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黒月  作者: 火村虎太郎
第四章 ゼロ
19/42

アウトっ!!

「・・・・・・・」ゼロ


教室の窓、鉄格子越しの外を眺める

思い出すのは・・


~~~~~~~~~~回想~~~~~~~~~~~~~~


二年前・・



「ははは・・・」

「まじっすよっ矢貫さん」鬼丸

「ははっバカ言ってんじゃねえよ丸っつ」狂犬

「くっそ、くだらねえ。ははは」パッキン


今とは、まるっきり違う三人。

今は、冷めた・・とういか、感情を出さないというか・・


毎日が楽しく、明るく・・。


「ウォンウォン!ウォンウォン!」派手な単車の音


「なっ!誰だ!黒月愚連隊が突っ込んで来たか!」鬼丸

「いやっ・・これ、矢貫さんの単車の音だ!」パッキン

「あっ!」狂犬


「ウォンウォンウォンウォン」派手に吹かす男達


「ばっ!バカタレ~そりゃ!俺の単車だろうが!

 ギリやがった(盗んだ)か!」矢貫


「ぶはははは!小学生が普通単車、乗るか~?」鬼丸


「うっせー!バーロー!へへっ超楽しい~ぜ~」ヤンチ

「丸のたーこ!」剛健

金上かながみの、ば~かっ。!」ゼロ


小学生で単車に三ケツする三人が、この集団に中指立てて去っていく


「あんのヤロ~」鬼丸

「ふっ、ほんっと、ヤンチャ坊主が」狂犬

「ははは、こりゃ、すぐ兄貴越すぞ・・」パッキン


「ふっ・・まあ、かわいがってくれや。俺の唯一の弟だ」矢貫


「ええ。かわいいですよ。」鬼丸

「ああ。ヤンチャだけど、素直って言うか・・」狂犬

「俺が二代目継いだら次はヤンチだな」パッキン


「なっ!お前!俺が継ぐんだよ二代目東京破天!」鬼丸

「いいや・・俺だ」狂犬


「ははは・・まあ、お前等が卒業するまで、俺がしっかり守らないとな」矢貫


僅か15の高1世代のこのヤンチの兄貴が立ち上げたチーム・・東京破天


矢貫(兄)15・高1世代

鬼丸・狂犬・パッキン 12歳 中一世代

ヤンチ・剛健・ゼロ 10歳 小5である・・


今この黒月には、二つのチームが・・

黒月愚連隊と東京破天である。


鬼丸・パッキンは白月だが、この矢貫の兄に憧れて不良に・・

そして・・


「俺等、正式な東京破天のメンバーでいいっすか?」鬼丸

「駄目だよ。まあ、中学卒業してからだ」矢貫

「でもマジかっこいいっす。僅か三人で立ち上げるなんて」パッキン


たった三人の東京破天


「へへ、俺今日カメラ持って来てんすよ」鬼丸

「おおーいいな撮ろうや」パッキン

「お~~いっ終一しゅういちも来いや~」狂犬


「ウォン・・」


「撮る撮る~」やって来るヤンチ(矢貫終一)達



「・・・お前俺に、たこって言っ・・」鬼丸

「言ってない!・・・・」剛健が誇らしげに胸を張り


(早い!・・しかも自信満々。120%言ったのに・・)ヤンチ


「ばかって言ったか?俺に?」パッキン

「はいはいっ・・言いましたよ・・殴ればいいじゃないっすか・・

 ノリですよ、ノリ。どうせ敵いませんよ・・」ゼロ


(ははっもう、パッキンさんの方も見てもねえ)ヤンチ


「ドッ!」「うごっ!」ゼロ


「ぶはは、そりゃ、殴られる」剛健



「おー~~い、バラちゃ~ん、写真撮ってよ!」ヤンチ

「うわ~見つかった~。鬼丸さんとか恐いから隠れてたのに・・」


そして記念撮影


「カシャ!」


「あっ、俺、目~つぶった・・もう一回」剛健


「・・・なんで、お前が真ん中に居るんだ?」鬼丸

「ええ~センターがいい~」剛健

「俺一番前がいい~」ゼロ

「俺、兄貴の隣~」ヤンチ


「ははは・・まあでも・・俺が真ん中だ」矢貫


矢貫の兄を真ん中にして、記念写真

そして、現像された物にマジックで書き込んだ、東京破天参上の文字・・


当然、黒月愚連隊とは、仲の悪い東京破天


「また。大乱闘だー」

「矢貫がすげえ」

「もう何度目だよ」


数繰り広げる抗争

そりゃあ、僅か15の高1世代がチームなんか立ち上げれば・・


「くそっ・・矢貫のガキっ」

「あとの二人も強い・・」

「一人は、無月出身だって言うじゃねえか」

「ああ・・あんな御坊ちゃま学校出身の奴に・・・」


変な組み合わせの東京破天

黒北の矢貫に、無月の者と、白月の者


~~~赤月の繁華街でたむろする東京破天~~


「矢貫、やっぱ人数で巻き返されるな」丸山(白月)

「ああ。もう、黒月の頭、ぶっ飛ばしたって言うのに・・」矢貫

「負け認めて解散しろよ、本当・・」津秋(無月)


「・・・弟が正式メンバーに入りたがってたぞ、金上パッキンと」矢貫

「あの、バカ弟・・」丸山

「ははは。白月で、もう大暴れしてるらしいな、

 鬼の様に喧嘩強いらしいじゃねえか」津秋



「お~いっ、にいちゃ~ん」遠くから手を振る少女


「ふっ。津秋の妹か・・妹ってかわいいな」矢貫

「・・・あれっ?なんでヤンチが連れてんだ?知り合いだったか?」津秋

「あああ・・残念だったね津秋・・妹ヤンチャ坊主に取られたぞ」丸川

「ははは」矢貫


「あれ、どっちだ?」矢貫

「妹の方」津秋

「よく分かるな・・そっくりなのに」丸川


「ああ・・姉の方は、絶対こんな所に来ないから・・」津秋

「なるほど・・」矢貫



~~黒月南小学校~~


ちょと前の、話・・・


「ヤンチ・・ちょっといいか」教師

「ん?何?」ヤンチ


「無月の女の子が、ヤンチを尋ねて来てて・・運転手付きで・・」教師


(金持ちだ・・さすが無月)ヤンチ


「あのっ。私の兄と、

 矢貫君のお兄さんが仲良くされてるって聞いたもんで・・」舞

「えっ?津秋さん?仲いいよ。どうして?」ヤンチ



~~~無月~~~


「舞には、悪いけど・・」父

「ええ・・悪影響を与える長男には会わさないようにしましょう」母


「でも、愛お嬢様だけ、会っていいなんて・・」家政婦


「・・・ありゃ、もう手遅れだ・・すでに毒が回ってる」父

「ええ。せめて舞だけは、立派な政治家か資産家と、お見合いを」母


「でも、恋愛は自由ですよ」家政婦


「分かってるよ私も。理解はあるよ・・だが・・」父

「ええ・・もし、二人共、不良を連れて来たら・・」母


「・・・不良の長男も、絶対不良娘連れて来るでしょうし・・」家政婦


「不良だらけに、なってしまうじゃないか!」父

「ええっ。私も娘の彼氏にお母様って言われたいですもん」母

「私だって、舞のお父様こんにちはって言われたい」父


「確かに・・

 不良だと、絶対、おばはんっ、おっちゃんっ・・って言われるな」家政婦


「ははははは」父

「おほほほほ」母


~~黒月南小~~


「そっか・・不良のにいちゃんにね・・」ヤンチ

「ええ。私がグレないようにって・・」舞


「・・・絶対グレないと思うよ、舞さんは・・」ヤンチ

「えっ?どうして?ヤンチ君」舞


もろっ・・お嬢様・・お花畑で蝶々追いかけてそうな・・

まったく資質無しっ。


「でも、止めといた方がいいよ会うの。確かに悪影響だよ

 てか、カルチャーショック受けるんじゃない?」ヤンチ

「でも、私ずっと・・何年と、お兄ちゃんと会ってないからさみしくて」舞


「う~~~ん、じゃあ、せめて赤月に居る時にチラっと・・」ヤンチ

「うんっ。ありがとヤンチ君」舞


何度か、ヤンチに連れられて、

それでも、遠くから、兄に手を振る舞。


(へへっおにいちゃん元気そうだ)舞


~~~黒月~~~


繰り返す抗争

もう、何が、勝ちで何が負けやら・・

泥沼に入っていく・・


結局の所、利権だ・・不良利権。

縄張り、作って、ステッカー売ったり、

潰したチームから上納金取ったり・・

そして強い方、名前売れてる勝者に寄って来る女。


結局。金と女だ。不良なんて・・


しばらくして・・・


「そっ!そんなバカな!」ヤンチ

「嘘だ!?」剛健

「なっ!矢貫さんが?」ゼロ


「・・・ああ・・津秋と丸川も・・」刑事


刑事が南小に突然訪れる

何度も世話になってるこの三人とは、顔見知りだ。



「はあ!?どうして?なんでみんなが!?」剛健



「・・まだ犯人は、分かってない・・」刑事


「なっ!そんなの絶対黒月愚連隊に決まってる!」剛健

「そうだよ!絶対そうだ!」ゼロ


(にいちゃん・・にいちゃん・・)ヤンチ



~~~無月に在る、大きな斎場~~~


「うわああん。うわああん。おにいちゃ~ん」舞

「うわああん。」愛


「くっ・・だから不良なんて・・」父

「うう・・」母


~~~白月~~~


「うう・・丸川さん・・丸川さん・・」パッキン

「弱いから、負けるんだ・・

 勝ちたきゃ、ナイフでも、なんでも使えばいいんだ・・」鬼丸


「お前、分かったふうな言い方するんじゃねえ!

 くやしくないのか!兄貴殺されて!」パッキン

「うう・・くやしい・・くやしいよ・・にいちゃん・・」泣く鬼丸


「くっ・・うう・・ぐすっ」(すまねえ鬼丸・・)パッキン


もっと・・強く・・

もっと、悪党に・・


俺達がいつか・・



~~~黒月~~~


「ごめんね・・花も何も飾ってあげれなくて・・」母

「なんで・・こんなに・・・ウチは・・・」ヤンチ



貧乏なんだよ・・



「うわああああん」ヤンチが兄の遺体に抱きつき号泣


ただ布団に横たわる兄

他は何もない・・花も線香も・・


「うう・・」剛健

「矢貫に~ちゃん・・」ゼロ


「・・・また、後で来ようや・・今は家族だけにさせてやろうや・・」狂犬


玄関から入れずに、立ちすくんで居た剛健・ゼロ・狂犬


黒月愚連隊と東京破天の抗争・・

せっぱ詰まった、黒月愚連隊の構成員にナイフで刺された三人


最悪の結末・・


全員死亡・・


「よしっ。いい仕事したな」黒月愚連隊総長で創始者の男

「はいっ。誰にも見られてません」


「くく・・よしっ。中学卒業したら、黒月愚連隊に・・

 いやっ、いきなり総長にしてやるよ」創始者

「はいっ!」(やった!俺が15で総長に!)



「・・・・・」(マジか・・こいつだ!くそっ暗くて顔見えねえ!)ゼロ


一旦家に帰ろうとしたゼロが

黒月の端っこでこの会話を、たまたま・・


「んっ!おいっ!そこに隠れてるの出て来い!」


(ヤバイっ、見つかった!殺される・・)ゼロ


「ちっ・・小学生か・・向こう行けやっ」

「なんだったら、ついでにこのガキも殺しましょうか?かかかっ」

「やめとけ、いくら中学生でも、やりすぎると、小月に送られるぞ」

「本当っ悪党なガキだな、無月のくせに」

「かかかっもう、震えてんじゃねえか、このガキ」

「やめとけ、行くぞっ今から、戦勝祝いだ、わははは」

「かかかっ」


暗くても、分かった・・

顔は、見えないが・・


圧倒的・・

圧倒的な悪党・・


(くそっ!くそっ!もっと強くなって!)ゼロ




~~~~~~~~~~回想終了~~~~~~~~~~~~


小月学院


昼休みの一年の教室


「黒北のゼロっての、ちょっと来いやっ」三年


「うっ・・三年の番長グループ・・」

「ゼロちゃん・・」二号

「ちっ・・」ゼロ


ヤキ・・


「ドッ!」「うっ・・」ゼロ


三年にヤキ入れられるゼロ


「んで、おめえは、黒北なのか?小月なのか?」石田


「くっ・・」

(まあ、こうなるか・・くそっ。

 もう、小月って、言いたい・・

 耐えれない・・さすが日本一のヤンキー学校のヤキ・・強力)ゼロ


「要らねえんだよな・・・黒北は・・。

 次は、もう俺って、決まってるのによ、

 頭角現して来やがって、火村の野郎っ」番長


(火村?てか、この人が・・小月の番長・・始めて見た・・)ゼロ


「ドッ!」「がはあ!」ゼロ


「・・・俺が質問してんだろうが!早く答えろやっ!」石田


(すげえ・・さすが白月の石田・・パンチの威力が違う)三年


「ほれっ。もう一発」石田

「ドッ!」


「うっ・・おえっ!・・おえ~~~」ゼロ


ゼロが倒れて、嗚咽・・ただ無様に


(なんちゅう強さ・・こんなに強いなんて青龍・・もしかしたら鬼丸さんより・・)


「かかかっ!王政復古だ~?くだらねえチーム、中学生が作りやがって」番長


(えっ!・・・・・か?)ゼロ


「矢貫の弟か・・相当ヤンチャなんだってな!」番長


「くく・・知ってるのか?弟も・・米谷っ」石田

「見たことはねえけどな」米谷

「クニオ君にはすべて報告してるよ。

 黒5月・全5月と。ピックアップしてな」三年


(米谷クニオって言うのか、この番長。・・・弟も?・・・)ゼロ


「下界は楽しそうだな~。俺ぁよう、無条件で、三年間ここにぶち込まれてるからよ

 下界を知らないんだよ・・かかかっ」米谷


「無月、始まって以来・・

 いや、もう、無月でこんな悪党、でねえな・・」石田


「かかかっ!無月始まって以来・・

 かつ、史上最年少で黒月愚連隊の総長だよっかかかっ」米谷


(無月!・・間違いねえ・・このチャーハンが!)ゼロ


「・・・言えや。黒北の生徒として、毎日俺等からイジメられるか・・」石田

「小月の生徒となって・・俺達の手先となって、黒北をかき回すか!」米谷


(確かにこいつを、手に入れれば使える・・

 スパイとして使う事も・・奴等を、罠に陥れる事も・・

 だが、ウチに忠誠を示さなければ、逆に厄介・・

 こっちの情報は向こうに、だだ漏れだ・・)三年


「ブンっ!」いきなりゼロが・・


「うおっ!ナイフ出しやがったこのガキ」石田

「どけっ・・」米谷


(来たっ取るっここで!一気に!躊躇なく・・)ゼロ


殺す・・・



「ドギャ!」

「ぎゃはああぁ!!」ゼロ


「うおっ・・なんちゅうパンチ・・俺以上も久々見たな」石田

「ああ。これが小月史上最強の番長米谷だ」三年


「ブルっ・・ブルっ・・」ただ震えるゼロというより、

 息も出来ぬほど強力・・体のあちこちから感じる異変・・


「グッ!」米谷が倒れたゼロの髪を引っ張り上げ・・


「うっ!・・」ゼロ


強烈な睨み・・人など簡単に殺してしまう奴の目・・

持ち合わせていないハッタリ・・



「・・・・小月か・・・・黒北か・・・・」米谷の強力なオーラ、威圧・・



(ヤンちゃんっ・・ヤンちゃんっ・・)ゼロ




「・・・・・・小月です・・・」ゼロ



ごめん・・




次話からが、やっと本編かと思います。


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