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黒月  作者: 火村虎太郎
武蔵黒月出撃門 赤姫争奪戦
39/42

無様に死ぬくらいなら、無様に生きた方がまし。


少しざわついたままの出撃門


火村と鬼丸も止まったまま。

体温が全員、1度上がった様な・・


少し皆心臓の音が早い・・

動揺・・

アンが自殺?


だが、一人だけ体温が低い・・


(・・・あの覇気の無さは、そういうことか・・)ゼロ


何人かは、この温度の低い正宗の方を見たまま


(くく・・はは・・ははははは)正宗


「・・・・・・」ヤンチ(ニヤついた・・)


気づいたのはヤンチくらい。

あの覇気の無さは・・


(人を殺す前のやつだ・・絶望の覇気の無さじゃない・・

 こいつ、俺らのステージにまで上がって来た?。

 いやっ・・もしくは・・)ヤンチ


悪党に。

もしくは、この一瞬に狂い咲いた花・・


(だが、タイマン・・俺が、正宗に、負けるなど・・

 いやっ・・なるほどだから、気配を消してるのか・・)ヤンチ


ルールは曖昧。

大体、この赤姫争奪戦なんて、いわば非公式・・


(武器禁止なんて誰も言ってない・・・

 曖昧のルールのまま、すでに始まってる。)ヤンチ


「ガッ!!」


「うがあああ!うぐあああ」鬼丸


「なっ!」

「きたねえ!」

「不意突いてしかも・・」

「あの火村が・・」


誰もが、正宗や、後ろの会話が気になっている時に・・


「勝てばいいんだろうが!」火村

「くっ・・う・・・」鬼丸


「汚ねえ!」ヤンチも大声を出さずにはいられない


服の腕の部分に隠していた特殊警防を取り出し鬼丸を殴打。


みんな、どうせ嘘月だ・・


「・・・困った・・確かに言ってなかったな」覇王

「ええ・・武器なしとは・・」二代目


誰もが普通そうだと・・

素手のタイマン決戦だと。



「鬼丸君っ!」ヤンチ(やばい、大丈夫か鬼丸君?頭から血が・・)


血が噴出し、フラフラしてる鬼丸


だが・・


「ドガッ!」

「がはあああああ!うぐうう・・うぐう・・」火村


「なっ!火村が猛烈に痛がってるぞ!」

「鬼丸が反撃?すげえな、あの血で」

「でもたかだか、ボディーであれだけ痛がるか?」



「・・ぷっ・・はは・・ははははは」ヤンチ

「わははは。」剛健

「そりゃ、先にやった火村が悪い」ゼロ


見れば、鬼丸の拳には、メリケンサックが嵌められている。


「う~~ん・・」覇王

「まあ、不良の抗争でもそんなもんですし・・」二代目


実際そうだ。

喧嘩って決まれば、誰しも武器くらい持ってくる。


「ちょっと、待て!」


だがいくらなんでも、覇王が一旦止める。


「赤姫っ!武器は認めるのか!?」覇王


「ぶんっ・・ぶんっ・・」と、首を横に振る赤姫


「よしっ・・まあ、曖昧だったのが悪い。

 お互い一発づつだ。これからは・・」覇王


武器禁止。


「お前達もだ・・もし持ってるなら、今出しとけ・・」二代目


ヤンチと正宗に伝える



「・・・・・ちっ!・・」ヤンチ


「えっ?」って誰もがヤンチの、『ちっ!』に反応



「シャカ・・シャカ・・」

って、ヤンチが腕も出てないマント(カットクロス)から腕を出し


「なんだ!?あの悪党!」剛健

「隠し持ってた~!!」ゼロ

「ぶははははは、花束は凶器か?」コー


「なんだよ・・せっかく、サプライズで用意してたのに・・」ヤンチ


ヤンチの手には、スタンガンと、花束が・・



「ははっ花束持ったまま勝とうとしてたぞ。」イイ

「ふふっ」赤姫



「う~そつきっ!う~そつきっ!」ゼロ

「嘘月っ!何が、鬼丸がやられた時、『汚ねえ!』だ!」剛健

「おめえが一番汚ねえぞ・・やらなくてよかったよ」コー


月の不良達は嘘つきだから、嘘月って言われる・・



(相変わらず、馬鹿共の宴が聞こえる・・

 そして、火村さんが押されてる音・・)正宗


「しゃあおら~」鬼丸

「がはぁあっ」火村


うつむいたままの正宗。

先輩の言葉が蘇る・・


『・・俺が、誠の側に居てやるから・・

 ははっ・・あいつさみしかったんだろうな・・』


そういって送り出してくれた・・

目に死ぬほど涙溜めて。

最後は、必死で涙こぼさず、送り出してくれた。


そして

喧嘩の音とは別にギャラリーの会話も耳に入ってくる・・


「アンの部屋が、ちょっと荒らされてたらしいぞ」

「じゃあ、親以外に第一発見者が居るのか?」

「アンの部屋、一階だから窓から入れるしな」

「ちょっと、首の吊り方が不自然だったとか・・」


(よく、言うぜ・・あれは、紛れも無くアン先輩が自ら命を・・)正宗


そりゃそうだ・・見つけたのは俺だ・・


まだ、もがいていた先輩を・・


ぶざまだった・・

声も出ず、

必死で首に巻かれた電気コードを取ろうとしてたんだ・・俺の方を見て。

それにくらべて、誠の死に様・・

もがくことなく。笑ったまま・・


まあ、僅かだった・・すぐに先輩は動かなくなりダランとした。

助けを求めるなら最初からやらなければいいのに・・


これを見てなかったら、かっこいい先輩で終わってた・・


もう、生涯忘れることの無い光景

だか、俺に最後教えてくれたんだ・・


無様に死ぬくらいなら、無様に生きた方がまし。


いやっ・・それよりも・・


「うおおおお!負けられねえんだよ!」火村

「がはあ!」鬼丸


こんな先輩の様に・・熱く、生きた方が・・


「カチャっ・・」


「えっ?」ヤンチ


「うっ!」

「なんだ!?隠し持ってたか?」

「あれ・・アンが、いつも持ってたナイフだ・・」


変なタイミングで正宗がポケットからナイフを取り出し投げ捨てる。


「まあ・・ヤンチにみんな気を取られてたしな」覇王

「ええ・・でも隠してたのに何故今・・」二代目



「・・・ステゴロ勝負だ・・矢貫ぃ・・」正宗

「・・・ああ・・」ヤンチ


熱く・・笑われないように・・死んでいった友に・・


って・・「カチャ」っと・・


「こっちも隠し持ってた~ナイフ!」ゼロ

「かっこつけて投げ捨てたけど、汚ねえ!」剛健

「この嘘月っ!武器庫か!そのカッパの中は!パーマ中!」コー


「毛染め中だ!」ヤンチ


(見てやれよ・・鬼丸戦・・)イイ

(ふふっ・・)赤姫


まだ続く激闘


「うおおおお」「どりゃあああ」

「はぁあはぁあ」「ぐっまだまだ~」


やはり地力で勝る鬼丸が押している。

だが根性で押し返す火村


だが・・


(そろそろヤバイな・・)覇王

(止めるべきか・・)二代目


長すぎる激闘・・


「うおおおおお」「しゃあああ」



(もう一度・・お前と・・)火村


不器用な恋・・



やさしく赤姫の金髪が風になびく。


「ねえ・・もし、鬼丸か正宗が勝ったら、付き合うの?」イイ

「付き合わない・・」赤姫


「・・ひでえ・・」イイ

「ふふっ・・」赤姫


みんな嘘月だ。



長かった激闘が、やさしく嘘の風に包まれていく・・



「おおおおおおお!」


「・・勝負ありっ!そこまで!」覇王



第一戦・・・・決着。


勝ったのは・・・


「しゃあああ!」飛んで喜ぶヤンチ


「ふっ・・かわいいね」イイ

「かわいいね」赤姫


「バカっ喜ぶ奴があるか!」ケンゾー

「最初の特殊警棒が効いたな」ゼロ

「だって、顔面血まみれ・・よくここまでもったよ」剛健

「てか、やっぱすげえな鬼丸・・」コー



決勝に駒を進めたのは・・・・火村。

派手なガッツポーズも雄たけびも無し。

(まだ・・まだあと一戦。)火村


そして誰もが次の戦いに備え息を呑む



(さて・・咲かせるか・・)正宗


気違い花。


たった一度・・

ここ。


狂い咲け・・・

俺の不良人生。

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