第四十三話 俺、蛮族になります!
「うぃーす、こん~……ってどわぁっ!」
その日CAOに入ると目の前にヒョウ柄のビキニを着たエルフがいた。
「ちょっとゼット。それは近いって! 流石に恥ずいんですけど」
もとい、ジャガー柄ビキニのU子である。
ちなみにジャガー柄とヒョウ柄の違いは柄の黒丸の中に斑点があるかないかだ。あるのがジャガー、無いのがヒョウである。
「うっせ、ログアウト場所を調整しない、システムに文句を言えよ! で、どうしたんだそれ?」
「作ったにきまってんじゃん。そしたら着たくなるっしょ?」
「いや、森ん中でビキニって、どこのアマゾネスだよ。しかも、獣柄って、アマゾネス感マシマシだな」
「なにそれ~。でも、エルフのアマゾネスってちょっといいかもしんない。弓もうちょっと練習しよっかなぁ?」
「マスター、マスター私たちはどうですか?」
U子と話していると、今度はイザベラとエヴァさんがやってきた。イザベラは襟巻、エヴァさんはネクタイを付けている。もちろんジャガー柄だ。
「お嬢とその護衛って感じでいいんじゃねぇか? よく似合ってる」
エヴァさんがサングラスしていれば完璧だな。
「うーんなんでしょう、褒められてるのに、全くうれしくありません。エヴァはどう思います?」
「イザベラは知らなく手もいいことですよ。どんな評価をされようと、あなたが可愛いことは変わらないのですから」
エヴァさ~ん、甘やかしはよくないと思いま~す。
「マニコ達にも作ったんだけど今はいないんだよねぇ。あ、これゼットのだから」
渡されたのはフード付きマントだった。しかもフードの部分がちゃんとジャガーの顔になってる。
『森林王のマント』(耐久値666)Def11 Mdef5
密林の王者である、ジャガーの毛皮で作ったマント。装備したものの野生 を引き出す効果を持つ。STR8%up
しかも効果がすげー。何より俺の弱点である魔法防御が強化されるのがうれしい。
「え? マジにもらっていいの?」
「おすそ分けみたいなもんだし、受け取っちゃってよ。まだまだ腐るほど毛皮はあるしさ」
「んじゃ、有り難くもらっちゃうわ。サンキュな」
しかし、今の装備に似合わないのが難点か……。
いっそのことこの装備に似合う装備を新しく作るのも手だが……。
「U子、一つ仕事を頼まれてくれないか?」
「いいけど、報酬は出るの?」
「俺がコツコツ作り続けてる、魔樹のビーズセットでどうだ?」
「乗った。んで何を作るん?」
「そうだな、こういうパーツをだな……」
俺はパネルを開いて図面を書き始める。U子も気に入ったようですぐに作業を始めてくれた。
そして……。
「うぉーなんだこれ、かっけぇー。マジかっけぇー」
「そうだろう! そうだろう! もっと褒めていいんだぞマニコ」
久々の二足歩行タイプ。脛、前腕部、そして肩パーツにジャガーの毛皮をあしらい。森林王のマントをフード付きで被った。そしてと新しく作ったチェーンソーアックスとラウンドソーシールドを持てば。
「まんま蛮族よね。こういう野蛮なのはあたしは好きじゃないけど……。ま、森にはあってるんじゃない?」
その通り、イメージコンセプトは蛮族の戦士。金属斧を持てるほどSTRがないからCSアックスのなんちゃって蛮族だけどいいんだ。見た目と実用性を天秤にかけてバランスをとるのもこういう装備のだいご味だよね。
それにしても、木と陶器に加えて、さらに毛皮とか。ますます機械から遠ざかるなぁ。
ステータスはこんな感じ。
名前:ゼット 大種族:機械族 小種族:ギア・バルバロス
HP57 SP13458
STR:61
VIT:35
AGI:36
TEC:62
INT:18
MEN:92
ATK:78~135 DEF:60 MATK:1 MDEF:24
スキル:機工士Lv78 木工:Lv71 錬金術:Lv25 陶芸:Lv40 石工:Lv15 土木Lv23 大声:Lv28 調剤:Lv20 隠伏:Lv34 精密動作:Lv58
装備
バルバロスアーム×2[耐久値528]
バルバロスボディ[耐久値695]
バルバロスヒップ[耐久値514]
バルバロスレッグ×2[耐久値672]
森林王のマント[耐久値666]
CSアックス[耐久値781]
RSシールド[耐久値1028]
その他、4足よりやっぱり安定感に欠けるため。立ち回りがちょっと変化するかな?
使ってみないとわからんけど。
「そうだ。ちょうど、あたしのダンジョンの試作版ができたとこだからさ。そこで慣らし運転しなよ」
「運転っていうとちょっと違う気もするけど……って、やっと完成したのか!? 正直もう忘れてるのかと思ってたぞ!」
「ひどーい、マニコは初志貫徹する女なのだよ?」
「それなら、あたしも行くわ、試運転のゼットだけじゃ不安だし」
「うぃーっす。あちしもニコっちのダンジョンいってみたいっすー」
「私も、行きたいです。ゼットさん役に立ちますよね? 私!」
それぞれ、手をあげるレキ、U子、ペコリカ。
ってかペコリカ、そんな慌てなくてもつれていくって。
「んじゃ、この四人で挑戦してみっか。じゃあ、マニコダンジョンまで案内頼む」
「おっけー。任されたー」
軽い感じで、答えるマニコについて森の奥を目指す。このときはまだわかっていなかった。俺たちはこの選択を激しく後悔することになるのである。
「そいえば、これ渡してなかったから、忘れないうちに渡しとくね」
「え? わーヒョウ柄の帽子だぁ。ありがとうU子ちゃん」
「マニコそれはジャガーよ。この前倒したやつよね? あたしのは、スカーフ? 首に巻くのね。なかなかいいセンスじゃない」
「でっしょー。あ、ペコっちはこれね」
「……なんであたしだけパンツなんですか!」
「え? でもぺこっちって全裸じゃん? 恥ずかしくないん?」
「猿だからいいんです。むしろ毛皮の上からこれはいてる方がなんか卑猥ですよ!」
「そっかなー、似合うと思うんだけどなー」
「セリフが棒になってますよ! もぅ、いい加減にしないと怒りますよぅ」
「ごめんごめん。本当はこっち」
「レキさんと同じでもないですね、こちらは大きさから言って腕に巻くんですか?」
「そうそう、それならちゃんとおしゃれっしょ?」
「もぅ、あるなら初めから出しやがれってんですぅ」
あー、楽しそうっすね。おっさんはあの空気の中には入ってけないっすわー。むしろ入ったらいけないっすわー。
ダンジョンまでそんな道中を過ごすのであった。
ラストのは緩和にするにも短すぎるので入れただけです。
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