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編集したので少しでも読みやすくなっているはずです。
とある夏には不思議なくらい涼しい日の夕方、マリア・ハンロンは森の近くの木に息子の行方不明ポスターを貼っていた。
息子が行方不明になってから3日が過ぎようとしていた。とてもゆっくりと。しかし確実に。
ウォーターヒル警察署にも行方不明届けを出したものの、この年の子供はよく家出をすると言われて見てさえ貰えなかった。追い出された。ー確かに彼は16歳だけど、だからって…
マリア・ハンロンの息子…トーマス・ハンロンはあの恐ろしい事件の最初の被害者であり、もう家に戻ることは一度もなかった…。
周りは真っ暗で静まり返っていた。まるで世界が死んだかのように。
新人警官のマシューは前を照らしながら慎重に歩いていた。一歩踏み出すたびに落ち葉を踏む音が森に響く。ライトを持つ手と照らされた物の影が微かに揺れている。
古いアスファルトは草で生い茂っていてボコボコであったから、物凄く歩きにくかった。一歩でも踏み外せば落ちて出られないのかもしれない。ここのアスファルトを使う人はいないから、しょうがないけど。
今日は初の1人でのパトロールだというのに…パトカーを無事、壊してしまうとは…車が咳したかと思うと、急に煙が出て動かなくなった。マシューは1人で苦笑いをしていた。まあ、しょうがない……あんなに古かったのだから。この町のパトカーに税金を使ってくれる人もいない。学校や道路については話さないことにしよう。
でも、おかしいよな…この廃工場の近くの道は何故かマシューの他には誰もパトロールをしない。犯罪が起きるのならば絶対にここなのに。この廃工場への道をパトロールすることにしたのはマシューであったから。仲間に何も言わなかったのは悪いだろうけど…ね?
確認したかっただけ。町全体を見ないとパトロールはエレベーターのボタンを複数回押すのと同じくらい無意味だ。 だからって怖くないわけではない。心臓は張り裂けそうなほどバクバクするし、勇気は後悔に置き換わる。
「カッチ」乾いた枝が折れた音を聞いて、マシューは急いで振り返った。動物だよね?そうだよね?
木々の間の暗闇には誰もいないようだ。しかし…確かめなきゃ……マシューは森の方に歩き始めた。彼は警官だ。怖がってはいけない。これは彼の選択だ。憧れた若い父さんのように警官になることは……。だから、この町を守るのは彼の義務だ。どれくらい恐ろしくても怖がってはいけない。絶対に。
後ろから足音が聞こえてくる。マシューは再び思いっきり振り返った。が、今度は遅かった。「ドッスーン」金属の鈍い音が頭の奥から聞こえて、鋭い痛みが走った。
「ドッス」マシューは前に倒れた。草と湿ったアスファルトの匂いが漂う。頭の方からゆっくりと流れてくる生暖かい液体の何かの鉄の臭い…まるで錆びた釘を鼻の近くに持ってきたかのような臭い。
何もかもが踊りだし、寝るように囁いてくる。人間には耐えることが不可能なもの。




