3話 遥か遠い希望
ここから少し行った遠方に、紛争を嫌ったフォレストエルフが逃げ込む集落ができているらしい。
似た考えを持つ者なら、力を貸してもらえるかもしれない。
往復のことを考えると、おそらく三日ほどかかるだろう。食料、医療キット、ポーションは多めに持って行こう。物資が尽きるなんてヘマ、エルフのいい笑い者だ。
皆紛争に赴いた集落は、伽藍としている。
「エンゲラ、今日はよろしく」
エンゲラ。これは彼女につけた名前だ。きっともっと素敵な名前を持っているだろうが、私は動物とは会話できない。動物語は苦手だ。私が長距離の移動をする際は、どこからか現れ手伝ってくれる、赤い毛並みの馬だ。
馬で移動しても半日かかる距離に集落はある。それほど、紛争が嫌だったのだろう。
ならば集落の人間よりも協力が見込めそうだ。
エンゲラに跨りしばらく移動した頃、彼女は河辺で立ち止まった。休憩だろう。私は静かに彼女の背から降りた。
いつか、この川までも血に染められてしまうのだろうか。いや、私があの争いをやめさせるのだ。
水を掬い、口に近づける。澄みきった、美しく清らかな水だ。この水のように、エルフたちの心も清らかになればいいのに。
エンゲラの顔が水面に映る。休憩は、もう終わったのだろうか。
「わかった、行こう。」
集落についた頃、日は完全に沈み肌寒い空気が木々の間を通り過ぎていた。
「セレスタ、いらっしゃい。」
集落長に迎えられ、宿屋へと足を運んだ。
エンゲラを馬小屋に預け、私はベッドに身を投げ出した。




