第二十五話:筋肉進化
前回、敷設をずっと「しきせつ」と呼んでいたので誤字をしてしまいました。正しい読みは「ふせつ」です。皆様はお間違えの無いようにw
「ほらほら、マスターどうですか?」
ログインすると同時にイザベラさんが両手を広げくるっと一回転して立ち姿をアピールしてきた。
全身を若草色の包帯でくるんで、いつの間に作ったのか桜色のワンピースまで着ていた。心なしか髪の毛につやも戻った気がする。
まんま死体だった今までに比べて幾分ましになったと思うが・・・・・・。
「うん、強そうになったな」
「え~、何ですかそれぇ~」
いやだって色違いのモンスターはたいてい強化版ってのがRPGの常識だろ?
「女の子に服装のこと聞かれてその解答は無いですよ。さてはもてませんねマスター?」
「ほっとけ、と言うかそういうのはエヴァさんに言ってもらったらいいだろう?」
「もちろん昨日一晩じゅう言ってもらいましたとも。でもそれとは別にいろんな人の感想が聞きたいのが乙女心なんです!」
うぜぇ・・・・・・って思ってしまうあたりやったり俺にモテの才能は無いんだろうな。っていうかエヴァさんがいないのはそれのせいで今寝てるからだったりするのか?
「それにしても結構カラフルだな」
「でしょ。結構苦労したのよ?」
奥で何やら作業をしていたレキが会話に加わってきた。
「確かに何もないところから一週間でここまでってのは、すげぇな」
「まね、って言いたいところだけどほとんどはイザベラの知識から再現したものばかりよ。それにしても草木染めって調剤の範囲なのね。スキルが生えてきてびっくりしたわ」
「へぇ、そうなのか・・・・・・ちなみに今レベルいくつ?」
「調剤? 18だけど」
「うわ、そこだけなら抜かされてるし」
ちなみに今の俺のステータスはこんな感じだ。
名前:ゼット 大種族:機械族 小種族:ウッディーギア「魔」
HP51 SP7821
STR:53
VIT:31
AGI:29
TEC:67
INT:15
MEN:86
ATK:56~105 DEF:49 MATK:1 MDEF:12
スキル:機工士Lv71 木工:Lv68 錬金術:Lv14 陶芸:Lv35 大声:Lv8 調剤:Lv13 隠伏:Lv20 精密動作:Lv23
装備
魔樹のバケットアーム[耐久値582]
魔樹のマニピュレーター×2耐久値[468]
魔樹の胸パーツ[耐久値643]
魔樹の腰パーツ[耐久値451]
魔樹の足パーツ×4[耐久値502]
全身を魔樹パーツに置き換えることによって。高STRを獲得これによって素手でもディスクボウガンより上の攻撃力が出せるようになった。耐久値はそれほど上がらないが燃費が少し悪くなったぞ!(ヤケクソ)
切株を掘り起こすために作ったバケットアーム(ショベルカーのあれ)が以外に戦闘でも使えるので道を作るときの雑魚MOB掃除に役に立った。三本目をはやしてもそれほど苦労せずに扱えたので、やはり構造が単純な方が扱いやすいようだ。
苦労したのは足の方で、バケットで土を掘り返すのに接地が安定している方がよいだろうと四つ足にしてみたはいいが最初は歩くだけでかなり神経を使ってしまった。道路の敷設にかかった時間の半分以上はこれに慣れるためだといってもいいだろう。
え? なんでそんな効率の悪い事しているかって? だって早く四つ足に慣れたかったんだもん。四脚人型マシンってロマンだよね?
まあそんなこんなで、土木作業ばっかりやってたからスキルの方はお察しで、機工士以外はほとんど上がっていないのであった。
「そうなんだ、あたしでもあんたに勝ってるところが一つはあるのね」
「そんなに自キャラを卑下すること無いだろ? そっちは特化型だからAGIとINTはもう確実に上だろうし」
「ちなみにいくつよ?」
「AGI29のINT15」
「アー確かに、あたしがAGI41のINT64だから勝ってるのね。レベリングはそれなりに効果が出てるってことか」
「レベリングってどんなことしてんだ?」
「INTはねぇブレスうってりゃ自然と上がるんだけど。AGIは地味なのよ。敵の攻撃をひたすら回避し続けるの。前衛だったら普通に戦闘してりゃ上がるんだろうけど後衛だからさ。それだけやる時間を作らないと追いつかないわけ」
「うわ、それは地味だな。延々攻撃をかわし続けるだけとか俺には無理だわ。心が折れる」
「それも分間アタック回数を考慮してビッグコックローチ相手だからね。なんか悟り開けそうになってくるわ」
「わぁ、なんか難しい話してますねぇ。マスターすごいです」
いや、こんなの普通のゲームトークデスよ? 難しくなんて無いよね?
と言うかこの元騎士、こんなんだからきっと永遠の見習いだったんだろうなぁ。
「あら~、みなさんおそろいですね~」
そこでいつもの間延びした口調と共にるーさんがやってきた。珍しく今日は一人の様だ。
「あれ? るーさん今日は一人? だーさんは?」
「今日は仕事の都合では入れな
いんですよ~。私ひとり家にいても詰まらないので~、皆さんとお話だけでもと思って入ったんです~」
なんか二人でワンセットな感じだったから一人だけなのは新鮮だな。
「と言っても私はこれからレベリングだし、マニコも見当たらないのよね入って入るんだろうけどWISしても反応無いし」
「あ~、俺がちょっと牧場のためのモンスター改造依頼してるからかな? 集中すると周りが見えなくなるタイプみたいだし」
「牧場ですか~いいですね~。でもどんなモンスターを育てるんですか~? ここら辺では~、牛型とか~羊型とかのモンスターは見かけないのですけど~」
「それは、出来てからのお楽しみと言うことで・・・・・・、というわけで俺は牧場のための土地を切り開きに行くのでこれで失礼するな」
「あ~、よければ私も手伝いますよ~。どうせ暇なので~」
「本当ですか? 助かります」
「んじゃひとまずここで解散ね。いてらー」
◇◆◇◆◇
「ここを切り開くんですか~?」
俺たちは魔大樹の西側、マニコの領域がある方とはちょうど反対側に来ていた。
「ここは木がまばらになってるし草も背の低いもの中心で何より整地しなくても結構平らだから」
「なるほど~、考えていらっしゃるんですね~」
「それじゃあ、俺は木を切り倒していきますのでるーさんは柵を打ち込んでいってもらえますか?」
「了解です~」
俺はあらかじめ作っておいた柵と木槌を渡した。
「それじゃ~行きますよ~」
グシャァッ!
るーさんが木槌を振りおろすとともに、柵は派手な音を立てて砕け散った。
そうだ、この人パワー系の方だった。
「あ、あら~? すみません~」
「いや、柵はまだたくさんあるからこれから気をつけてもらえればいいよ」
結局、るーさんがちょうどいい加減を覚えるまでに4つの柵が犠牲になったのであった。
「そう言えば、ほんとるーさんが一人だけって珍しいですね?」
「そうですか~? そんなこともないんですけどねぇ。うちは自営業ですから家でも四六時中一緒なのでたまにはプライベートな時間がほしいと思う時もありますよ~」
「そういうもんですか?」
「そういうもんです~。そういう意味では同じ部屋にいても別空間を構築できるVRって便利なのですよ~。奥様友達でCAOをやっている人はいないですけどプライベートタイムを作るためにVRバカンスとかを利用している人は結構いますし~」
なるほど、独り身にはわからん苦労があるのだろうな。
「あっ、なんか進化しそうです~」
「えっ! このタイミングで?」
「なんだか、土木作業はSTRとVITに効くみたいですね~、面白そうだから、このまま進化しちゃいますね~」
そう言うとるーさんはまばゆい光に包まれたかと思うと・・・・・・そんなに変わんないな。
幾分たるんでた体が引き締まったか?
「なるほど~小種族名はオークワーカーらしいですね~、耐性が各種ちょっとだけ伸びてSTRとVITにほんの少し上方修正がかかる感じですか~」
「ワーカー(労働者)ですか? もしかしたら・・・・・・」
「そうですね~土木作業することが進化条件だったのかもしれませんね~。ということはガテ筋ですか~、ちょっと憧れてたのでうれしいですね~」
にゅふふと今まで見たこと無い笑い方をするるーさん。もしかしなくても筋肉ふぇちなのだろうか?
その後、牧場づくりは進化したるーさんが張り切って、その日のうちに終わってしまった。マニコの方はまだかかりそうだし。明日は何をするかな
ステータスは色々書いてますけど結構適当です。ドラゴンボールの戦闘力とか、トリコの捕獲レベルみたいなもんだと思って目安程度に思っておいてくださると丁度良いかと思いますよ。
それでは、ここまでお読みいただきありがとうございました。




