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おまけ
友達に、悠星と付き合うきっかけを聞かれて話していた。
すると、
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「ていうかさ」
友達がふと思い出したように言う。
「りこ、なんで女性専用行かなかったの?」
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「え?」
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「痴漢あったんでしょ?
普通そっち行かない?」
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りこは一瞬止まる。
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「……あ」
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言われてみれば、その通りだった。
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使おうと思えば使えたはずだ。
でも——
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りこは少しだけ視線を逸らす。
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「……なんか、思いつかなかった」
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友達はニヤッとする。
「ふーん?」
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りこは慌てる。
「いや、違っ……!」
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でも途中で止まる。
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(……違わない、かも)
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ふと朝の電車を思い出す。
前に立つ背中。
揺れたとき、自然に守られる位置。
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安心していたのは、本当だった。




