9話 始まる出会い
あの出会いから何日が経っただろうか。彼女ならまた来る、そう思っていたけれどやはり敵対種には会いたくないのだろう。仕方ない、そろそろ引き時かな。
「エンゲラ。明日にはここを出たいんだけど、動ける?」
彼女は肯定するように首を振っていた。
荷物を整え、寝床も片付ける。
昔培ったサバイバル知識が役に立って良かった。
昔はよく森に出ては、雄大な自然を体で感じていた。そのまま森で一晩過ごすことも多かった。雨風を凌ぎ、身も隠せるこの洞窟には、よくお世話になったものだ。
その時出会ったのがエンゲラだった。彼女は足を負傷した状態で、洞窟にいた。かなり深い傷で、治療しなければ多量出血で死んでしまうだろうと思い、治療を行った。死期を悟っていたのか、すんなりと治療させてもらえた。そのお礼か、あの時からずっと私に協力してくれている。
「エンゲラ。私のそばにいてくれてありがとう。」
彼女は誇らしそうに鼻を鳴らしていた。
「今日は少しいいもの食べようか。」
乾燥食ばかり食べていて、みずみずしい果物が恋しくなっていたところだ。洞窟を出て、果物を探しに行こう。
この辺りに毒性のある果物は生えていなかったはずだ。充分な量が取れるだろう。
木には赤くまるまると実った果物、地面には多数の実が一つの果物として実った植物。ここは楽園だ。この自然を守るためにも、私は戦いを終わらせなければいけない。
他の者たちのためにも、なるべく高いところの実から取るようにしているが、私の身長では届かない。エンゲラに跨り、手を伸ばす。この実は生でも加工しても美味しい万能な木の実で、フォレストエルフは幼い頃からこの実をよく食べている。私たちの生活にはよく馴染んだ果物だ。
このくらいあれば充分であろう。
「エンゲラ、戻るよ」
彼女に合図する。エンゲラは了承したように足を動かした。
「ちょっと待ってくれないか。」
とても落ち着いた声だったが、その瞬間空気が凍りついた。
私が待っていた、求めていた者がそこにいる気がする。
「久しぶり、でいいのだろうか」
「……来てくれたんですね」




