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泥棒猫

春だよ、告白の季節。



 こんなに心がざわつくのに……。



 でも、私の恋の春は、まだ全然来てくれない。



 私、夜空祈。飛羽学院一年C組。



 今、まさに人生最大のピンチに直面してる。



 私の恋、まだ始まってもないのに、もう終わりそう。



 正確に言うと、見てもない情敵に、全部奪われそうなんだ。



 私がずっと好きだった人——隣のクラスの影山瞬。



 もう、丸三年好きでいるのに。



 でも彼の目には、私はただの取るに足らない脇役。



 だって、同じ部活で一緒にいたの、たった一ヶ月足らずなんだもん。



 全部の始まりは、三年前のあの投稿。



 性格がひねくれてて、PCゲームばっかりの私。



 League of Legendsのヒーローデザインに挑戦して、盛大にコケた。



 スキルすらまともに分からないまま、味方から罵倒の嵐。



 でも、負けたくなかった。



 ネットで助けを求めたら……新しい地獄が待ってた。



 正直に「中学生女子です」って言ったら、変態がいっぱい湧いてきた。



 「教えてあげるから写真送って」「もっとエッチなのちょうだい」……き、気持ち悪い……。



 だから、偽装した。



 ちょっとボイスチェンして、吐息を低くして、男の子の声に近づけた。



 そしたら、出会ったんだ。



 超優しい、小瞬。



 どんなプレイヤーより上手くて、どんな人より我慢強くて。



 ただの友達だからって、ずっとずっと教えてくれた。



 「迷惑かけてる……ごめんね」って何度も思った。



 でも彼は「全然」って笑うだけ。



 誕生日プレゼントのために、バイト代じゃ足りないのに頑張ってくれた。



 中学生の小遣いじゃきついはずなのに……。



 私はずっと、ずっと「星空」っていう男の子のフリをして、彼のそばにいた。



 でも、時間が経つと……もうマスクが外せなくなっちゃった。



 彼の顔を知って、住所を知って、同じ高校に入っても。



 本当のこと、言えなかった。



 「実は女の子だった」って、どうやって説明するの?



 「ずっと騙してた」って、嫌われちゃうよね……虚偽だもん、私。



 しかも私、コミュ障で陰キャで。



 彼が話しかけてくれても、まともに返せない。



 ……奪われても、仕方ないよね。私がダメな人間だから。



 ……ダメダメ!



 ぺちん、と頰を叩いて、気合いを入れる。



 あの知らない女の子が誰なのか、絶対に突き止める。



 なんで小瞬の家に住んでるの? なんで?



 誰にも渡さない。



 私の恋は、私が守るんだ。女の子なら、当たり前でしょ?



 調査のため、小瞬の家近くまで行ってみることにした。



 出かける前に、もちろん変装。



 『あそびのかんけい』みたいに、髪をアップにしただけでバレないとかだったらいいのに……。



 でも現実って厳しいよね。



 髪をまとめて、帽子かぶって、サングラスかけて、ベージュのコート着て。



 本当はマスクもしたかったけど……。



 マスクしたら、前にやってたアレなエロゲの、変なことばっかする女キャラみたいになっちゃう。



 ……え? これ、ストーカー行為だって?



 違うよ~。



 美少女が悪いことしても、悪いことじゃないもん。



 だってさ——「可愛ければ変態でも好きになってくれますか?」



 この世界、そういうルールで回ってるんだから。



 ……うん、強引すぎるのは分かってる。



 でも、心配で、心配で、止まらないんだもん。



 パン二切れかじって、ちょっと体力回復してから、こっそり家を出た。



 バスに乗って二駅、歩いて三分钟。



 桜がいっぱいの、あの通り。



 桜の匂いを嗅ぎながら、遠くから見つめる。



 見慣れた、あの一軒家。



 来るのが早すぎた……いや、ちょうどいいタイミング。



 来て二分もしないうちに、小瞬が……気品のある女の子と一緒に、外に出てきた。



 ……くそ、泥棒猫。



 でも、まだバレちゃダメ。



 LoLのジャングラーみたいに、草むらに潜んで、隙を狙うんだ。



 距離を30メートルくらいに保って、ついていく。



 ……あれ? 急に止まった?



 泥棒猫が振り返る!



 やばっ——反射神経で、さっと反対側のコンビニに逃げ込んだ。



 ……はぁ、危なかった。



 ぺちんぺちん、と自分のちっちゃい胸を叩く。



 ……あ、待って。



 もしかして、私の貧乳が原因で、まだ攻略できてないとか……?



 もし影山が横で聞いてたら、絶対ツッコむよね。

 「いやいや、毎回会うと逃げるし、話しても10文以下だぞ? 可愛いと思っても、接点も絆も作れないだろ」って。



 そんなこと考えてたら、数秒で二人とも消えてた。



 慌ててコンビニから飛び出して、早足で追う。

 何周か回って、ようやくスーパーに入っていくのを見つけた。



 私も、のんびり入店。



 週末のスーパー、人多すぎ……。



 こんな密集地帯、陰キャの私には地獄だよ……。



 でも、そんなのどうでもいい。



 大事なのは、あの泥棒猫が何しに来たか。



 ……なんか、話してる。



 そっと近づいて、斜め後ろから覗く。



 今、距離10メートル切ってる。



 ようやく、はっきり顔が見えた。



 黒くてつやつやのロングヘア、自然に肩から落ちて、風が吹くたび、首筋を優しく撫でるように揺れる。



 隣の小瞬は、私服なのに……やっぱりかっこいい。



 背が高くて、いつも優しい顔。



 ……でも、その優しさ、間違ってるよ。



 優しくされるべきは、私の方なのに。



 悔しくて、爪を噛む。



 嫉妬で、胸が痛い。不公平すぎる。



 ……え? あの子、何してるの?



 泥棒猫が、急に体を寄せて……横顔が、小瞬にぴったりくっつきそう。



 ……は? キス? 頰にキスしてるの!?



 頭の中で、何かが爆発した。



 飛び出して、怒鳴りつけたい。



 「この不埒な女!」って。



 でも、勇気なんてない。



 完全に、負けちゃった……?



 涙が、ぽろぽろ溢れて、サングラスの中を伝う。



 視界がぼやけて、もう二人とも見えない。



 足がガクガクして、棚にすがってやっと立ってる。



 ……もう、いい。

 帰りたい。

読んでくださって、ありがとうございます!


今日はたくさんの方に読んでいただいて、閲覧数がすごく伸びて、本当に嬉しいです。


これからも頑張るので、応援よろしくお願いします!


今日は 3回連続更新 に挑戦する予定です!


夜には新しい章も公開するので、楽しみにしていてください。


これからも、よろしくお願いします!

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