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ルビナンス戦記  作者: たま。
第1章・転生篇
7/13

#4 …成功率が…50%…

「やばいやばい…まじやばい。

あ~最初何するんだっけか?ってか、もう来てるし…だぁぁああ」


チュートリアルからいきなり実践に飛ばされた事でただいま絶賛混乱中であった。

魔甲機クーフーリンの槍先が目前に迫った時、彼は咄嗟に横ブースト移動を行う。

相手との距離が十分離れた所でペダルを放し止り、彼は心を落ち着かせようと努力した。


「はぁはぁ…えーと、そうだ!神器の召喚かっ!」

『ふっ、ただの素人かと思えば私の攻撃を避けるか…。

だが、その言動からは素人としか思えん。

貴様が慣れる前に決着を着けさせて貰う』


相手の声がHMDを通して聞こえてくる。

彼とは違いその声は落ち着いており歴戦の戦士である事が窺える。

そして、クーフーリンが持っていた槍の持ち方が変わる。

逆手持ちに変更し腕を振り上げ肩の上方で止める。

これは丸で投擲の構えだ。


『魔槍・ゲイボルグ…』


クーフーリンの手から放たれた槍は、光を帯び丸でビームのようにベオウルフに迫ってくる。

槍のスピードは本当なら光速域の筈なのに彼にはスローモーションのように思えた。

だが、それは余裕から来るスローモーションではなく、死が迫ってくるスローモーションだ。


「うあああぁぁぁ!くっ…しょ、召喚・魔剣グリム!」


投擲されたゲイボルグとベオウルフの間へ割り込むように黒い稲妻が落ちゲイボルグを弾き飛ばす。


『なにぃ!?』


濛々と立ち込める土煙の中から赤黒い巨大な剣を姿を現す。

そして、あんなに大歓声だった観客席からの声援が止まる。


『な、何だこれは…』


現れた大剣は、ただそこにあるというだけで十分に存在感を周りへ示した。

その剣は明らかに対装甲騎士用の武器ではなく、龍殺しの為に造られた武器だという事を改めて彼は思った。

そして、ベオウルフはその大剣を手に取ると同時に性能が大幅に上がり、その佇まいは歴戦の戦士を圧倒する程の威圧感を放った。

しかも、片手で軽々と剣を持っている事に周囲の観客達や相手の騎士は驚きを隠せないでいた。


『…これは面白い』


クーフーリンは、弾き飛ばされ遠くの方に転がっていた自分の得物を歩いて取りに行き構え直す。


『今度からは全力で行く。その鈍重な機体でどこまでやれるかな』

「くっ…」


今までとは打って変わって威圧感が半端なく増大する。

少しでも気を抜けば一瞬で負ける事は明白だろう。

彼は覚悟を決め、上半身を捻り刀身を地面と平行になるように構える。

相手の方は、右手で槍の柄をしっかり持ち、左手は添えるだけの構えで突きを主体とした攻撃なのが分った。

相手より先に攻撃を行う隙が全く感じられなかった。


仮想であるのは間違いないがこれはゲームでない。

そして、相手は彼のような素人ではなく戦闘を慣れした”騎士”なのだと彼は改めて思った。


『どうした来ないのか?ならば私から行こう…』


最初の攻撃とは比べ物にならないぐらいのスピードで間合いを詰め、彼が対応する間も与えず連続の突き攻撃を繰り出す。

反射的にグリムを前に出し腹の部分で攻撃を防御する。

コクピット部分はそれで守れてはいるが、それ以外の部分は容赦なく突きの攻撃をまともに受ける。

その衝撃はコクピットまで響き、ベオウルフのHPを確実に減らしていく。


「くぅああああ!?」

『貴様の武器は飾りか?

こんな無様な醜態が貴様の本気なら速攻で終わらせるだけだ』


突きの攻撃がさらに加速していく。

ゲイボルグの名前が彼の世界と同一の槍を指しているのなら、これが必殺の攻撃ではないのが分る。

しかし、今のベオウルフを倒すのに必殺など不要と言わんばかりの猛攻だった。

ベオウルフのHPはすでに5割を過ぎている。

このまま何もしなかったら、ほんの数分で負けるのは確実だろう。


(このまま何もせずに負けるのは嫌だ…)


ベオウルフは、防御に徹していたグリムを横に払いのけると同時に後方へブーストジャンプをした。


連続突きを払いのけられたのは少し驚いたが、相手の騎士は冷静に構えなおし何時でも攻撃出来る体勢に戻す。

クーフーリンの攻撃により強固にした筈のベオウルフの外部装甲はすでにコクピットを除いて穴だらけだった。

神器にはハズレと呼ばれる武具は存在せず、グリム同様にゲイボルグも神器所以の性能を誇っていた。


(悔しいけど、技量の差は歴然としているのは間違いないな)


次の一撃に賭ける事にした。

彼が把握しているグリムの攻撃力なら一撃で相手の装甲騎士に致命傷与える事も不可能とは言い切れない。

少なくとも相討ちに持っていけない事もない。

このまま防御に徹したところで負けるのは間違いない。


「それでも何もしないで負けるよりはずっと良い」

『覚悟を決めたか?ならば、次で止めを刺してやろう。

光栄に思うが良い…貴様のような素人にこいつを見せてやるのだからな』


クーフーリンの構えが突きから投擲に変わる。

ただ、初撃に見せた構えと少し違い構え方が深くなっていた。

彼の知っているゲイボルグといえば”必中必殺”の武器だった筈だ。

クーフーリンから放たれた槍は、相手を射殺すか叩き落すかをしない限り避けても追ってくるのではと考えた。

ならば、その槍の威力を相殺出来る程のベオウルフ最大威力を持って対抗するしかない。


『奥義……貫き穿つ死の三十奏(ゲイボルグ)


クーフーリンから放たれた槍は、初撃と同様の極太ビームとなるが途中で三十に分散し、多角方面からベオウルフを襲う必中の無死角攻撃に変化する。

タイミングを間違えれば三十の槍は、ベオウルフを針のムシロにする筈だ。

今、ゲイボルグは高密度のエーテルに変化していると思われる。

そこに盲点があると彼は判断した。

ベオウルフのもう1つの武器、名剣ネイリングは材質の特性上、砕く事によってエーテルを防ぐチャフの役割になる。


(ま、一度しか使えないけど…。俺の予想が外れたら………考えない方が良いな)

「砕けろ。ネイリング!!」


ベオウルフは、予備武装として腰に提げたネイリングを左手で抜き正面に構えた所で発動させる。

最終奥義として登録した技の前提技で、本来単体として登録する筈だったが余裕がなかった。


木っ端微塵に砕け散ったネイリングは、ベオウルフを覆うように光のベールを作る。


『!?』

(頼む…防いでくれ…)


ベオウルフが光のベールを作って1秒もしない内にゲイボルグが着弾し、凄まじい光と共に”パァァン”と炸裂音がする。

これは恐らくゲイボルグを防いだ音だろう…が、その後2度ベオウルフを貫く衝撃と音がコクピットに響いた。

彼のディスプレイには、コクピット右下部に突き刺さったゲイボルグの先端が見えた。

完全に防ぐ事が出来なかったようで、ベオウルフのHPを確認するとすでに1割を切っており次はないと悟る。

だが、今のクーフーリンには得物がない。

本来なら相手の装甲を貫通し手元に戻る筈だったのだろう。

しかし、チャフとなったネイリングに防がれ勢いを無くしベオウルフに深々と突き刺さったままになった。


「最終奥義…硝砕龍頸殺しょうさいりゅうけいさつ


ベオウルフは、グリムの大地を分断する程の渾身の袈裟斬りをその場で振り抜くと、

漆黒の衝撃波が砕けたネイリングを巻き込み二層ビームの様になりクーフーリンへ襲い掛かる。

クーフーリンの騎士は予想外の事であったが、歴戦の騎士としての勘が直撃を防ぐ為に自然と横へブーストジャンプをして避ける事に成功した。

しかし、グリムの発した衝撃波を直撃は避けれたが、エーテルの欠片となっていたネイリングに右半身はまともに当たり左足も脛から下が完全に消滅した。

衝撃波は、クーフーリンに当たって尚勢いを失わず闘技場の横壁に衝突し行き場を失ったエネルギーはその場で大爆発を起こした。

闘技場の戦闘フィールドと観客席の間には、強固な結界が張られていた事で観客席には被害がなかったが、普段視認出来ない筈の結界が視認出来る程の反応を見せていた。


『なっ!!??』


クーフーリンの騎士と観客達はあまりにも現実的でないその威力に驚愕し言葉を失った。

いや、当の本人さえ言葉を失っていた。

闘技場内は、風きり音しかない妙な静けさが支配した。


「………ぁ、え~、ゴホンッ!き、決まったぁぁぁ!!

勝者!騎士レイツ=エルウイッシュ。そして、魔甲騎士ベオウルフ!!!

これはトンでもない番狂わせだぁぁぁ!

前回準優勝者ヴェイグ=ルシ=ベルグラシア、一回戦で敗退決定ぃぃぃ!!」


『ば、バカな…』

「勝…った…のか?」


今まで彼が味わった事のない大歓声に達成感が彼を支配していった。

しかし、勝利の余韻に浸る間もなく、ディスプレイが暗転し機械的なメッセージ表示される。


『レイツ=エルウイッシュとのリンクを切断……世界軸”地球”へ移行

………ポイント103981に固定……時間軸”2015年11月14日、AM3時46分”へ修正』


メッセージが終了すると再び暗転し静けさがしばらく漂う。

が、その静けさをぶち壊すように陽気な声がコクピット内に響き渡った。




『コングラッチュレーション!!!

いや~~素晴らしい感動したよ。レイツ=エルウイッシュ君…いや、牧瀬弘まきせひろ君だっけ?』


このシミュレーターに入ってから一度も聞いた事のない声だった。

音声のみなのでどういった人物なのかが全く分らない。


「え?」

(何で俺の本名を知っているんだ?)

『期待以上だよ。異世界で騎士を発掘する…我ながら良いアイデアを思いついたものだ。

これなら大臣達を説得出来るよ!…いや、先に既成事実を作ってしまった方が良いかな…』

「へ?」

『よし、今から召喚の準備を始めるから少し待っ…』

『へ、陛下。その事なのですが………』

『え!何で?』

『……………ですので………』

『……い、今のなしで』

「はぁい!?」

『いやぁ、ごめんね。ちょっと先走ってしまったみたいだよ』

「はぁ…」

『簡単に説明するとね。

我々聖アルゼルフ王国は、優秀な騎士を異世界から発掘する為に今君が乗り込んでいるシミュレーターを作った訳だよ。騎士としての素養有りと確認出来たら召喚する手筈になっている筈だよ。その辺は事前に聞いてるよね?』

「え?いや…」

『あれ?聞いてないの?』

『へ、陛下。ちょっと……………』

『………ははは、今のもなしで…』

「……」

『……ま…まぁ、召喚してしまえば、後はどうにでも…』

『へ、陛下。彼に…聞こえています…』

『え?うそ……!!…!……ブツッ』


一瞬であるが陛下と呼ばれた男の声が途切れた事で、状況把握するには少々足りないものの十分だった。

少なくとも自分の得になる事はなく、どちらかと言うと悪い方向へ進んでいるには間違いなかった。


『いやぁ。ごめんごめん。少し手違いがあったけど、予定通り進めるね』

「ちょ、おい。勝手に話進めるなよ」

『あ~、ごめん。ちょっと聞こえ難いなぁ。話は召喚した後で聞くよ』

『あ、あの陛下。申し訳ございません。

地球にある物はプロトタイプでして………成功率が…50%………』

『……ぇーと、うん、まぁ大丈夫でしょ』

「大丈夫じゃねぇよ。っておい、聞けよ。人の話!」


彼は、扉を開けようと付近を手で触ったりキーボードのキーを手当たり次第に押すが反応がない。


『あ~ちなみに、その扉は外からしか開かないからね』

「くそ…開かない。出せよ…出せ!」

『じゃ、待ってるね』


ここで彼の意識は途切れ、物語の最初に戻る事になる。


若干?厨二臭くて申し訳ない。

次話投稿で、しばらくE/Oに戻ります。

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