表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
32/44

8-5 友人と、お別れ

 翌日。

 お昼近い時間になってしまったが、これからケアを妖精の国に帰す。

 

「ケア、私の耳に手を当てて」

「はい」

 

 耳に、小さくて温かい手が触れる。緊張しているのか、わずかに震えていた。

 私は昨日と同じ要領で空間に切れ目を入れ、昨日探した場所へ意識を飛ばす。

 

 魔界のあらゆる物は魔力を宿しているから、上手くやれば頭の中に風景を映し出せる。

 その映像をケアへ共有し、住んでいた町を特定してもらう。

 

「どう、知っている場所はある?」

「うーん……。あ、ここです」

 

 三か所目の、規模としては一番小さい町だ。

 

「わかったわ。近い場所の空間を裂くと影響が出るかもしれないから、少し離して……。この辺りからなら帰れそう?」

「はい。ここならわかります」

 

 一寸先も見えないほど濃い霧に覆われた森の中だが、ケアは自信満々に答える。

 

「オッケー。じゃあここに繋げるわね」

「はい、お願いします」

 

 私はそのまま空間を裂き、妖精の町の近くへ繋げる。空間を越えた瞬間、ケアはふらりとしたが、気合で持ちこたえた。

 

「どう、ここからなら帰れる?」

「はい、バッチリです」

 

 先ほど映し出していた通り、ここは霧で右も左もわからない森だ。おそらく妖精だけがわかる魔力の流れがあるのだろう、ケアは自信満々だ。

 

「あ、そうだ。通信用の水晶を渡しておくわ。困ったことがあったら、これで私を呼び出しなさい。すぐに助けに来るから」

 

 昨晩、徹夜で作った親指大の水晶をケアに渡す。

 この水晶にはケアとの通信魔法などを書き込んである。


 水晶は小さければ小さいほどデリケートだ。小さいが故の緻密な作業と、襲い来る眠気のせいで、最終的に二十個以上の水晶が犠牲になった。

 

「使えるかどうか、一度試してみてくれる?」

 

 ケアが水晶を使うと、私が持ち歩いている水晶にケアの顔が映し出される。これで襲われた時に私が赴けば、最悪の事態には至らないはずだ。

 

「いざという時に使えないと困るから、月一ぐらいで連絡を頂戴。通信さえしてくれれば、故障状況がわかるようにしてあるわ」

「……ノワエさん、やはりすごい魔族なんですね」

「それなりに、ね。あと、私のすごさは秘密にしておいてね」

「わかりました。ノワエさん、何から何まで、本当にありがとうございます」

「また助けることがあったら、食事をよろしくね」

「はい、もちろんです! では、失礼します」

 

 そう言い残して、ケアが霧の中に消えていく。その姿はすぐに見えなくなった。

 

 私もついて行きたかったのだが、魔族がいきなり町に行けば警戒されるだろう。だから今回はついて行かない。

 

 二十分ほどすると、ケアが無事に着いたと連絡をくれた。

 

「あ~あ。もう少し食べたかったなぁ……」

 

 そんな愚痴をこぼしながら、探知魔法を使う。


 辺りに魔族や強い魔物の気配がないことを確認してから、私は館へと帰った。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ