最後の意地
~~~出撃門~~~
「来たっ赤姫!」
「相変わらず、まっ金金の頭だな」
「くぅ~かわいいなぁ」
「うん。」覇王
「・・すいません。こんな事にまで・・」二代目
コミッショナーである。
「いやっ。見たいしね。最強は誰かも」覇王
「確かに・・おもしろいですね・・」二代目
無敗の者同士が、潰しあう・・
「しゃあ一番乗り~」コー
「ルール曖昧だな」剛健
「だね」ゼロ
(確かに・・くじ引きでもしてトーナメントか?)コー
「・・・・・ふっ・・」火村
二番目に登場の火村
不器用な男・・声も出さずに、チラリと赤姫の方を見て笑う
「来た・・火村。」
「ああ。体調は万全そうだな」
そして
「スッ・・」
赤姫に軽く手を上げながら・・
「来た~今日の本命鬼丸っ」
「今、文句なしの月最強の男だ」
「・・・・・」火村
「・・・・・」鬼丸
「・・・こわっ・・」コー
すでに始まっているかのような睨み合い。
「後・・5分・・」二代目
「・・ルールを説明するっ!」覇王
「おおお!」
トーナメント決戦。
第一戦は、火村の強い希望により・・
「どうだ?鬼丸」覇王
「もちろん。それで」鬼丸
再戦。黒 対 白
「くう~また見れるのか、火村対鬼丸」
「ああ。楽しみだな」
「・・・後、三分・・」二代目
「先に始めるか?」覇王
待っている。あの男を・・
「・・・・・・」赤姫
「何やってんだ!ヤンチは!」イイ
そう・・ヤンチがまだ来ない。
あの最終決戦。米谷・石田・増本と、あっさり撃破した天才・・
「放課後、走って帰ってたけどな」剛健
「うんうん。見た。走ってくの。」ゼロ
遠くから・・
「早くしろバカタレっ!」ケンゾー
「まだっ、毛染め中だって~」ヤンチ
ケンゾーの大きな声と共に、引っ張って連れてこられるヤンチ
「・・・・なかなかのネタ持ってるな」覇王
「ふっ・・」二代目
「マジか!」剛健
「サザエさんか!?」ゼロ
「ははは。あのバカはっ」イイ
「・・・ふふ・・」赤姫
ヤンチが到着
「・・待たせたな・・悪党共・・」ヤンチ
「ぶっ!よく、その格好で、そんなセリフ言えたな」剛健
「なんで、昨日しないんだよ・・」ゼロ
ヤンチの頭に巻かれたヘアキャップ・・
まだ、毛染め液も付いたままだと分かる強力な匂い。
それに、よくある美容院のカットクロス(マントのような物)着たまま・・
「ルールは!?」ヤンチ
「まず、お前の、その格好ルール違反だろ・・」剛健
「ありゃ~マントの中に凶器・・いや、狂気隠し持ってるぞ」ゼロ
(最近ゼロちゃん、うまいな・・小月流か?それが・・)剛健
そして・・
「おめえ何しに来やがったー!」
「ぶち殺すぞ!こら~!」
なにやら、ギャラリーの端で揉めてる声が
「がはああ!」岸
「このやっ・うごおおおお」」山田
「・・一度でも、お前等にやられるつもりはねえよ・・」
「なんだ?」覇王
「追放組の・・」二代目
正宗。
「参戦するつもりか?・・確かに、負け?ってわけじゃ・・」火村
「無効試合か・・あの時・・」鬼丸
「・・・認めんっ。この戦いには出さんっ」二代目
「・・・・・・」覇王
「そうだそうだ!引っ込め裏切り者!」
「小月に逃げやがってカスが!」
(駄目か・・せめて・・大暴れしてえ・・その為に・・)正宗
『行って来いっ。弔い合戦じゃ!』
(そう、言ってアン先輩が送り出してくれた・・)正宗
「俺は、構わないぜ」ヤンチ
「俺は、お前がアウトと思ってるぞ!」剛健
「引っ込め!パーマ中!」ゼロ
「毛染め中だ!」ヤンチ
(どっちでも、いいよぅ・・)イイ
「スッ・・」
「・・・・・」コー
「・・・」正宗
「待ってたぜ・・勇者よ・・
俺の代わりに出てもいいぞ・・」コー
「なっ!」剛健
「見たっ!コー君が、何か封筒受け取ったの!」ゼロ
「私も見た・・きっと現金だ・・」イイ
「・・・どうしましょうか?」二代目
「ヤンチっ・・お前はどうだ?」覇王
(正直こっちの方がいい。コーは、いうても同級生・・やりにくい)ヤンチ
「俺はオッケーです。」ヤンチ
「ふっ、こっちも構わないっ」火村
「俺もだ」鬼丸
「・・赤姫っ!」覇王が赤姫の方を向き・・
「コクっ」っと、うなずく赤姫
「よしっ。認める!第一戦は、火村・鬼丸
第二戦は、ヤンチ・正宗そして・・」覇王
(よしっ!誠ぉ~誠ぉ~)正宗
俺に力を・・
いや、勝てなくてもいい・・
この俺のすべてぶち当てたい。
ただ、がむしゃらに。
でないと・・・俺も・・・死んでしまいたい・・
勝った者同士で決勝戦。
勝てば・・
「いいなー。付き合えるのか~」ゼロ
「いいな~。出たかったな~」コー
「じゃあ・・出ろよ・・」剛健
「ヤンチはねえだろ!?せめて、火村さんとで、
ヤンチは鬼丸と潰しあって欲しかったんだよ」コー
「確かにあのパーマ中、強いしな。友達の顎、躊躇なく割る男だ」剛健
「毛染め中!その節はごめんっ」ヤンチ
「てか、あれなら勝てそうだけどな・・」剛健
「動くたんびに、シャカシャカ言ってるぞ・・」コー
「緊張感持てよ・・」ゼロ
(お前等がな・・)イイ
「くく・・・」火村
「くく・・気づいてるのか?」鬼丸
「まあな・・いい後輩持ったな・・いや、いい先輩持った後輩か」火村
「・・・どうだろうな・・」鬼丸
「鬼丸っ。赤姫とか関係なく勝てよっ。」ケンゾー
「ああ。」鬼丸
「鬼丸君負けろー!火村がんばれー」ヤンチ
「おっ!汚いね。やりたくないんだろ?鬼丸君と」剛健
「そりゃそうだ、先輩だし。」ゼロ
「てか、鬼丸君、赤姫に興味ないから・・」コー
こりゃ・・気持ちの上では火村有利?
「じゃあ、始めろっ」覇王
「おおおおお!」ギャラリー
第一戦・・火村 対 鬼丸
ヤンチは鬼丸側、正宗は火村側の、離れた対面するベンチに腰掛ける
その後ろをギャラリーが囲む
正宗は前に手を組み、うなだれたまま・・火村の戦いも見ようとしない
一人ぼっちってかんじだ。
火村派の黒北の人間も正宗には距離を取ってある。
ポツンと一人浮いている正宗。
(あれが、喧嘩する前の覇気か?楽勝だな・・)ヤンチ
「ジリ・・ジリ・・」
お互い慎重に距離を縮めてくる・・
緊張感・・静まり返った会場・・
一発勝負なのだ、ミスは許されない・・
だが僅かな音が、この緊張を切り裂く
何か小走りで走ってくるような音・・
(ちっ・・)火村
(ちっ・・)鬼丸
研ぎ澄まされた二人には、やけに耳に付く。
そしてなにやらゴニョゴニョと・・
「えっ!?」
何かギャラリーの後ろの方で声・・
遠くからやって来た黒北の生徒が別の黒北の生徒と・・
当然ギャラリーも気になってそちらの方に目か耳を傾ける。
「・・アンが、首吊ったぁ!?」
「はあ!?」
「なっ!アンが!」火村
「・・・・・・」鬼丸が、チラリと正宗の方を見る
「・・・・・」ヤンチも正宗の方を見る
まだ体の前で組んだ手のまま、うつむいたままだが、
僅かに顔だけを上げ・・
「・・・・・・負けられねえんだよ・・・もう・・」正宗
最後の意地。
何もいらない・・・
大グレてやる。
喧嘩じゃねえ・・
殺してやる・・・・もう・・
お前の出現からおかしくなったから・・
矢貫・・・




