2話 わからない思い
今日は族長が集落に戻る日だ。説得するなら今日しかない。
「族長、いつまでこの争いを続けるのですか。」
「またお前か。ダークエルフどもを滅ぼすまでと言っているんだろう。」
「なぜ滅ぼさないといけないのですか、同じエルフではないのですか。」
「先祖がそう決めた。お前如きが口出しできる相手ではない。さっさと失せろ。」
先祖の考えは、本当に守るべきものなのだろうか。
エイジリア大紛争が起こる前の文献を、以前読んだことがある。かつてのフォレストエルフとダークエルフは手を取り合っていた。フォレストエルフは植物の栽培を得意とし、ダークエルフは狩りを得意とする民族。互いの得意は不得意だった。それらを補い、助け合っていた。
しかし、この関係はいつの日か崩れてしまったらしい。大紛争が始まった年、族長の代替わりが起こった年だ。ただ、この族長たちがかなりの問題児だったらしいのだ。
族長同士の中は劣悪で、互いを貶し合う言葉は民族間にも浸透し、ある日激しいぶつかり合いが起きた。その結果の大紛争だ。
現族長は、なぜ紛争を続けるのだろうか。私には理由がわからない。和解するという選択肢は、族長の中にはないのだろうか。
族長がダメなら、集落の者にも響かないかもしれない。いや、ネガティブになっている暇はない。誰かには響くかもしれない。
他集落のエルフに助力を願うのも手かもしれない。明日は少し遠出をしよう。




