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告白の刻

えっ!?どういうこと?


 二人はまたして、全く同じ言葉を口を揃えて吐き出した。


 「影山くん、真似しないでください。」


 「違うんですよ、神城先輩。」


 僕は呆れた表情を浮かべた。


 まさか、これって悪戯に引っかかったのだろうか?


 「ていうか、ここに僕を呼び出したのは先輩ですか?」


 「まさか。こっちが聞きたいわよ。」


 僕が告白の手紙を取り出すと、先輩も同じように封筒を手に取った。


 先輩の持つ手紙の文字は、明らかに男性が書いたような力強い筆跡だった。


 「どうやら、お互いに悪戯に引っかかったようね。」


 神城楓先輩は呆れてため息をついた。


 「でもまあ、実際に告白してくれた後輩を直接断るなんて、相手を傷つけちゃうかもしれないし、結果的には良かったのかもしれないわ。」


 柔らかい笑みを浮かべる先輩を見て、僕は一瞬見とれてしまった。


 いつも生徒会長として威厳ある凛々しい姿とは、まるで別人のようだった。


 先輩は少し間を置いて、ふいに目を細めて僕を見た。


 「まさか、こんな場所で影山くんと、お互いに告白を断り合うなんて、思いもしなかったわ。」


 「す、すみません、先輩。よく確認しないまま、喋ってしまいました。」


 「大丈夫よ、大丈夫よ。でもね、二日後の試合では手加減しないわよ。」


 「最近、ずっと特訓を受けてるの。しっかり準備しておきなさいね、ふん。」


 「ゲームに関しては絶対に譲りません。僕たちの部活も、絶対に廃部にさせません。」


 「ふうん。そんなにやる気があるなら、本番で腕を見せてもらいましょう。」


 先輩と僕は一緒に笑った。


 先輩は手首の時計をちらりと見て、僕に手を振った。


 「もうこんな時間ね。生徒会に戻って処理しなきゃいけない仕事があるから、先に失礼するわ。二日後の会場で会いましょう、影山くん。」


 「先輩、さようなら。」


 僕は先輩の後ろ姿に深くお辞儀をした。


 夕日の柔らかい光の中を、桜の林から歩いていく先輩の姿を見送った。


 彼女の姿が完全に見えなくなってから、僕は長く息を吐き、ぐったりと肩の力が抜けた。


 手の中で少しくしゃくしゃになった告白の手紙を握りしめ、僕は複雑な気持ちになった。


 午後ずっと、どうやって断れば相手を傷つけないかばかり考えて、いろんな場面を想像していたのに。


 結局こんな大きな勘違いが起きて、本当に僕を呼び出した人は、結局一度も姿を見せなかったのか?


 まさか本当に悪戯だったのか?


 だけどこの手紙の字はとても綺麗で、一筆一筆に真剣さがにじみ出ていて、どう見ても男子が書いた悪戯なんて思えない。


 僕は首を振って手紙をポケットにしまった。


 この日のとんでもない出来事を心の中で愚痴りながら、立ち去ろうと背を向けた。


 その頃、桜の木の陰に隠れていた夜空祈は、この一部始終を見て、ますます前に出られなくなっていた。


 「どうしよう……こんな雰囲気じゃ、本当に呼び出したのはわたしなんだって、とても言い出せないよ。」


 告白の前に緊張しすぎて水をガブガブ飲んでしまい、相手が来る少し前にトイレに行ってしまったのが、運の尽きだった。


 まさか、たったその数分の間に、こんなドジな勘違いが起きるなんて。


 こんなことになるなんて、目の前の桜の木に頭をぶつけたいくらい恥ずかしい。


 この日のためにずっと考えて、いっぱい心の準備をしてきたのに。


 前に先輩に相談して、勇気を出してアタックしなさいって励ましてもらったのに、結局こんな有様だ。


 この前、大好きな瞬くんが他の女の子とすごく仲良くしているのを見て、その場で号泣しそうになるほどやきもちを焼いたのに。


 星空:好きな人が他の女の子とすごく仲良くしてたら、どうしたらいい?

 千鶴:ちゃんと奪い返せばいいじゃん。まさか小祈ちゃんに好きな人がいるなんて、意外だわ。一体誰なの?

 星空:秘密だよ。でもその子とすごく仲良くて、キスしちゃったんじゃないかってくらいだったの。

 千鶴:じゃあ、本人にどういう状況なのか聞いてみたの?ちゃんと話さないと、誤解が生まれちゃうよ。もし相手が独身で、本当にそんなに好きなら、やっぱり自分からアタックするべきだわ。

 星空:ありがとうございます、先輩。わ、わたし、よく考えてみる。


 先輩がこんなにいいアドバイスをくれたのに、わたし、全部ぐちゃぐちゃにしちゃった。


 祈は少し挫けそうになった。


 だけど、ここで諦めちゃったら、もう何も始まらないよね。


 祈は唇をぎゅっと噛みしめ、気合いを入れ直した。


 絶対に前に出て、自分の気持ちを伝えるんだ。


 ここで立ち上がって乗り越えなきゃ、本当の失敗なんだから。


 そう思った瞬間、祈の体に新しい力が湧いてきた。


 その力に突き動かされるように、彼女は心から愛する人のもとへと走り出した。


 「瞬くん、わたし、あなたのことが好きなの!」

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