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すろ~らいふ・モンスターズ~最弱機械族から始めるまったりプレイ~  作者: woza
シーズンわん:結成すろ~らいふモンスターズ編
23/65

第十九話:補修と探索

「おかえりなさいませ皆様。その様子だと首尾はよろしかったようでございますね」


 プラントイーターの巣から戻ると、エヴァさんがロビーで出迎えて得くれた。


「・・・・・・えぇ、マニコもそのうち戻ってくると思います。あっそうだエヴァさん」


「? なんでございましょうか?」


「いや、大したことではないのですけどね。明日、ギルド長の部屋以外の部屋を見せてもらってもいいかなって思いまして」


「別に良うございますが。すべての部屋は植物に侵されていて、特に見るべきものは無いかと思われますが?」


「違いますよ、植物に侵されているからです。補強が必要なところとかがないか見ておきたいんですよ」


「そういうことでしたか。解りました。それではお待ちしております」


 そうして俺たちはギルドホール出たところでドロップの分配をして解散した。


 さて、俺も明日のために仕込みをして寝るとするか。




◇◆◇◆◇




 翌日、入るとたまり場にはマニコとレキだけだった。だーさんるーさんはまた二人で狩りだろうか? 仲のいいことだ。


 それだけならいつもの光景なのかもしれないのだが、一つ大きく変わっていることがあった。


「何ぼーっとしてんのよ? 入ってきたんなら挨拶くらいしなさいよ」


「あぁ、すまんレキ。その尻尾モフらせてもらっていいか?」


そう、レキに立派な尻尾が生えていたのである。本体が今まで通り毛玉であることは変わりないので、実にモフりがいのある毛玉が二つ並んでいるという珍生物になっていた。


「はいはい、事案発生、事案発生。取り合えずハラスメント報告を運営に飛ばすけどいい?」


「挨拶をしろって言ったのはレキの方だろ?」


「だからあたしも、ちゃんと挨拶を返したのよ」


「なるほど。で、進化したのか?」


「そういうこと、イズナからイナリに進化したわ。昨日のボス戦で結構レベルアップしたからもうちょっとだと思って、今日は早めに入ってマニコに手伝ってもらいながらレベリングしたのよ。各種能力値ボーナスに加えて。ユニークスキル「祟り」を覚えて補助ブレスが強力になった感じね。当初の予定とは方向性の違う進化なのは残念だけど」


 それで今日はマニコは寄生モードなのか。今回はサルではなく犬だ。ゾンビの様な動きの犬と毛玉狐が一緒に狩りをする光景を想像すると結構シュールだよね。


「それについてはすまん。このクエストが終わったら俺もレベリングに付き合うわ。魔法属性攻撃は確保しておきたいからな」


 だーさんもいるがあの人がまともに魔法攻撃してるとこみたことないしなぁ。


「そういえばマニコは白蟻の巣をちゃんと移せたのか?」


「ばっちしぐーよ。ついでに前の巣穴は働きアリを使って埋めといたから、後は壁を塗りなおすだけだね」


「蟻を使ってってどうやったらそんなことできるんだよ?」


「ん~? ちょっとフェロモンを合成できるようにしただけだよ? そういう方面に強いのさマタンゴは」


「それにしても仕事速すぎでしょうマニコさん。そうそう、壁の塗り直しは今日俺がやっとくから安心しな」


「塗りなおすって、素材はあるの?」


「うまくいってりゃな。駄目だったらただの粘土で固めるんだけど・・・・・・」


 そう言って俺はいつもの実験場所へ移動して、昨日仕込んでおいたあるものを確認した。


「よしよし、うまいこと固まってるな。俺の勘も捨てたもんじゃないな」


「この白い塊がどうしたの?」


「これは漆喰[暫定]だ」


 当たり前のようについてきたレキとマニコの質問にドヤ顔で答える俺。


「[暫定]ってずいぶんあいまいだけど何なのよ?」


「暫定なのはまったく同じものなのかわかんないからだな。昨日ドロップ分配の時にさ、ドロップ品を放棄する代わりにるーさんからホワイトストーンマンのかけらを譲ってもらっていたのさ。それが石灰質じゃないかとにらんで、砕いて焼いて水と増せて砂と草を煮込んで取り出した繊維と樹脂を混ぜたものがこれってわけ」


 ウィキで調べただけの情報で適当に作った割にはよく出来てるんじゃないか? こんこんと叩くといい音がするそれを確認しながら俺は一人頷いた。


「ついでにこんなのも作ってみた」


 そう言って俺は製作スロットから出来たばかりの一つの道具を取り出した。


「左官ごて~」


 その名の通り左官さんが漆喰やモルタルを塗って平らにするために使うアレである。わざわざ、朝早くに職任用専門店に言って実物を購入してまで作っただけあってかなりの完成度だ。


そして、その左官ごては虹色に輝いていた。


「ばっかじゃないの?」


「えぇっ! だって強度とか表面のなめらかさとか考えたら今持ってる素材の内じゃ虹色セラミック以外に選択肢がないじゃん!」


「だからって普通、レア素材で使うかどうかも分かんない道具を作る?」


「いや、昨日の時点ではそうだったけどさ、こうしてちゃんと漆喰が出来たわけだし結果オーライじゃん?」


「希望的観測による先行投資は感心しないわよ? マニコもなんか言ってやったらどう?」


「そうだよ、なんで漆喰の実験に呼んでくれなかったの!?」


「ぶれないわね、あんたも・・・・・・」


 ホントにな。


「ともかく、明日になる前に俺はギルドホールの補修工事を済ませておきたいんだけど付いてくるか?」


 訊くと二人とも首を横に振った。


「あたしは引き続きレベリングしてるわ。それこそ明日のボス戦までにちょっとでも強くなっときたいから」


「興味はあるんだけどねぇ。今日はレキに付き合うって約束しちゃってるからさ」


「そっか、それじゃあ、また明日な」


 俺はマニコ達と別れギルドホールを目指した。




◇◆◇◆◇




「今日は、おひとりなのですね」


 エヴァさんは今日もロビーで一人たたずんでいた。


「こんにちわ、エヴァさん。今日も暇そうですね?」


「えぇ、特にやることもないものですから」


「・・・そうですね。じゃあ、床下に入れるところとかってどこかありますか?」


「床下・・・・・・ですか? ちょっとわからないですね。そんなところを見てどうなさるのですか?」


「やっぱり、基礎は大事ですから。補強するならそこからだろうと思いまして・・・・・・まあ、いいです。じゃあ一階の部屋から見せてもらいますね」


 地下の壁塗りは一番時間がかかるだろうから後回しだ。俺は一階の部屋を回って間取り図を作り重要そうな柱をチェックして、寸法を測り、必要そうな資材を作るために図面を引きマニコの領域で切り倒した木で作った木材を製作スロットへほうりこんでいく。二日ほどで乾燥まですんじゃうなんてさすがゲームだよね。


 そこで初めて知ったが、大きさによりスロットを複数使わなければいけないものがあるようだ。本格的に建築や建造をするとなるともっと製作スロットが必要になるのか・・・・・・。


 一階は共有スペースらしく、トイレ、風呂、台所はもちろん、鍛冶場や理科実験室の様な場所まで完備されていた。もちろんすべての施設、道具は埃にまみれ蔦や雑草が絡まり壊れてしまっているものも多く、そのまま使えるものはほとんど無いのだが。それでも有用であることには変わりは無い。やっぱり出来るだけ無傷で手に入れたいよなぁ。


 柱や梁自体からも枝が出ていたりしていたのでちょっと剪定してみる。切った端からあっという間に生えそろってしまう。やはりボスを倒さなければ植物自体を排除するのは無理なようだ。


 施設や道具の確認をしている間に補修パーツが完成したので順次取り付けていく。釘なんか無いので嵌め込み式だ。ディスクグラインダで元の柱にも穴をあけてそこに補修資材を嵌め込もうとして、木槌が無いと不便だということに気がつき急遽製作。もったいないが、今から倒木を探しに行っている時間はさすがに無いので、マニコの領域の木で作る。


『システムメッセージ:アイテム名『魔樹のハンマー』が完成しました』


 魔樹のハンマー?


 特に変わったところは無いように見えるし耐久値も他の道具と比べて大きく差は無い。まぁ、とにかくモノがたたけりゃ木槌としてはOKなんだから検証は後にするか。


 梁や柱の角に斜めに補修資材を一通り嵌め込んで、傷みのひどいところには補助柱を立てていく。テレビのリフォーム番組の見よう見まねだがやらないよりはましだろう。


 一通り嵌め込んだところで台所の床の端に開ける場所を見つけた。


 開けてみると床下への入り口の様だ


「なんだ、こんな所にあるじゃないですか」


「そうでございますね、普段台所になど入らないので、気がつきませんでした」


「あぁ、その体だとモノを食べませんもんね」


「え? あぁ、そうなのでございますよ。この体になってから本当にここには縁がなく・・・・・・」


 何やらあわてて賛同するエヴァさんをおいて、俺は床下へとはいって行った。


 すみません。大分、遅くなってしまいました。

 今月中にはギルドホール編を終わらせたいと思っているんですが間に合うかなこれ?


 ここまで読んでいただきありがとうございます。


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