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1-5

 ギルドについての話が終わったところで、案内人が俺を尋ねてきた。

 どうやら準備ができたようだ。

 俺は裕哉と分かれ、用意された屋敷へと案内される。


「ここがスグル殿の屋敷となります」

「おぉー……」


 複数の住戸が水平方向に連なっており、それぞれの住戸に玄関が付いている建物があった。所謂長屋というやつだろう。

 その内の一つに俺は案内された。


「スグル殿の下に付ける足軽は既に中で掃除や家事を行っております」

「あっはい」


 案内人が手を叩くと、屋敷の中から俺より少し年上に見える男五人が現れた。

 その五人は俺と案内人の前に並んだ。


「これからお前たちの頭となる方のスグル殿だ」

「「「「「よろしくお願いします!」」」」」

「こちらこそよろしくお願いします」


 おう、さすが戦国時代だ。

 少し体育会系っぽい。


「ではスグル殿。後は貴方にお任せいたします。何かありましたら城の方までお越しください」

「わかりました。色々とありがとうございます」

「いえいえ。では私はこれで」


 そう言って案内人は去って行った。


 さて、まずはどうするかな。

 っと、そうだそうだ。

 まず各ステータス確認しないと。

 確かプレイヤーのステータスは最初一律50スタートのそこから上昇していくんだったな。

 んで、ステータスの最低は1で、最高が100のはずだが、限界突破するとそれ以上行くとか裕哉が言ってたが……。


 早速俺はシステムから配下となったNPCの情報を見る。

 このゲームには鑑定といったスキルがないため、何事も自身で判断する必要がある。

 だが、配下となったNPCに関してはステータスを読み取れるようになるといった補助システムがある。

 裕哉の話では、鑑定効果を持った眼鏡やアイテムが存在するようだが、今のところそういった物は市場には上がっていないらしい。

 どうやら俺の配下は平均値としては大体どの能力も30前後のようだ。

 だが足軽と言っても、器用が高めだったり政治が高めな者もいるようだ。


「お頭」

「えっと、どうかしたか?」

「わしら、この後どうすればいいですかい?」

「えっえーっと……」


 合戦があるわけでもないし、まずは武器とかの確認が先決か?


「まず俺の隊にある装備を確認してほしい」

「わかりました」


 指示すると、五人は一斉に動き出して屋敷の中にある武器などを庭に持ってきた。


「んと、刀五本に弓矢のセットが五個……ちゃんと人数分あるんだな」


 俺の装備はアイテムボックスに一式あるし、人数分を用意してくれたんだろう。


「あと屋敷の中にあるのは生活用の食料ぐらいですね」

「そうか。って……あれ? お金は?」

「恐らく外来人である頭が稼いでくる形になると思います。数日分の生活費はありますが」

「マジで!?」

「マジ?」

「あぁ……本当にって事だ」

「本当です」


 そうか。

 知行を持っていない部屋住みの俺は日々の食費だけでなく、ある程度のお金も稼いで来ないといけないのか。

 だからダンジョンというものがあり、そこでお金を稼ぐという事か。

 合戦時の兵糧については、特に何も言ってなかったし、組頭って事だから荷駄隊から配給はされるだろうけど、それでもある程度の合戦用食料も確保しないといけないと……。


「結構やる事多くね……?」

「わしらも屋敷に籠ってのんびりしてるわけにもいかんので、お城の方から出している仕事をしてきやす」

「ごっごめん……」

「いやぁ謝らなくていいですよ。わしらもお頭の下に付かなかったら出世も見込めなかっただろうしなぁ」

「だからお頭、ちゃんと出世してくだせぇよ。わしらのためにも」


 足軽たちはハハハと笑い、武具をしまい始めた。


「じゃあ俺はダンジョンの方に行ってくるから、屋敷の方は任せるよ」

「任せてくだせぇ」


 さてと、確か尾張のダンジョンは清州にあるんだっけな?

 ここからだと確か一時間だったな。

 早いところダンジョンでお金稼いできてログアウトしないと。

 明日も仕事あるし……。


 馬で移動中に考えてみた。

 このゲームでの行動は大まかに分けると、ダンジョンでの素材お金集め、城や屋敷の運営、兵士の教育と訓練、合戦の支度の四つといったところか。

 まぁ戦国時代なんて常に鍛錬と支度って形だもんな。

 と、いつの間にか清州のダンジョン前に着いていた。

 ダンジョン前にはプレイヤーらしき者がおり、共に行動をしているようだった。

 そういえばプレイヤー限定でPT機能があるんだっけか?

 合戦では位置がわかるからできないとか裕哉が言ってた気もするが……。


「さーって、寝る前に20層ぐらい行くかー」

「明日休みだし潜れるまで潜るかー」

「今日も今日とてダンジョンに……」


 ……なんか一部虚ろな目をしてるプレイヤーもいるな……。

 とりあえず刀と防具装備してっと。

 兜はないけど腕と胴と足の最低限はあるからまぁいいだろう。


 早速ダンジョンに潜ってみたところ、土壁でできた通路型のダンジョンのようだ。

 道幅も広めで戦いやすいようにはなっているようだ。

 まぁそこは深くなればなるほど戦いずらくなるとかもあるだろうが、始めたばかりの俺にはあまり関係ない事だろう。

 っと、初戦闘の相手が現れた。

 戦国時代だから落ち武者かなとも思ったが、まさかのゴブリンっておい!

 これまさかドラゴンとか出てくるんじゃ……。


「キシャァァ!」

「っと!」


 今は余計な事を考えてる暇はないな!

 俺はゴブリンの振り回しているだけの剣を避けつつ、ムキになって突っ込んできたのを避ける。

 俺が避けたため、ゴブリンは勢いを殺せずに地面に倒れる。

 そんな無防備なゴブリンの背中を俺は袈裟斬りする。


「グギャッ!?」


 ゴブリンはそのまま地面に倒れるが、身体はピクピクと痙攣している。

 そこで俺はゴブリンにもHPがない事に気づき、止めの一撃をゴブリンに与える。

 するとゴブリンの姿が消え、何枚か貨幣が落ちた。


「えーっと……これがドロップアイテムって事か?」


 アイテムボックスに落ちている貨幣を入れると、4文と所持金が増えた。

 どうやらあれがお金だったようだ。


「となると、ドロップではお金と素材、もしくはアイテムってところか」


 そうなれば話は早い。

 モンスターを狩ればお金が貯まる。

 お金が貯まれば装備や素材も買えるようになる。

 素材が出れば更にお金になる。

 そうやってお金を稼げばいいんだ。

 てっきり素材を集めて売り続けるかとも思ったが、お金も落ちるなら話は別だ。


「さて、狩りまくるか!」


 そうして俺はダンジョンの奥へと進んでいった。 

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