逆ボンタン狩り
「逆ボンタン狩りじゃああ」
一年が激しく、二年の校舎に突っ込んで行く。
(んっ?逆ボンタン狩り?・・ボンタン狩り返しの方が適切な言葉では・・)剛健
「しゃああ!逆ボンタン狩りじゃあ」ゼロ
「うわあああ」二年
「なっ!応援っ三年呼んでこいっ!」二年
「くくく・・すでにビビッてんじゃねえか、せんぱ~い」コー
「シャアおらっ!」ゼロ
(おっ!もうゼロちゃん一枚奪った。さすが)剛健
そして・・
「・・・・おいっ!お前ちょっと来いや」ゼロが通りすがりの真面目な二年に・・
「えっ?僕ですか?」真面目な二年の生徒
マジで?えっ?僕っすか?みたいな顔の二年の生徒
「穿けっ!おらーーー!!」ゼロ
「なっ!止めてください!」真面目な二年の生徒
(やだ・・バカタレこの子。逆ボンタン狩り=ボンタン穿かせるになってる・・)剛健
(なんだそれ・・・おもしろいけど)コー
ゼロが、奪ったボンタンを無理やり真面目な生徒に穿かせる
そして・・
「さよなら・・」ゼロ
「えっ?えっ?」真面目な二年の生徒
ゼロがそのボンタン穿かせた二年を校舎の外に押し出し・・
「居たぞ~!二年だ!ボンタン狩りじゃあ」一年
「四天王(ヤンチ・剛健・コー・ゼロ)に続け~」一年
「わああああああ」真面目な二年の生徒
(ひでえ・・)剛健
(ひでえ・・)コー
「てか、逃げたな・・・他」コー
「三年と合流するつもりか・・行こう」ゼロ
「だなっ。もう、ヤンチと鬼丸ゼットが向かってる」剛健
(鬼丸Z・・かっこいいあだ名付けたな・・さらに強くなった・・)コー
(鬼丸が、すでにあだ名だけど・・)ゼロ
三年の校舎に・・
「なっ!一年が攻めて来ただ?」アン
「逃げ遅れた奴はボンタン狩られました」ヒデ
「・・・・くそカスが・・おいっ」火村
「うっ・・」ヒデ
ヤキ・・・
無様に一年に逃げてきたのだ・・しかも二年の№2が・・
(無理だ・・あのヒデが、ここまでヤラれるなんて・・
誠も入院・・デタラメだアイツ等・・質が違う悪の・・)正宗
(くっ・・火村のヤキ半端ねえぞ・・・)アン
(知らねえぞ・・・死んでも・・)田淵
「飛べや・・・」火村
(そっちか!)アン
「うっ・・すいません・・すいません・・もう一度やりますんで・・」ヒデ
ヒデが、火村に引っ張られて、屋上の端に・・
(マジか!?恐ぇえ・・本気か?)二年番格増本
「死にはしねえよ、たかだか三階だ・・
ほれっ、根性ありゃ・・、助かる」火村
(黒北伝統の根性試し・・屋上ジャンプ・・・)アン
(飛べるか?このヒデって言うの・・)田淵
三年なら、知っている。
去年あっさり飛んだガンさんにキムさん・・
「うっ・・うう・・」躊躇するヒデ
この三年の屋上から三メートルくらい離れた所に、別の建物の二階の屋上が・・
それでも、かなりの高さ
すんなり幅跳びで二メートルちょっと位飛べば、たどり着ける距離。
届かなくても、それなりに飛べば手前の大きな木に・・
この木には、過去何人も突っ込んだ。
あと一歩の勇気が足りないから・・・
それでも、ここまで飛べば命は、まず助かる。
そしてもっと根性なく、躊躇すれば・・・
「・・・不良止めるか、飛ぶか決めろ・・黒北にカスは要らねえ」火村
「うっ・・うう・・」ヒデ
「・・くっ!俺が代わりに飛びます!」正宗
(駄目だ、ヒデは・・足震えてる。あれじゃあ絶対無理・・)
「まっ・・正宗・・・」ヒデ
「なっ!意味ねえよ!正宗」岸
「くく・・飛べっ代わりに・・」火村
「よしっ飛べっ正宗!躊躇するなよ!」アン
正宗が飛んだところで意味はない様な・・だが、火村やアンの考えは違う。
(教育もあるが・・この下がった士気・・ここで盛り返さないと・・)火村
「・・・・」アンが火村の方を無言で見て
(分かる・・きっかけがないと、この連合体は崩れる・・
それに、よく、番格の恐さを教えとかないと・・
あっさり、みんな新狂犬軍団に流れるぞ・・)アン
グループは分かれてても、いざという時、一枚岩だから強い黒北
だが、三年№2狂犬は動かない・・
同じ軍団の№3の田淵がやられようが、ヒデがやられようが・・
というより、もう、ほぼ解散している狂犬軍団。
問題児ヤンチの登場で・・
ヤンチと狂犬は、昔からの仲。
剛健や、ゼロも唯一先輩と認めるのが狂犬。
今、実質この黒北は、火村 対 狂犬(プラス鬼丸)の様なもの
火村・・正統、伝統を受け継ごうと、火村を押すアンや、他の者達
狂犬・・異端・破天で新しい黒月を作り出そうとする狂犬を押すヤンチや鬼丸
そうっ・・鬼丸が邪魔なのは、黒月愚連隊。
そして狂犬も。当然、去年の卒業生、ガンや、キムからも好かれてない。
ヤンチも・・
(狂犬軍団じゃなくて、捨て犬軍団だな・・)遠くで見てる狂犬。
まだ、このやりとりを、隠れて見てる鬼丸とヤンチ。それに合流した一年達
「くく・・・何人か向こう回れ」鬼丸
「くく・・じゃあ俺がまた。」コーと、もう一人が向こうの建物に先回り
(ふ~~ん。飛びきるんだ・・)ヤンチ
「うおおおおおおお」正宗
「いけっ!正宗!」岸
「正宗~」ヒデ
「ドっ!」
「いって~~~!」正宗
「ふ~・・」アン
「よしっ!」
「しゃああ!!」
「ふふ・・よしっ。許してやる。もう一回行って来い!黒北の精鋭達よ!!」火村
「はいっ!」(助かったよ正宗この恩に・・)
「しゃあ行くぞ!」増本(よしっ!気合入ったぞみんな)
だが・・
「がはあああ!」正宗
「えっ?」岸(なんだ正宗の声)
「くくく・・そんなとこから、飛んだから足でも折れたんじゃねえか」コー
コーが金属バット持って仁王立ち
「ひでえ・・俺見た・・足フルスイングしてたぞ」剛健
「だな・・」ゼロ
「なっ!正宗~」岸
「このガキ共!」アン
「くくく・・じゃあ、ボンタンっと・・」コー
ボンタンを狩られる正宗
「くっ!行くぞ、お前等っ・・えっ!」アン
「何っ!?どういうことだ・・・」火村
「なっ!白月の・・鬼丸」増本
「くくく・・知ってる?ああそう?くくく」剛健が鬼丸の肩に手を置き
「せんぱ~いっ、やっちゃってくださいよ~」ゼロも馴れ馴れしく鬼丸の肩に手を置き
「・・・馴れ馴れしいぞ・・殺すぞ」鬼丸
「はうっ」(やべっ調子乗りすぎた)剛健
「はうっ」(やっぱ恐ぇえこの人)ゼロ
(くそおもしれえ、剛健とゼロちゃん。ふふ)ヤンチ
「・・どういうことだ?」火村
「暇つぶしだ・・・」鬼丸
「どういう関係だ!お前等、黒北の人間だろうが!鬼丸とつるみやがって!」アン
「くく・・・いい後輩は地区の垣根越えて仲良くしねえとな」鬼丸
「てか、もともと知り合い~」ヤンチ
(最強だ・・このコンビ・・)剛健
(バカなんだよ、お前等が、ヤンちゃん敵に回すなんて)ゼロ
(ねえ、俺もう、そっち行っていいの?・・忘れられてる・・)コー
(そうなのか・・困った・・。黒北の歴史が崩れる・・)アン
鬼丸(白月)とヤンチ達が組めば・・
「どうしたいんだ・・一年っ」火村
「まず、伝説。一年で黒北制覇」ヤンチ
「なっ!バカな事言ってんじゃねえぞ!
ここは、歴代ずっと、上下関係を重んじて・・」増本
「そうだ!一年が先輩にたいして・・」岸
「・・くだらない・・・だから、クソなんだ・・」ヤンチ
「何を!?」増本
いつだって、先輩面・・
弱くても、大して悪くなくても・・
先輩という武器を振り回す。
「くく・・今日はタイマンで決めたらどうだ?」鬼丸
「タイマン?」
「誰と誰が?」
「何を条件に?」
「まあ金と派閥解散じゃねえか?
どうせ、今日喧嘩で勝ったって、また同じ事だけど」鬼丸
(リアル・・でもそう。勝っても負けても、どうせ抗争は続く)剛健
(いやっ・・重要なのは、勝ったという事実。これがあれば・・)ゼロ
「・・・全員、金出せや・・」火村
「・・・しゃあねえ・・おいっ全部だ!」アン
二年・三年グループで総額3万
まあ、中学生ならこんなもの。それでも、持っているほう。
「えっと・・・840円です。こっち」剛健
「ぶっ!・・誰かもっと、持ってろよ・・」合流したコー
「くくく・・額じゃねえよ・・こっちの800円は重いぞ」鬼丸
「840円です。」あえて強調する剛健、40円を
「・・・・・」鬼丸が冷ややかな目で・・
「・・・800円です」剛健 やさしく瞳を閉じる
(なんだそのやりとり・・おもしれえけど)ヤンチ
それでも、さすがに、3万対800円は切ないので・・
「ほれっ・・返せよ・・」鬼丸
「じゃあ、一旦お借りします」ヤンチ
鬼丸がポケットマネーを出す。
「・・・誰が出るんだ?」火村
(何を狙っている?)アン
(どの派閥がこいつらにとって邪魔なんだ?)正宗
「・・・・増本っ・・来いやっ!」ヤンチ
「なっ!このガキっ」増本
二年№1。だが無所属・・人数も二人だけ。
(なるほど・・先を見てる・・)鬼丸
(二年潰しだ・・俺達の考えは・・)ゼロ
(まず、一番強い奴を取る・・てか、他もう楽勝~)剛健
実際他は、すでに戦意喪失。
ヒデに横沢、誠。かつかつまだ正宗がやる気があるだけ
今、ここで二年を倒しておけば・・
いや、もうほぼ次の次の、黒月愚連隊当確の男を・・
「なるほど・・一旦途切れさすつもりか・・伝統を・・」火村
「俺が卒業した時には、黒月愚連隊にはアンタ等しか居ねえ・・」ヤンチ
「まだ、決まってねえよ・・火村とは」アン
(いや・・ほぼ決まり・・やっぱ格が違う・・)剛健
(火村達が黒月のトップ取った頃が問題・・そう・・俺達がデビューする頃・・)ゼロ
ヤンチの狙い・・
後輩にヤラれるような不良は当然黒月愚連隊には入れない。
「そうっ・・・俺の狙いは・・」ヤンチ
(困ったもんだ・・・)コー
黒月愚連隊の壊滅・・・
そして、それ以上の不良チームを、この黒月・・東京で。




