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10-2 不安と焦りを押し込める

「はぁ~。楽しかったぁ~」


 私は剣を収め、軽く伸びをする。

 久しぶりに体を動かし続けたからか、朝のだるさはどこかに消えていた。


(自動防御魔法もようやく形になったし、体も動かしたし、今日は美味しく夜ごはんが食べられそうね)


 アザゼル兄さんが来てから、もう二週間。

 その間ずっと研究室にこもって自動防御魔法の調整ばかりしていたせいで、鍛錬はすっかりご無沙汰だった。

 でも昨日、ようやく狙いどおりに動くようになったから、今日は久しぶりに体を動かしていたわけだ。


(あとは強い魔物なんか出てきてくれれば最高だけどね~)


 気がつけば、森の中は真っ暗になっていて、私を魔物たちの元へ誘っているみたいだった。


(でも、今から魔物狩りをすると晩ごはんに遅れるわね)


 今すぐ戦いたい気持ちを抑えつつ片づけをしていると、水晶に通信が入る。


 相手はディースかルルカだろう。そう思って水晶を見ると、カーラの顔が映った。


「ノワエ、向日葵畑の近くの村に来なさい。以上」


 それだけ言うと、カーラは一方的に通信を切った。


 胸がざわつく。


 カーラは横暴で強引なところはあるけれど、ここまで余裕のない声を出すのは珍しい。

 焦って連絡を入れなければならないほどの緊急事態なのだろう。


 どんな状況かわからないが――私がたどり着いた時には、カーラはもう虫の息、なんてこともありうる。


 水晶をディースに繋げると、待っていましたと言わんばかりに、すぐに応答してくれる。


「どうかされましたか、ノワエ様」

「カーラから緊急の呼び出しがあったわ。今から行ってくる」

「承知いたしました。お気をつけて……」


 ディースは何も聞かずに受け入れてくれた。


「……」


 カーラの余裕のない声が頭から離れず、不安がじわじわと広がっていく。

 あのカーラがやられるなんて、ありえない。

 そう思い込もうとしても、まさかの光景ばかりが浮かんでくる。


 深呼吸して、こみ上げる不安と焦りを押し込める。


「……行くか」


 私は空間を繋ぎ、急いでカーラのもとへ向かった。


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