第十二話:楽しい実験教室「虹色の砂と魔石・前篇」
あのあと、俺たちはそれぞれの強化に努めるべく解散した。
俺は残り時間いっぱいまで亀を狩って(残念ながら魔石は出なかったやはり3個も出たのは運が良かっただけらしい)、あらかじめ図面を引いておいた新しい胸パーツと腕パーツを作成スロットに入れてログアウト。
ちなみに製作時間は16時間ちょい。
機工士と精密動作のレベルが上がったことで、小枝のマニピュレーター八個同時操作が可能になり、道具作成も5つ同時進行が出来るようになったが、その分時間もかかるというわけだ。
明けて翌日。
仕事から帰ってくると、ちょうどよい感じに製作が終了していたので試着してみる。
子供の腕ほどの大きさで5本指の本格的のマニピュレーターだが、扱うのにSPも余裕があるほどだ。
それを胸パーツに4本付けているので、新しいてけてけみたいになってしまったが、おおむね問題なし。今日は、狩りをせずに実験だけの予定だから機動力は問題じゃないのだ。
そんな今の俺のステータスはこんな風になっている。
名前:ゼット 大種族:機械族 小種族:マッドパペット
HP35 SP1162
STR:19
VIT:21
AGI:9
TEC:71
INT:12
MEN:55
ATK:2~11 DEF:34 MATK:1 MDEF:5
スキル:機工士Lv51 木工:Lv45 錬金術:Lv10 陶芸:Lv21 大声:Lv1 調剤:Lv11 隠伏:Lv13 精密動作:Lv16
装備
倒木のマニピュレーター×4[耐久値451]
倒木の胸パーツ[耐久値623]
まず目を引くのは4ケタの大台に乗ったSPだろう。どういうことなの!? と調べてみたところ機械族とはそういう種族らしい。『SP5ケタ乗ったらようやく序盤は終わりです』とか攻略サイトに書いてあったのには、もう笑いしか出てこなかった。
逆にHPの伸びが悪いが、これはコアパーツのみのHPだからだ。他の種族と違って体の耐久力をパーツごとで区切れる代わりに、コアパーツに攻撃を受けたら終わり。みたいなバランスなのでHPは伸びないんだそうだ。
ちなみに、今現在のパーツ耐久力は初期パーツよりもちょっとだけ低いといったところ本格的な金属パーツとは比べるべくもないね。
そして、戦闘をしないということで武器は全部はずしてあるので戦闘力は下がったが、そのぶんTECの大幅上層に成功した。これでスロット製作の時間も短縮されるだろう。
木工の成長が遅れ始めたのはスロット製作ばかりで手作業での加工を行わなくなったからと機工士が戦闘でも伸びていくからである。まぁ、もともとメインを張る予定のスキルではないので気にしない。
他は・・・・・・特筆することはないか、みんな順調に伸びていっている。ちなみに調剤は毒を使った戦闘でもわずかに上がるようだ。
しかし、4本腕にしたはいいが増やした二本があまりうまく扱えない。システム上で使うのは問題ないとなっているので、プレイヤースキルの問題だろう。やはり自分にない器官を使うのにはしばらく訓練が要りそうだな。小枝のマニピュレーターを動かしている時は手の指くらいの感覚で動かせたのだが、構造が複雑になるとそうもいかないらしい。
と、一通り動作確認を終えたところで、実験の仕込みを確認しに行く。
今回の実験対象は二つ、魔石と虹色の砂だ。
魔石のほうはだいたい使用方法が決まっているので、仕込みをしているのは虹色の砂のほうだ。
それぞれ普通の水、灰汁、酢につけて一晩おいてみたのだがはたして・・・・・・。
「あ、ゼット、こんちゃー。三つとも変化ないみたいだよー」
仕込みをしてあった場所には3歳児程度の大きさのキノコがすでに待っていた。振り向くと傘ではなく茎のほうに顔があるドラクエタイプのマタンゴだ。顔もそっくりである。
「なぜここにいるマニコ・・・・・・そしてその姿は何だ?」
「新しいアイテムを実験するのに、私を呼ばないとかあり得ないよ? っていうか石亀の肉と交換して酢を提供したんだしちょっとくらいいいじゃん。それからこの姿はねぇ、実験用に調整した茸人間です。寄生は簡単だし強いんだけど、やっぱTECが低くなる傾向にあるしね。かわいいでしょ?」
「まったくもってかわいくはない。そうじゃなくて、お前はお前でやることあるんじゃないのか?」
「領域の拡大って、所謂シムシティー的なシステムなんだよ。道ひいて範囲を決めたらしばらくは見守るターン。というわけで今日はぶっちゃけ暇なのです」
「まぁ、そういうことなら構わないんだけどな。それにしても三つとも変化なしか・・・・・・」
変化なしが悪いというわけではない、つまりは「灰汁や酢なんかの弱い酸性やアルカリ性溶液では変化しないほど安定した物質の集まりである」という証明がなされたことになるのだから。
虹色の砂、改めて説明すると、砂の一粒一粒が虹色なのではなく、いくつもの色の砂粒が混ざっているアイテムだ。皿の上に広げてゆすってみても均等に混ざったままであるので比重の差はほぼない物質の集まりであるということも分かっている。
「さて、相当に安定した物質であることは分かったが、加工手段が今のところ焼くくらいしかないんだよなぁ。取り合えず粘土に混ぜて焼いてみるか、ディスクグラインダーのディスクにして使い勝手の違いを調べてみよう」
「そうだね、耐熱容器のいいのがないから熱による変化は、そうやって何かに混ぜて焼いてみるしかないもんね、ついでにプヨンスライム性樹脂単体でのディスクも実験してみたら?」
プヨンスライム性樹脂のディスクはそういえば作ってなかったか、確かに焼き固めれば少し硬度が増すしな。要器系は結構それで作っている。試してみる価値はあるかもしれない。
俺は製作スロットに虹色の砂、プヨンスライムのかけら、メヌエムの樹液を突っ込んでデスク型に成型するように設定する。簡単な作業なので製作時間は10分ちょい。
その間に、粘土の方も成形を済まして、一緒に窯(といっても土を盛っただけの粗末なものだが)に入れる。まえと同じく4つずつ、時間ごとに取り出してみる予定だ。とりあえず、虹色の砂についてはこれでひとまず終了か。
次は魔石だな。魔石から出力する方法を調べてみたところ、魔力を注げばおkってなってた。普通は杖や指輪などに加工して使うそうだが、そんなことしても俺には使えないので却下である。
直接魔力を注ぐことはできなくても魔力回路に繋げばいけるんじゃないだろうかという推論を立てての実験となる。
「というわけで、とりあえず剣の柄っぽものを粘土で作ってみた」
「うっわ、この上なく適当な逸品だね」
特に造形にこだわっていないので、小学生の夏休みの工作レベルだ。
「いいんだよ! 実験用だからとりあえず繋がれば!」
「じゃあ、早くやってみてよ。このくぼんだ所に魔石を嵌め込めばいいんだよね?」
「そうだな、取り合えず炎の魔石からいってみるか」
粘土の柄に炎の魔石を嵌め込みいつもの要領で魔力を流し込む。すると柄の先にライターよりもちょっと大きい位の火がついた。SP消費量はディスクグラインダより少し少ない位。
「おっ、点いた。でもしょぼい」
「まぁ、魔石の出力は大きさに比例するらしいからな、こんなもんだろ? これで、火をおこすのがだいぶ楽になると思えば儲けもんだ。さて次はみz・・・・・ん?」
魔石を取換えるために炎の魔石を外そうとしたのだが、くっついてしまっていてなかなかとれない。
「魔石とれないんだが・・・・・・」
「え? 粘土に埋まってるだけでしょ? そんな堅い粘土なの?」
「まだ焼いていないしそんなはずは・・・・・・まさか、魔石を魔力回路に繋いだせい?」
「あり得るね、どうする? 魔石一個無駄になっちゃったけど?」
「い、いや逆に考えるんだ。炎と水二つ同時に起動したらどうなるか試せるとポジティブに考えるんだ」
「・・・・・・そうだねっ! 面白そうな方に考えればいいよねっ!」
「ようしおっさんいっちゃうぞ~っ!」
「いっちゃえ~っ!」
二人とも変なテンションで実験再開。俺は水の魔石を新たに嵌め込むくぼみを柄に作り、炎の魔石と同じところに出力するように魔力回路をつなぐ。
「すいっちお~んっ!」
ぶしゅあああああぁぁぁぁぁぁぁぁっ!
勢いよく蒸気が噴き出した。さっきのしょぼさからは考えられない勢いだ。
「実験成功いぇーい!」
「はいたーっち!」
妙なテンションのままマニコとハイタッチを交わす。
そこでタイマーが鳴った。
「おっ! 第一陣が焼きあがったみたいだな。さっそくとりだ・・・・・」
と、樹脂のディスクに触れた瞬間!
ボボボボグォォォォォォォオオオオオオンっ!
ディスクは爆発した。
まさかの爆発オチ。まぁ、実験したら爆発はするよね?(ォィ
後編もすぐに上げる予定は未定です。




