第三十三話 教育ってむつかしい
っと言うわけで自分の作業場に到着っ。コボルトたちは何も言わず、ついてくるだけだ。ホントおとなしい犬と変わらないな。
だーさんの話では話はできないけどこっちの言うことはかなり正確に理解してくれるとのことだけど……、
「どうすっかなー」
方針が決まらない。こういう時は初心に戻るべし、取りあえず自分のステータス確認からするか。
名前:ゼット 大種族:機械族 小種族:ウッディーギア「魔」
HP51 SP9456
STR:53
VIT:31
AGI:29
TEC:67
INT:15
MEN:86
ATK:56~105 DEF:49 MATK:1 MDEF:12
スキル:機工士Lv72 木工:Lv69 錬金術:Lv21 陶芸:Lv39 石工:Lv15 土木Lv23 大声:Lv15 調剤:Lv15 隠伏:Lv33 精密動作:Lv46
装備
魔樹のバケットアーム[耐久値582]
魔樹のマニピュレーター×2耐久値[468]
魔樹の胸パーツ[耐久値643]
魔樹の腰パーツ[耐久値451]
魔樹の足パーツ×4[耐久値502]
つってもそんなに変わってないんだよな。新しくメインアームは開発はしてないしレベルも、戦闘系が少し上がっただけだ。つかメインは上がりすぎて上がらなくなってきたんだよなぁ。
予備パーツは。各種四肢パーツとディスクボウガン、スチームシールド、セラミックチェーンソーにグラインダー、飛行用コハクパーツ。あとはバケットアームか、これから建築がメインになるだろうし。クレーンパーツとかがいるか?
あーだめだ、自分を見ててもなんも浮かんでこない。
今日はコボルトたちの育成方針でも決めようか。
ミッキ
HP280 MP15
STR:21
VIT:16
AGI:20
TEC:33
INT:16
MEN:10
ATK:27~28 DEF:8 MATK:2 MDEF:1
スキル:料理Lv3
ドナル
HP282 MP15
STR:26
VIT:18
AGI:20
TEC:37
INT:12
MEN:13
ATK:27~28 DEF:8 MATK:1 MDEF:2
スキル:弓LV1
グーフ
HP278 MP18
STR:19
VIT:14
AGI:19
TEC:39
INT:20
MEN:14
ATK:21~23 DEF:8 MATK:4 MDEF:3
スキル:木工Lv4
を、最初から木工もちがいるな。これは当たりだ。あと名前には突っ込まないぞ。きりがないからな。
確かMOBNPCは覚えることができるスキルに種族限界があったよな……、コボルトはっと、三つまでか、厳しいな。他のは建築をやってる間に勝手にスキルはやしちゃうだろうし、好き勝手いじれるのはこいつらだけだと考えると、無駄なスキルは生やせないぞ。
うーんやっぱり木工かなぁ? 使える範囲が多いし、ここを拠点とするなら一番有用だよな。
よし、木工をはやしてもらおう。
俺は、ストレージから趣味で作った足漕ぎ式のグラインダーを取り出す。
「じゃあ、グーフくんに教わって、これで木を削っててね。グーフくんは二人にちゃんと教えてあげてね。それで、木工生えたら教えてくれるかな?」
三匹はこくりとうなずくと。早速作業に取り掛かった。
さて、俺の方は建築用木材でも作ろうかね。
◇◆◇
建築用木材を作り始めしばらくしたら、るーさんが訪ねてきた。
「すみませ~ん。鉱石割るの手伝ってもらっていいですか?」
オレタートルの牧場は順調で毎日鉱石はたまっていってくれている。中身も魔石は出なくなったもののなんと石炭と鉄鉱石がとれるようになったのだ。いまだレアなので自分のパーツに使うほどはとれないんだけど、それのおかげでるーさんの鍛冶は大分はかどっているようだ。
ただ鉱石を割るのはDEXの関係上まだまだ苦手らしく中身をだめにしてしまうこともしばしばなので、絶対成功したいときは俺やだーさんが手伝っている。おかげで石工のレベル上げもできるのでこっちとしても願ったりかなったりだ。
「あれ? 今日、だーさんは?」
「一人で狩りに行ってます~。私はいま鍛冶が楽しいので~、分かれて遊んでるんですよ~。鍛冶スキルはSTRも鍛えられるので~、ステータスはそんなに離されませんし~」
「なるほど、じゃあ割っていきますか」
その日の成果は、鉄鉱石5個の銅鉱石17、石炭8の可もなく不可もなくといったところだった。鉄鉱石よりも錫鉱石とかの方がレアなんだよなぁ。
「ありがとうございました~。またお願いしますね~」
「あ、そうだるーさんちょっと待って」
去っていく背中を見て俺はあることを思い出して声をかける。
「はい~、なんでしょう~?」
「建築用の釘を発注したいんだけどできるかな? だーさんが連れてきた子たちの家を早く作ってあげなきゃなんだけど、寄木組の技術は俺たちにないしさ、必要だと思うんだよ」
「釘ですか~、まだまだ細かいのは苦手なんですけど~、そうですね~、頑張ってみます~」
「ありがとう、報酬は何がいい?」
「いえ~、カメさん牧場の恩恵を一番受けてるのは私ですし~、その分ギルドに貢献しなきゃなので、こんかいはただでいいですよ~」
「ほんと? 助かる」
「いえいえ~、それに~、私もそろそろ武器に鋲を打ちたいかな~って思ってたので~、その練習も兼ねてますし、一石二鳥ですから~」
相変わらずさらっと怖いことを言う人だあの金属バットが釘バットになる日はそう遠くないのかもしれない。
るーさんを見送るとちょうど、コボルトたちが作業を終えて帰ってきた。
さてさて、どうなったかな?
ミッキ
HP280 MP15
STR:21
VIT:16
AGI:20
TEC:33
INT:16
MEN:10
ATK:27~28 DEF:8 MATK:2 MDEF:1
スキル:料理Lv3 機工士Lv1 木工LV1
ドナル
HP282 MP15
STR:26
VIT:18
AGI:20
TEC:37
INT:12
MEN:13
ATK:27~28 DEF:8 MATK:1 MDEF:2
スキル:弓LV1 機工士Lv1 木工LV1
グーフ
HP278 MP18
STR:19
VIT:14
AGI:19
TEC:39
INT:20
MEN:14
ATK:21~23 DEF:8 MATK:4 MDEF:3
スキル:木工Lv4 機工士Lv1 教育者Lv2
なんで、機工士が増えてんの? え? なに? あのグラインダー使わせたから? そしてグーフくん教育者って、そんなスキルあった事すら知らないよ。おそらく二人に教えてたから生えちゃったスキルなんだろうけど、あると知ってたら「教えてあげてね」なんて言わなかったのに。
何にしろ、これでコボルト三人組のスキル欄は埋まってしまったのである。
忘れさせる方法はまだ見つかっていないからもうどうしようもない。仕方がない、このままいくしかないか……。
久々の失敗に打ちひしがれながら、俺はコボルトたちにも建築用木材の作成をお願いしたのだった。




