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黒月  作者: 火村虎太郎
第一章 正宗
5/42

売名行為と逆売名行為


信号の無い交差点

気がつけば、月。


「ぐばああああ」


「なっ!お前等、中学生くらいだろ!無免か!?」車の運転手が降りてきて・・


(・・ぐっ・・いいから!逃げろ岸!)正宗が手で合図


倒れて悶絶する正宗に、何も考えてないような、倒れたままの誠


(ぐっ・・すまねえ・・)岸、無関係を装い現場から逃走。


でないと、岸まで無免許で捕まってしまう・・



「・・もしもし、警察ですか?・・はいっ事故です・・黒月の・・」車運転手



何が起こったのか、まだ分からなかったが、

だんだん正宗の悶絶する声が現実に聞こえてきた


「・・・なっ!正宗!・・」誠

「ぐばあああぁ」正宗



そして、聞こえるパトカーのサイレンの音

やっちまった・・・無免で捕まるのは、何とも無い。

あわよくば、勲章だ・・それだけでも、学校では、当分の間、話題だ。

だが・・アン先輩経由で借りたこの単車・・

願うことは、まず窃盗車ではないという事を・・


「・・えっ?」誠


正宗を抱きかかえながら、違和感・・数台のサイレンの音・・

その、一つが遠ざかって行く・・

そして、パトカーからのマイクの声・・


「おら~止まれ~二人乗りの原付~」


「うぐっ!」誠


岸達しか、考えられない。

焦って逃走する岸達、だが、現場に向かってくるパトカーの一台に発見される


「大丈夫か!」

「救急車、もうすぐ来るからな!」


この時だけは、警察がいい奴に見えた。

まだ大した怪我でない俺は事情聴取。

呼ばれる親に、学校の担任


「あんたっ!なんてことしたのっ無免許でバイクなんて」母


くそ恥ずかしい・・涙が出そうだ。

母親に叩かれてる俺・・それを止めてくれる担任。


警察署で軽い事情聴取で、また後日出頭とのこと。警察署に向かう。



「・・・ガキが追われてんな・・」

「クロキタか?」



「くそっ!岸、学校裏に、バイクしか通れない道が!」山田

「分かってる!あそこまで、逃げ切れば」岸


だいたい、地元に単車しかすり抜けられない場所をキープしてる不良達。


だが・・


「はいはいっ・・クロキタ裏ね・・」パトカーの運転手

「だな、先に、別のパトカー向かわせよう」助手席の警官


だいたい、不良の行動なんて、いつも同じだから。

地元で限られた裏道、抜け道なんて、既に、把握している地元警察



「ウォン」「ウォン」



「えっ!」岸

「うおっ!」山田


「・・・付いて来い・・・」

「くくく・・・」


「くそっ!ケツ持ち(パトカーの追跡を妨害するもの)出てきやがった!」運転手

「こっの!黒月愚連隊が!」助手席の警官



一台が低速でパトカーを妨害。

その間に、岸達は、もう一台の背中を追いかける

あらかた、パトカーが見えなくなって・・


「どこに帰るんだ?」黒月愚連隊

「押忍っ南区二丁目です」岸

「よしっ・・近いな・・じゃあな・・」黒月愚連隊


「あっ・・ありがとうございました~」岸

「ありがとうございました」山田


ただ、振り返りもせず、軽く手を上げ走り出す黒月愚連隊

そして、岸の帰る反対方向に向かい、しばらくして・・


「ウォンウォンっウォーウォーウォンウォン・・」


「黒月コールだ・・」岸

「ああ・・パトカーを、誘導してくれてるんだ・・俺達から遠ざける為・・」山田


すると、また別方向から・・

「ウォンウォンっウォーウォーウォンウォン・・」


また聞こえてくる、単車のアクセルミュージック

黒月愚連隊だと分かる、黒月コール。


こっちは任務完了、あっちに向かう・・

わかった、俺もそっちに向かい合流だ・・

きっと、こう会話してるように感じる。


うれしいような、悲しいような・・

黒月の先輩に声掛けてもらって助けてもらったのに・・

今、仲間が怪我で苦しんで、しかも警察に捕まって・・

何より、単車・・・安く見積もっても4~50万?

それに、当然、迷惑料も払う事に・・


しばらく、岸の家で動けない二人。

ただ、怪我が軽く済めばと思うばかり・・



警察署にやって来た誠


「それで・・単車は誰のか、分からない?」警察

「・・ええ・・ツレが、乗ってきたんで・・」正宗


これが最善・・後は正宗に任せよう。


「まあ、また、別々に調書取るから・・今日はこれで・・」警察

「はいっ。誠に申し訳ありませんでした・・ほれっ誠っ」担任


そういって、俺の頭を無理やり下げらす担任


「お母さん今日は、これで・・」担任

「本当に申し訳ございませんでした」母


担任の教師は慣れたもんだ。

幾度となく、この警察署に黒北の生徒の件でやってきているから・・




次の日


学校へ行けばヒーローだ

かっこつけて、しゃべりだす俺。


「やっちまったよ・・出会いがしらに、バーンっだ」誠

「正宗、よくないらしいな・・」


そう、正宗がよくない。

利き腕の方の肩が複雑骨折・・

きっとリハビリが必要だと・・


(・・正宗ぇ・・・・きっと治る。ただの骨折だ・・)誠


ただそう願う。


単車は、すぐに、アン先輩が話しを付けに。

俺達四人が、単車代と迷惑料として、80万払うとのことで決着。

とは言っても、所詮出すのは親だ・・痛い出費だ。


だが・・


(アンさん・・・)誠、アン先輩を見かけて


それでも、アンさんは、ヤキ入れられたんだろう・・

顔が腫れている。

俺達のせいで・・・


しばらく学校にも来れない正宗。

何か、一年はみんな、緊張の糸が切れたというか・・

一人、突き抜けたというか・・


「おいっ聞いたか!」一年男子

「増本だろ!、マジか!?」一年男子


「認められるだけあるな・・」岸

「どうしたの?増本が」誠


一年ナンバー1の増本。わずか二人のグループだが・・・


「白月の石田、倒したらしいぞ」岸

「なっ!青龍!?」誠


白月三鬼龍・・・


「マジか?アン先輩もやられてたレベルの強さだぞ」誠

「だが、たしかに、揉めて、喧嘩で倒した相手青龍の刺繍だったんだよ」岸


「よっ!」増本

「うっ・・」岸

「増本・・くん・・」誠


増本の話をしてたら、増本が登場。


「なんだよ、びびんじゃねえよ、同じ一年で」増本

「あっ・・ああ」岸

「青龍やったって、本当か?だとしたら・・」誠


大事件、向こうも、黙ってはいないはず・・


「違うよ・・ありゃ、二代目だ」増本

「二代目?」岸


どうやら、石田は学生服を後輩に譲った模様・・


「一年の榊原だよ」増本

「白月一年のトップじゃねえか、それでも」岸


(さすが、強い・・ナンバー1を張るだけある・・)誠


まあ、正宗の病状と、白月の情報が欲しかったらしい。

情報を得て、あっさり消えていく。

当然、来年は勝負の年。

今居る、強力な三年二人が卒業・・

みんな危機感を持っている。


「ガンさん(黒北番長)が、黒月愚連隊確定らしいな」岸

「ナンバー2のキムさんは?」誠


仲のいい二人の二枚看板


「実家の事業継ぐから、興味も無いって・・」岸

「もったいないよな・・俺があれくらいの不良だったら、

 バリバリ名前売るけどな・・・」誠


持ってないから、言える事である。

本物の不良は、ここが、人生の大きなターニングポイントなのだ。

中学校卒業が・・・・



~~~白月中学~~~


「何やってんだ?お前?」パッキン(赤龍)

「ああ!?ああ・・パッキンか・・・」石田(青龍)


何がって、学生服もまともな物に髪型も普通に・・


「ああ、いい金用意して来たから、売ったよ。学生服もボンタンも」石田

「にしても、髪も、変えることねえだろ・・」パッキン


急に石田が真面目に・・それにまだ、二年・・


「俺、進学するんだよ。くくく」石田

「はぁ~!?どういうことだよ?」パッキン


まあ、当然今のままじゃ、どこも、受け入れてくれない高校。


「・・・どっち道、ヤクザなるだろ俺・・」石田

「そうだろうな・・お前バカだし・・」パッキン


「まあ、そうだよ、ヤクザだよ・・くくく」石田

「お前、もしかして、ただ遊びたいだけか!?」パッキン


中卒になれば、すぐさま、ヤクザ事務所に部屋住みに・・


「正解っ。15から、事務所に寝泊りしてたら、青春駄目になるぜー」石田

「すげえな、お前・・もう、中2で、人生設計してやがる・・」パッキン


「くくく・・まあせいぜい、暴れてくれよ。俺は、ヤクザになるまで引退っ

 その後、片っ端から、シメてやるよ。くく・・」石田


最高の舞台で力を出せるように溜め込む。目立たぬ様に・・・

どうせ、その世界に入れば毎日乱戦。今無駄な戦いは不要・・


黒月のキムとは、また、ちょっと違ったパターン。

これが以外に現実だ。

よく、高校デビューってあるけど、逆もある。

この石田の場合もそうだ。まだ中2なのに、引退。

キムの場合もそうっ。生きていく為に仕方が無いのだ。


「鬼丸は?」パッキン

「あいつ、ほとんど学校来ねえな・・卒業できんのか?」石田



~~~赤月中学~~~


授業中の静かな校舎


「ウォン!」


「なっ!なんだ!?」「バイク?」「すげえ音したぞ」


「ウォンウォンウォンウォン」


「ばっ!何やってんだ!警察!」先生

「呼びましたもうっ!危ないから止めろ~!!」先生


「ははははは~」


「なっ!廊下、族車で走ってるぞ!」

「マジか!誰!?」

「一年の姫だよ!」

「おおー姫かぁ~がんばれ~」


赤姫、あっけなく逮捕。無免許で。


「・・・何やってんの?アンタ・・」先輩

「伝説っ」赤姫


「・・・はぁ・・・・」先輩

「じゃあ、先輩またっ」赤姫


って、連れて行かれる赤姫


「困ったもんだ・・」先生

「根は悪い子じゃないんですがね・・」先生

「いえっ。学校の廊下バイクで走るなんて、とんでもない不良ですよ」先生


「赤月始まって以来のやんちゃ姫だな」

「黒月に引っ越せばいいのに・・」

「でも、かわいいんだよな」


賛否両論の赤姫の評価


だが、インパクトは絶大。

学校の廊下、授業中、族車で走ったなんて、中学生の一年が・・

黒月にまで聞こえてくる、赤姫の噂話。


有名になって、いつか、会いたい。もっと突き抜けた人と・・

こんなくだらない、ウチの不良とかじゃなく・・



「ふ~~ん。かわいいやんっ」鬼丸


「・・んっ!?おいっ!お前どこの生徒だっ」先生


校舎の外から窓にもたれ掛かって見てた白月の鬼丸


「おっと・・」逃げていく、鬼丸



「なっ!なんだこれ!?お前ら大丈夫か!?」先生


先生が駆けつければ、赤月中の不良達が・・


「救急車呼んで!」先生

「なっ!ひどい!喧嘩?ぐちゃぐちゃだ顔が・・」駆けつけた他の先生


動き出す・・・


「くく・・俺が月を制覇するんだよ・・・」鬼丸


いずれくる、チンピラ同士の乱戦を優位に進めるため・・



~~~病院~~~


「先生っ・・動かないっす・・どうして・・?」正宗


「リハビリで、普段の生活が出来るくらいにはなるから、

 ただ、ちょっと、重い物や、腕に負担を掛けるようなこと・・

 たとえば、喧嘩とかは、絶対無理だよ、

 そんな事したら、本当に二度と動かなくなるよ」医者


「そっ・・そんなぁ・・・」正宗


復帰を急ぐ正宗、何より、毎日、ヒデにやられている、岸に山田

山田なんて、やられすぎで、不登校に・・

ほぼ崩壊状態の正宗グループ・・いや、アン軍団


「くそっ!くそっ!」正宗

「ばっ無理して、リハビリしても駄目だっ、ゆっくり、気長に・・」医者


止まってなんて、いられないから・・・

黒月愚連隊に・・



それぞれの考え、思い、目指す場所へ・・




動き出した


月の見える街の悪党達。

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