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黒月  作者: 火村虎太郎
武蔵黒月出撃門の戦い 前哨戦
23/42

どうしてこんな事に・・


~~~放課後の黒月~~~


「ガチャーン!!」

「出て来い!このやろー!裏切り者が!」

「何が小月だ!このやろう!ぶち殺すぞ!」

「のっのむ~ら~く~んっあ~そ~ぼっははははは」



「ちょっ・・けっ警察!」母

「なんなんだ!この不良達は!」父



「うう・・・うう・・」


部屋の隅で震えている誠・・


当然こうなる。黒月に住んでるのだ。

家も当然黒北の生徒なら知っている。

二年の生徒が放課後、誠の家を襲撃

さらに三年の何人かも来ている模様。

だから、二年も無茶をする。先輩が見ているのだ・・


なんとか警察が来て事なきを得たが・・

家のガラスなど割られグチャグチャ

黒月にしては裕福な家に住んでいる誠


「・・・どうして、こんな事に・・真面目だったのに・・」父

「正宗って子と付き合いだしてからですよ、おかしくなったの」母


まだ、部屋の隅で怯えている誠

こんな事が毎日続くのか?

いずれ、岸や山田も退院すれば・・・


「・・寮に入る・・」誠


「それがいいかもしれん・・近いんだからすぐ帰れるし・・」父

「ええ・・そっちの方が安全・・」母


これなら、黒月の生徒は来れないはず・・

なんとでも言える。小月の人間には・・

通学が、たり~から寮に入るとか、

家で親父ぶん殴ったら、追い出されたとか・・



~~~赤月の繁華街~~~


先ほどの合コン


「いてて・・てて・・」ヤンチ

「来いっ!このやろうっ」イイ


(さよなら・・ヤンチ・・)バラ

(よしっ。ライバル消えた~)剛健

(ねーちゃん恐いしな・・)井伊

(イイさんって恐いんだよね・・愛ちゃん(赤姫)より・・)女子


耳引っ張られて、外に出されるヤンチ


「言うぞ!舞に!合コンしてたって!」イイ


「・・・・・・・・・」ヤンチが何やら、また思考回路を・・


「・・言ってみろ!コノヤロウ~!

 じゃあ、こっちだって、ケンゾー君に言うぞ!俺とチューしたって!」ヤンチ


まあ逆ギレで勝負したヤンチ


(ほほうっ・・逆ギレか・・でも・・)イイ


「・・言えるもんなら・・・言ってみろ・・」イイが凄みを利かせて


(うそっ・・ヤダ恐い・・てか絶対言えない・・)ヤンチ


「ニコっ」


今度は、ヤンチが渾身の笑顔で・・


「ぶはっ!ははは。あの手この手で来るな・・」イイ

「素直に、すみません・・」ヤンチ


まあ、それでも、報告はされる。合コンしてたと。

でも、二人共この合コンには、興味があるので、隠れて観察する事に・・

店の横にあるビルの階段

ここなら何とか会話も聞き取れる位置。



「でも、やっぱ、他所の生徒と遊ぶとか、付き合うとかって、

 なんかカッコいいよね」ヤンチ

「だね。」イイ


なぜか、他所の生徒の方が良く見えるような・・


「いいよっ付き合ってあげる剛健君」女子

「しゃあ!俺にも春が来た」剛健

「おおーカップル誕生!」バラ


「おっ!剛健彼女出来た」ヤンチ

「半ヤン女子だから、もろヤンの剛健は以外にモテるしな」イイ


半分ヤンキーである。

ちょっと、悪ぶってる奴。

こんな子が、もろヤンの有名人剛健と付き合えばそれなりの自慢だ。


うんこ座りしたら、ちょうど顔が隙間から覗ける。

(おっ!ベストアングルだ。よく見えるし向こうからも見えないな)ヤンチ

イイもそれに気づき、同じようにうんこ座りで隙間から覗く

ちょっと、不自然な近さの二人・・

何度か後ろを通り過ぎる人が居たが気にもならない。


「・・・・・」ヤンチ

「・・・・・」イイ


絶対に見えないから・・


先ほどから、繋がった手・・

たまに動く指先が、繋がってると、実感する・・


(どうしよ・・・)ヤンチ


中学生なら、もうこれで十分に浮気である。

しかも、イイとはキスもした事が・・


(殺されるな、絶対・・ケンゾー君にバレたら・・

 でも・・手~離したくないし・・)ヤンチ


まあ、唯一、押し倒したい情熱を抑えてくれるのは、経験が無い事。


(だから。もし・・もし、イイさんから、しよっか?って言われても無理っ

 やっぱ、舞ねえと、したいし、初めては・・)ヤンチ


まあ、そんな事言われるはずないんだが、妄想してしまう・・


「ヤンチ・・・・しよっか?」イイ

「うわあああああ!」ヤンチ


「バッ!」っと握った手も離れて、距離を取るヤンチ


(恐ぇえええ・・)ヤンチ


だって・・

マジの目・・こっちを見つめながら・・


「ふふ」イイ


したい・・本当は・・

誰でもって訳じゃないけど・・イイさんとなら・・




「・・・もしそれを、さっきから後ろで見てる奴が居るとしたら?」



(うっ!)ヤンチ

(うっ!)イイ



後ろからの声・・いつから?どこから見てた?聞いてた?



ゆっくり振り返る二人。聞き覚えのある声・・・


「・・・じゃあ・・別れるか。イイ・・」



「・・・・・・ご・・ごめんなさい・・」ヤンチ

「ごめん・・かわいくって・・」イイ


「・・・・グッ!」


「うっ!」ヤンチ

「なっ!ちょっとケンゾー君っ」イイ


胸倉掴まれるヤンチ、そう・・ケンゾー・・狂犬に。

先ほどから見ていたのは、たまたま?赤月に来ていたケンゾー・・


自分の彼女が後輩と、手を握っていた・・・

そして、ごめんなさいと・・

もうこれで十分浮気・・中学生ならば


「・・舐めてんのかコノヤロウ・・

 ごめんなさいって事は、認めてんじゃねえか、浮気を」ケンゾー

「うっ・・うう・・いやっ・・そのっ・・」ヤンチ(無理っ言い訳出来ない・・)


(バカっ!何か言わないと・・認める事になるっ

 違うって言ってっ明るく、へへへ~遊んでもらってた~・・って)イイ


先ほどから、こういった状況でうまく言えない。対処出来ないヤンチ

いわゆる不器用・・嘘つけないって言うか・・


「しよっか??お前は俺を舐めてんのか?ヤリマンか?お前は!」

 ケンゾーがイイの髪を引っ張り


「ちょっ!ケンゾー君っイイさんは、冗談で・・」ヤンチ


必死で止めるが・・


髪の毛持たれて振り回されるイイ

ヤンチがケンゾーを押さえようとするが、すごい力で、まだ振り回されるイイ


恥ずかしいのか、声も出さずに、すでに泣いているイイ


「ちっ・・泣きゃ~いいってもんじゃねえぞ・・」ケンゾー

「ううっうう・・うう・・うぐっ・・うぐっ・・」イイ


(イイさん・・・イイさん・・)ヤンチ


イイが乱れた髪に、手で拭う涙、鼻水まで垂らして・・


(どうして、こんな事に・・夢なら覚めて欲しい・・)ヤンチ


そう思える光景。

自分も泣いてしまいたい。


ヤンチは、うつむいて、立ちすくんだまま

ケンゾーからの言葉を待ってるだけ・・


なんて言う?なんでもいい・・とにかく、叱りの言葉でも、けなしの言葉でも

この嫌な空気を・・この動けない俺を・・動かして・・


「グッ!」

「うっ」ヤンチ


ケンゾーに髪の毛引っ張られて顔を起こされるヤンチ


「ケンゾーくんっヤンチは・・」イイが、かばってくれる

「・・・・・・・」狂犬


(これがいい・・殴ってください・・俺を・・

 分かってる・・普通ならもう殴ってる・・でもまだ・・

 怒ってるのも、イイさんとの浮気じゃない・・

 この抗争が始まろうって時に、隠れてこんな事してたって事に怒ってる・・

 だって、兄ちゃんの仇が討てるチャンスなのに・・)ヤンチ


すでに知っているヤンチ・・

少し状況を考えたらわかるはず・・


15で無月の奴が黒月愚連隊総長確定?

しかもそいつが、兄と抗争してた世代と仲がよかった・・

無条件で小月に三年間も落とされたほどの悪・・


必然・・兄達を殺した男・・


それに、分かっていた・・

放課後、チラリと見えた。小月の生徒が出撃門に来ていたのを・・

だが、鼻歌歌って、シカトで合コン・・


そしてちょっと、ケンゾー君を見れば分かる・・

少し腫れた顔、少し汚れた学生服・・

きっと、対応したのは、ケンゾー君・・


ケンゾーは、まだ殴らない・・まだ髪の毛掴んだままで止まっている

思い出すのは、イイとの思い出より、ヤンチの笑顔・・



「何やってんだ~~」「ドガ!」


「ばっ!」ヤンチ  「きゃあ!」イイ


急に飛んできた男が、ケンゾーを後ろからとび蹴り


「てめえ~・・・・剛健~~~!」振り返るケンゾー


「うわあああああ!」剛健


(やっちったぁあああぁぁぁぁぁぁ!!ケンゾー君だったー!!)剛健


(にっ!逃げろ!とばっちりくらうぞ!)バラ

(おうっ、さよなら・・ねーちゃん・ヤンチ・剛健・・)井伊


この状況に走って逃げていく二人。


揉め事の音にヤンチが見知らぬ不良に絡まれてると思って飛んできた剛健


(やっちまった・・もう泥沼・・)ヤンチ



「ゴシャ!」


まだ勝てはしないから・・


正座する三人・・


「付き合えやっ・・やるわ」ケンゾー

「えっ・・」ヤンチ


「何か?俺の言う事が聞けねえのかっ!」ケンゾー

「うっ・・いやっ・・」ヤンチ


(だって、舞ねえと・・別れろって事?)ヤンチ


(もう、付き合え!それしか、この状況を突破するには・・)

大体状況の分かった剛健


「付き合えや・・やるって言ってんだ。もう要らねえから」ケンゾー


(もう、要らない・・か・・そうよね・・駄目な女・・)イイ

(そうっ、付き合え!大事にするって言え!てか、帰りたい・・)剛健


(どうして?それで格好がつくの?ケンゾー君は?

 後輩に彼女やった?かっこいいかそれ?

 違うっ!違うっ!ケンゾー君を立てるには・・)ヤンチ


大好きな先輩の顔を汚してしまった・・

あってはならない事だった・・

握った手を振りほどくそぶりも見せず、慣れた感じで、指まで絡め・・

きっと想像もつく・・キスぐらいしてる関係だと・・


失いたくない・・先輩の誇り・・信頼・・力・・


「大好きですっ。僕に譲ってくださいっ。お願いしますっ」ヤンチ

「・・ヤンチぃ・・・」イイ


「お願いしますっ。お願いしますっ。」ヤンチ



後輩がどうしてもって、土下座して頼むから・・・



「ああ・・いいぞ。俺は赤姫争奪戦に参加だしな」ゆっくり去っていくケンゾー


先輩の背中・・

泣きそうになる・・

俺が同じ状況で、いつかこう出来るだろうか?

軽く笑い手を上げて去っていく事が・・




(ごめん・・・舞ねえ・・・)ヤンチ



こんな別れで・・

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