混沌の意味は 仮説4
Powellはその会議室に提示された時間通りに着いた。その会議とは、今日の昼に起きた同時多発テロの対策会議であり、内閣の全員が招集された。扉を開けると、大統領や他のほとんどの大臣が円卓の席についていた。どうやら少し遅れてしまったらしい。
「Powell 座ってください。」大統領が言った。
「失礼します。大統領。」
私は椅子に座った。
「これで全員揃いましたかね。いや、一人足りない?Edenか…。いいです。会議を始めましょう。」大統領が言った。
全ての官僚が揃っており、私にとっては全員いる気がする。
「この閣議の議題は皆さんが知っている通りNew YorkとPentagon、そしてShanksvilleで起きた事故…いいえテロリズムのことです。」
少しざわめいた
まあ、私はこの不自然さからテロだとは勘付いていたが。
この事件でRumsfeldは大忙しだろう。なにせPentagonにも飛行機が落ちたのだから。
まあ私も大変なのは間違いないのだが。
この中の面子で大変ではない人物などいないだろう。
Martinezの計画が狂うのは確実だろうなと思った。
Cardは動揺するような様子を見せない。
まあ心の中は知らないが。
Riceは青い顔を見せている。大統領国家安全保障問題担当補佐官として外からの攻撃を未然に防げなかったからか。まあさすがに仕方ない…仕方なくはないな。
大統領も動揺しているように感じられる。
私は…そうだな、すごく動揺している。
「Card、現状の説明を。」
「わかりました。大統領。」
大統領首席補佐官であるCardが席を立つ。
「攻撃を受けたのはOne World Trade Centerおよび国防総省本部です。死者・行方不明者は今わかっている中でPentagonにおいて125人、One World Trade Centerにおいて1314人。One WorldTrade Center北棟に激突した飛行機に乗っていた乗客が143人…乗客は皆即死だと思われます。あと、Hudson Riverに墜落した飛行機の乗客は72人亡くなりました。ただこの飛行機においては生存者が多数存在します。奇跡だ。それに加え、Pennsylvania州Shanksvilleにおいて飛行機が墜落しました。乗客乗員あわせて44人全員が死亡。どれもUnited Airlinesの飛行機でした。」
Cardが淡々と伝える。
その時、
「ごめんなさい。遅れました。すいません。」
誰かが会議室に入ってくる。
サングラスをかけた女性…確か毎回の閣議にいるはずだ。いや、確か前大統領の時もいた気がする。銀髪のポニーテールで前は三つ編みリングにしていた気がする。顔かたちがとても整っており、ハリウッド女優にもこれほどの美しさの人物はあまりいないと思う。彼女の年齢は10代だろうか。名前は…知らない。
「Card、ありがとう。ではNixon君、ここからの説明をよろしく頼む。」
「ええ、わかりました。大統領。」
Nixon?Richard Nixonと何か関係があるのだろうか。
そこで思い出した。《大統領特別首席補佐官》のことを。確かRichard Nixon政権の時に作られた役職で機密情報として隠蔽されたため、誰がその役職に就いたのか誰も知らなかった。なるほど。つまり彼女は…。
「こんにちは。SCSPのEden Nixonです。初めましての人も多いかもしれません。」
「SCSP?それは都市伝説じゃ…。」
Fleischerが言った。
「Fleischerさん…ですよね。初めまして。もちろん都市伝説なんかじゃないですよ。現実です。」
Edenは笑みを絶やさない。不気味に思えてきた。
サングラスの中が見えないのも不気味に思える要因の一つだ。
「話がそれてしまいました。話を続けますね。」
エデンは話を続ける。
「これから、《対テロ戦争》についての説明を始めますね。」
「対テロ戦争?それは…どういうことですか?」
冷静を保っていたCardが初めて動揺を見せた。
「Cardさん…でしたか。ごめんなさい。言い忘れていました。」
彼女は一呼吸おくとにこやかに笑い、言った。
「私たち《アメリカ合衆国》はテロリスト…このテロの実行犯である《القاعده》を匿う国々に攻撃を仕掛けるんです。」
「ありえない。そんな軽はずみな…。」
統合参謀本部議長であるMyersが抗議した。
「《第34命令》。」
Edenが言うとMyersが、いやこの場にいる全員が静まった。
「よかった。静かになってくれて。じゃあ計画を説明しますね。」
誰も喋らない。東洋にはこんな言葉があるらしい。《空気を読む。》それに近いような雰囲気が漂っていた。
Rumsfeldが口を開いた。
「その《القاعده》という組織がテロを起こしたのは本当なのか?」
「本当じゃなくてもこれは戦争の『口実』です。《افغانستان》のطالبان政権を打倒するためのね。」
空気が何十度も冷えたような気がした。
誰かが言った。
「狂っている。」
「《第35命令》。」
Edenがキレたような声で言った。
「作戦内容ですが…政権をتوره بورهらへんに追い込みましょう。 聞いてますか?」
誰も話さない。
「もう。私はこういう作戦を考えるのは嫌いなんですよ。じゃあもういいです。誰か考えてくれませんか?誰でもいいです。とーにーかーく。これは決定ということでいいですね。」
誰も答えない。いや、答えられなかった。
「じゃあということで〜。解散!」
嵐のような彼女が過ぎ去ったあと、会議室はしんと静まっていた。
だが…たぶん全員同じことを思っていただろう。『戦争が始まる。』と。
大統領が小さく言った。
「彼女もまだまだだな。」
と。
《アメリカ合衆国》大統領…George Herbert Walker Bushは薄ら笑いを浮かべた。
だれもそれに気づかなかった。
殺す…死んだ。殺す…死んだ。
ああ、ああ、私は、私は、どうすれば、どうすればこの償いを、償いをできるのだろうか。
死にたいのに死ねない、死ねないのに死にたい。
なんで?なんで?なんで?なんで?
ただお金をもらって死んだように寝て人を殺してご飯食べてお金もらって…………………………
「何でなんでなんで何で?」
辛いな。
グチャと私が踏んだ場所で音がした。気持ち悪い。
なんで?なんで?なんでナイフが刺さらないの?なんでただ痛いだけなの?なんで電車にひかれても傷一つつかないの?それなのに何で心が壊れていくの?何で私は《壊れないもの》なの?教えてよ教えてよ………神様。
彼が紫禁城で言ってたっけ。60年代だ。何年だったかは覚えてない。彼は「君は…自分で生きられる。君は強いからね。大丈夫大丈夫。だから…もう泣くな。」
といった。彼も泣いていたのに。
彼が…今いてくれたら…何か言ってくれたのかな。
私は今日も殺しをする。
自分の証明をするために。
私が《壊れないもの》という証明を。
自分を嫌悪していきながら。
《壊れないもの》王娟は今日も世界とともにある。
第一反復は2001年を舞台にしているため、調査が2007年頃までしか遡ることができず、もしかしたら当時なかったはずの店や場所が出てくるかもしれません。
王娟は繁体のつもりですが繁体文字対応の機器で執筆していないがためにこうなっています。ご了承ください。
あとパシュト語がおかしくなってます。すみません。




