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第7話 作戦決行

 鳴海とゼロはターゲットのマンションから少し離れた場所にあるグレード・デーン公園にいた。それはもちろん。プロジェクトDをここで実行するためだ。普通の公園なら人が多く犯行現場を見られるリスクが高い。しかし、グレート・デーン公園は例外だった。


 なぜかわからないが、この公園は露出狂の出現率が異常に高く、地元の人間はまず立ち寄ることがない。学校でみだりにグレート・デーン公園には近づかないよう注意されるほどだ。ドローンのコントロール範囲内かつ、人目につきにくい。目的を達成する上でこれほど好条件の場所はここだけだった。


「さすがだなゼロ、この計画に乗って正解だったぜ」


 鳴海は勝利を確信していた。


「そうだろう、そうだろう。もっと褒めろ」


 ゼロは公園にあるバネのついたウサギの遊具に乗り体を前後に激しく揺らしていた。

 その格好で乗ると怖いからやめろ


「本当にお前は天才だよ」


 鳴海は公園のベンチに腰掛け、ドローンを起動した。ドローンは上昇するとすぐに姿を消した。

 鳴海はドローンに内蔵されているカメラの映像をスマホの画面で確認しながら操作していく。思いのほか操作は簡単だった。


ドローンを操作し順調に目的地であるマンションの3階へとドローンを進めていく。

そして、下着が干してある場所に辿り着く。スマホの画面には青、白、黒、ピンクと色とりどりのパンツが映っている。


「白だ、白のパンツをとるんだ」


 ゼロがベンチの後ろから身を乗り出し鳴海にそう言った。


「ああ、わかってる」


 鳴海はゼロに言われたとおり、白のパンツに標準を定めると、スマホの画面にある「アーム」とかかれている部位をタッチした。このアームを押すと、ドローンに内蔵されたアームが飛び出し前方にあるものを掴むことができる。


 カメラの映像で目的の物をしっかり手に入れたことを確認すると、鳴海は「リターン」とかかれている部位をタッチする。そうすれば、スマホで操作しなくとも自動でドローンが鳴海の手元に戻ってくることになっている。


「これで目的達成だ。サンキュー! ゼロ」


「この程度、呼吸するくらいたやすい」


「それもそうか。なんたってお前は天才だもんな。あっはっはっは!」


 鳴海は上機嫌になり高笑いをした。こんなにも簡単に目的を達成できるとは思わなかった。

 目的の物は風に揺られ舞うような動きをして、鳴海の手元に届いた。鳴海はパンツを力強く握りしめる。


「やった! ついに手に入れたぞ!」


 鳴海が歓喜の雄叫びを上げていると、後ろからぽんっと肩を叩かれた。


「いやー、本当に助かったぜ。ゼ……ロ?」


 喜びを分かち合おうと振り返ったが、そこにゼロの姿はなかった。

 代わりに別の人物がいた。鳴海はこの人物を知っている。しかし、今は最も遭遇したくない人物だった。身長180㎝はあるだろうがっしりした体格に色黒の肌をしている笑顔の中年。


「やあ、元気そうだな少年」


 にっこりと不気味な笑みを浮かべるその人物は鳴海が海辺で出会った警察官だった。


「……お、おつとめご苦労様です」


「いやぁ、まさか君が不可視の略奪者(ファントムミラージュ)だったとはなぁ。私の目を欺くとは恐れ入る」


 警察官の穏やかな様子が逆に怖い。


「いや、これは違うんです! 本当に、もうあの……、えーとですね。とにかくこれには深い訳があって」


 想定外の出来事に頭が真っ白になる。

 鳴海は必死に弁明するが、あまりにも分が悪すぎる。


「うん、訳なら警察署でゆっくり話を聞こうじゃないか。ファントムくん」


「その呼び方やめてください!? 違うんです! 本当に俺は不可視の略奪者(ファントムミラージュ)じゃないんです!」


「うんうん、犯人はみんなそう言うんだよね」


 警察官は鳴海の腕を掴み関節をきめる。そしてゆっくりと歩き出した。


「いたたたたたっ!痛い痛い、手とれちゃう!」


 完全に終わった……

 こんな状況覆せるわけがない。

 鳴海が諦めかけたその時だった。


「パパ!」


 聞き覚えのある声だった。

 鳴海は顔をあげて正体を確認する。

 同じセントバーナード高校の女子生徒だ。両腕には自前の手錠が掛けられている。


「日暮!?」


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