表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
命輝く森の中で  作者: 蝙蝠ねこ


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

8/13

7話 まさかの遭遇


エンゲラの鼻息が聞こえて、目を覚ました。

彼女がここまで息を荒げるのは珍しい。何かと思い目を開けると、彼女は私に背を向けて立ちはだかっていた。

彼女の視線の先には、ダークエルフが立っていた。彼女は私を守ってくれたのだろうか。

「……こんにちは。」

「……」

当然、返答は聞こえない。だが、彼女からは血の匂いがする。

「…お怪我していませんか」

「……」

「私に治療、させてもらえませんか」

「……頼む」

彼女は、傷を隠していた布を取った。

かなり深い傷だ、魔法だけでの治療は難しいだろう。

医療キットから消毒道具を取り出し、彼女の傷へ当てる。殺菌できたところに、ポーションを染み込ませた包帯を巻く。

「…治癒魔法、使わないのか」

「あれは応急手当です。深い傷を治すためには、医療キットを使用した治療が必要になります。」

「魔法だけで…いい…」

「魔法は便利ですが万能ではありません。あなたの傷では、数日後に傷が開いてしまいます。治癒ポーションでしっかり傷元から直してください。」

「…お前、フォレストエルフだよな。どうしてそんなに手厚く治療してくれるんだ。私なんか見捨てればいい。」

「怪我している者ならば、敵も味方も関係ありませんよ。」

「……そうか。皆、お前みたいならよかったんだがな」


そこからは話が続かなかった。

彼女の体は傷だらけで、どの傷も中途半端に回復した痕があった。おそらく、治癒魔法だけで乗り切っていたのだろう。だが、戦場で悠長に包帯を巻く暇はない。仕方のないことなのだろう。

「はい、これで終わりです。包帯は、ポーションが抜けて乾くまで剥がさないように。」

「……ありがとう。」

「私を殺さなくていいんですか?」

「恩を仇で返すような弱者じゃないさ。」

気づけばエンゲラも、先ほどまで睨みつけていたところが、今は耳を少し倒しているほどで警戒を解きつつある。

「お前、名はなんという。」

「セレスタです。」

「セレスタ…か、いい名前だな。私はミカリスだ。そこの馬は、なんというのだ。」

「この子はエンゲラです。」

「美しい毛並みの馬だ。これほど良い毛並みをしていて、先ほどは主人を守っていた。さぞ良い信頼関係が築けているのだろう。」


「…さて、もう用もない。お前と戦場で会わないことを祈っているよ。」

「どうか安静にしてくださいね。」

彼女は一礼し、洞窟から立ち去っていった。

「エンゲラ、さっきはありがとう。」

彼女にはまた、助けられてしまった。戦意がないダークエルフだったからよかったものの、彼女が殺されていた可能性がある。やはり彼女には逃げてもらうのが一番だろう。

「エンゲラ、やっぱりあなただけでも…」

言い終わる前に、彼女は私に頭を押し付けてきた。離れるつもりはないと、言っているように。

「…そうだね、一度決めたんだから、あなたの意思を尊重するべきだよね。」

彼女にはしばらく助けてもらうことになるが、彼女が嫌ではないというのならばそれに甘えよう。それが、信頼というものだろうから。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ