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黒月  作者: 火村虎太郎
武蔵黒月出撃門の戦い 最終決戦
32/42

ギラギラ


まずい・・

このままだと・・


「っ・・・ぅ・・・・」火村

「・・・・・・」鬼丸


「もう、止めろ。」覇王

「いえっ・・まだ・・」二代目


殺してしまう・・


倒れない・・

いや、倒れても、起き上がる何度も何度も


(曖昧・・喧嘩の決着は・・もう、気絶さすか・・)ヤンチ


殺す?


本当に根性ある奴が、喧嘩するとこうなってしまう・・

倒れているが、近づけは、倒れたままでも殴ってくる。


「・・・殺そう・・」鬼丸


「うっ・・」コー



「・・・ぉ・・・・ぅ・・」火村


もう、何を言ってるのかさえ・・

腫れ上がって、ほとんど見えてない目


ふらふらと、まだ立ち上がり鬼丸に向かってくる火村


「・・・決着が付く・・」米谷

「ああ・・」石田



「次で・・渾身の一撃で・・・死ねや・・火村」鬼丸


もう、ガードをするとかのレベルじゃない火村

ただ、何かに向かって歩いてくる・・



年下の不良娘・・・

不器用で、普通の人間が行くような楽しめる場所なんて、

恥ずかしくて一緒に行けなかった。

嫌なら別れろくらいしか言えずに・・

勝手に硬派像っての自分で作りこんで・・

いつだったか売り言葉に買い言葉で・・


別にお前の事好きじゃねえ・・



くく・・でも、お前がまだ俺の事がいいって言ってんだろ・・

これも、たまたま、俺が勝っただけだよっ・・

しょうがねえな・・また・・


「つき・・ぁって・・やる・・ょ・・・ぁぃ・・」火村



「バギャン!!」


「ドっ!・・・」


鬼丸のパンチで遂に・・


火村撃沈・・


もう動かない・・


だがまだ誰も声が出せない・・

誰かが、よしっ、勝った・・や、決まった!って言えば決着・・・


「・・・・・」ヤンチ

「・・・・・」コー



「・・・・・・」米谷

「・・・・・・」石田


一番先に声を出したのは・・



「・・・引き分けだ・・この勝負」覇王


「なっ!バカな!明らかに・・」ヤンチ


どう考えても鬼丸の勝ち。


ざわ・・


「かかかっ」米谷


「・・・・・」鬼丸が覇王の方に振り返る


「・・・引き分けだ・・理想はな・・」覇王

「・・・・」二代目


(バカなっ!でもそれじゃあ・・俺一人に・・)ヤンチ


理想・・

火村のメンツも、鬼丸の器の大きさも、

すべて失うことなく・・

いやっ、お互いにとってはプラス。


だが、唯一失うかもしれないのは・・

王政が負ける・・



(鬼丸君っ・・)ヤンチ



「・・・ヤンチ・・・・・後は頼んだ・・」鬼丸


ざわ・・



「引き分けだ・・この勝負・・・」鬼丸


「おおおおおお」「マジか」ざわつく観客


「スッ・・」二代目が覇王に頭を下げる



「かかかっ、もらった~この勝負」米谷

「くそ理想的展開っ。残るは・・黒北のガキ二人・・」石田


「・・・・・・」ヤンチ

「・・・・・・」コー


「引き分け・・・」

「でも、アッパレ・・特に鬼丸。火村のメンツのために・・」

「ああ・・だが、引き分けに持ち込んだ火村の根性も・・」


だが・・


「ヤンチ・・勝てばいい・・」狂犬

「・・・・・・・・はい」ヤンチ 


「くだらない先輩で・・すまない・・」鬼丸

「いえっ最高に誇れる先輩です」ヤンチ


これで、残るは、


ヤンチ・コー・小月5人

圧倒的不利の王政と黒北


「どうして、こんな事に・・」ジャギ

「・・剛健だよ・・あれからおかしくなってんだ・・」ゼロ

「てか、まだ小月戦ってないのに・・」井伊


(かかかっ・・誠を入れたのが、でかかったな・・

 人数は力だな。カスでも使い道はある)米谷


そして、次は石田が確定・・


「石田出ろっ」二代目

「ああ、くくく」石田


石田が前に。これに対して次の選択権は王政だが、

もう、ヤンチしか居ないのでスルーは、出来ない・・


「勝たなくていいぞ石田」米谷

「分かってる。体力奪って、手負いにしてやるよ」石田


圧倒的不利・・

もう向こうの考え、戦略は明らかに分かる・・


一発で決めに来ないはず

最後の米谷で確実に勝つために・・


いたぶり殺す、人数・・連戦で。確実に。


うつむき考えるヤンチ・・


(石田戦に勝ったら、次はコーが確定で、小月がスルー・・)ヤンチ


結局六連戦・・・


(しかも、この石田が決めに来ない・・俺の体力を奪いに来る・・

 他の者も・・。確実に勝つ方法を選択してきた・・)ヤンチ


(かかかっ・・そう、石田も分かってる・・それなりの猛者なら・・)米谷


ヤンチの次元の違い。


(こいつ、何十年に一人の逸材だ・・)米谷


たまに出る、天才・・


(勝てねえ・・分かってる。さっきの喧嘩見ればわかる・・

 だから、確実に・・体力を奪うか、攻撃力を奪う・・

 足か、利き腕への攻撃だ・・なにふりかまってられねえ・・)石田




「おおおおお!」「嘘だろ!?」「なっ!マジか!」


(えっ?)ヤンチ

うつむいていたヤンチに聞こえてくる観客のざわめき・・


ヤンチより先に前に出た者が・・


「えっと・・いいんだっけ?」覇王

「ええ・・問題は無いと・・」二代目



「・・・・・舐めてんのか?」米谷



変わるならここ・・

いや、ここだった。ここのはず。


くだらない戦略でしか、生きていけないと思ったから・・

でも、見せ付けられた・・熱く・・不良の・・生き方を


「俺じゃ不満か!?

 俺が・・黒北の・・誠だあ!」誠


(まっ・・誠ぉ)正宗


裏切り・・最後の。


「・・殺せ、石田」米谷

「当たり前だ、このバカ、裏切りやがって」石田


(変わった・・流れが・・火村さんが変えた)コー


「・・バカヤロウが・・」火村

「ひっ、火村さん・・大丈夫ですか?まだ安静に・・」コー


火村がなんとか立ち上がって一番前にフラフラと・・


「かわいい後輩が戦うんだ・・見届けてやる」火村


(俺に足りない物が分かった・・力じゃない・・

 行けっ誠。もう、くだらねえ小細工は消えてなくなった。)アン


黒北が勝つ。まずこれが最優先。



勝てないと分かっていても・・

こんな弱い俺でも・・

根性さえあれば、カッコがつく喧嘩になるはず・・いや、なるんだ。


今、俺が主役・・・


派手に・・散ってやる・・どうせなら。


もう戻らない・・・弱い自分に。


「・・・・始めろっ」二代目



「うおおおおおおおお」誠



俺だって輝きたいから。

今・・

憧れた、


不良のギラギラとした、かっこよさに


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