の大好きな魔法のお勉強の時間ですからね。はい、杖をどうぞ」
「そう、もうそんな時間なのね」
まあ、それはそれで面白いんだけれど、ジャンルが同じのばかりだと飽きて来るよ。僕は読みさしの本に栞を挟むとベッドから起き上がって杖を受けとる。この新しい体だけれど、足の感覚が少し麻痺しているから杖を必要としているんだ。
いや~、何か赤ん坊の時点で前世の記憶とか脳にダイレクトに叩き込んだらしくって、そんな情報量に耐えられずに死に掛けたんだよ。まあ、王族だから優秀な回復魔法の使い手が側に常駐してるから一命は取り留めたんだけれど足に傷害が残ってしまったんだ。……今の母親とか当時の世話係とかが気にしなくて良いのに自分を責めていたり、誰かが何かしたって事だけは分かったらしくって、こりゃ外には出させて貰えないって事だ。
何時も城の中ばかりじゃ気が滅入るし、どうせだったら制限無く本が読みたい。こっちに入って来ない本を現地に行って手に入れたい。その為に僕は魔法の勉強を頑張っているのさ。
ああ、因みに女の子としての人生には少し慣れて口調だって頑張っている。だって崩してたら行儀稽古の時間が増えて読書時間が減るし。でも、もう勉強時間なんて気にしなくても良いようになる計画は進んでいるよ。
「この術式なら仮の肉体を作り出せるし、後は記憶のコピーと情報の共有をどうするかで……」
ふっふっふ、折角魔法の才能を貰って神童とか呼ばれているんだし、これは目的達成の為に新しい魔法を生み出す展開だよね! 分身を作り出す魔法は実は結構進んでいるんだ、周りには内緒でね。後は姿を変える魔法の勉強を頑張って、鳥とかに変身して城の外に出掛けさせるのさ。
え? 分身を残してお前が外の世界に行かないのかって? 嫌だよ、面倒臭い。例えるなら焼き肉は食べたいけれど肉を買いに行くのは億劫だって感じ。僕はダラダラして面倒な事は全部分身に任せるのさ。勉強だって分身に押し付けて僕は隠れて読書の優雅なニート生活の始まりさ! 情報の共有で気分転換の外出を読書しながら可能なのは魅力的だ。
「じゃあ、勉強お願いね。こっちは読みかけの本を読んでいるから」
そして遂に魔法が完成! 僕は分身魔法を会得した!
「え? 嫌だよ、面倒臭い。分身だって君なんだから気持ちは分かるよね?」
「え~。だったら分身魔法を作り出した苦労はどうするんだよ」
「二人共同じ記憶を持っているんだから、苦労したのに面倒な事を受け持つのは嫌だって」
「だよねぇ……」
うん、実際に使ってみたら貧乏くじは拒否されました。だって向こうも僕だもの。互いに押し付け合おうと口論はするけれど面倒だから手は出さない。そして話は進まない。この分身、時間経過でしか消えないからさ。
「ひ、姫様がお二人?」
「「……あっ」」
そんな事している間に僕達はアッテルトに見付かって、魔法について話す事になったんだ。そして……。
「では、こちらの姫様は私と歴史のお勉強を」
「此方は税に関するお勉強ですぞ」
そして実質的にお勉強の時間が倍になっちゃった。あと、この魔法って僕しか使えないから両親や兄の仕事時間は減らないらしい。
王族って軍にインフラ、食糧生産、行政や治安維持、外交その他諸々の仕事の最終責任を受け持つからさ……一年間実質的に無休で何かあれば直ぐに判断しなきゃだから実質的に二十四時間労働、残業代や休日出勤手当なんか存在しない超絶ブラックな職場なんだ。
こんなんで冒険とか行けないよね。……分身が本当に極々希にお忍びで城下町に行くのは護衛付きで許された。小さな冒険……と言えるのかな? 言えるって事にしよう。僕の冒険はまだまだこれからだ!
感想待ってるっす