表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
The Chaos Effect  作者: Michael Lange
第三反復 2011年
30/31

第三反復 Louise Cézanneの失踪 仮説3

「密入国しませんか。」

「は?」

Gustavがそう告げたのはLouiseがいなくなって一週間が経った頃だった。

Gustavはカフェオレを私と自分に作りながら言った。

「《本部》のネットワークにアクセスしたところ、Potsdam(ポツダム)の監視カメラにLouiseが見つかりました。一応確認してください。」

そう言ってGustavはMacbookの画面をこちらに向ける。

「こちらは3日前に撮られた映像です。」

夜中の街の道を幼い女の子が歩いていく…

「はい。Louiseで間違いないです。」

私は泣きそうになっていた。こんなところに1人で……私だったら…耐えきれないだろう。

「さて。本部に相談したところ、この映像は見せるな、死体で発見されたと虚偽を言えと命令されました。今はただでさえ忙しい時期だからと。」

「は?」

ありえない。一介の捜査機関がそれでいいはずがない。

「それで先ほどの提案をしたわけです。《Deutschla(ドイツ)nd》に密入国しませんか?」

私は驚きをこらえて聞いた…

「それは…できるんですか?」

Gustavは即座に答える。

「難しいですが、可能です。」

「私は…」

私はどうすればいい?母は私たちの帰りを待っている。父は帰ってきていない…妹は…私のたった一人の……肉親…………

「密入国します。どうすればいいですか?」

Gustavはその言葉を待っていたかのように笑って言った。

「じゃあ…説明しますね。」

8月18日13時51分(Strasbourg(ストラスブール)時間)


Thalysは現在貨物用に運行されていて、《Deutschla(ドイツ)nd》〜《France(フランス)》間の人員輸送も行っています。これに乗り込みます。本当はチケットを取るのに身分証明が必要で、一部の《Hoffnung(未来) für die(への) Zukunft(希望)》関係者しか乗れないのですが、そこに密航しましょう。

そして《Deutschla(ドイツ)nd》に着いたら、その足でPotsdam(ポツダム)に行きましょう。話を聞いていけば所在がわかるはずです…English(英語)はできますか?English(英語)か《Deutschla(ドイツ)nd》語が使えないと会話が難航すると思います。

私も同行したほうがいいですか?

分かりました。

8月18日14時04分(Strasbourg(ストラスブール)時間)


Nouvelle() France(自由) libre(フランス)》の5回目の会合はBasilique du Sacr(サクレ・クール寺院)é-Cœurで行われた。

集まったのは複数名、観光客(国内からだが)に紛れている。

Paris(パリ)が陥落してから2ヶ月、彼らはParis(パリ)を奪還しようとしている。そこに1人、重要な人がいない。

その名は…Louis Leclerc

彼なしで会話が進められる。

この日、この後の運命を大きく変える結論が出された。

「8月23日ストライキを開始、夜間戦闘開始。」

終わりの始まりだ。

8月18日14時48分(Paris(パリ)時間)


Louis Leclercはその決定を聞いたのはその2時間後だった。

彼はCamden Townのあるマンションの一室に滞在していた。

「始まるのか。」

一言だけ言い、棚から一本の銃を取り出す。

栄誉の銃と呼ばれたそれは大昔兵士たちがNapoléon Bonaparteから贈呈された斧と銃が一体化した銃。

「これを使う日が来たか…。」

そうして彼はそこにいた部下に言った。

「3日後Paris(パリ)に行く。準備しろ。」

宣言した。

8月18日14時02分(London(ロンドン)時間)


そして当日。

Gustavと私はGare de(パリ)l'Est() de Paris()行きのTGVに乗り込んだ。

「大丈夫ですか?なんなら私が一人で行っても…」

「大丈夫。ただ…怖いだけ……もしLouiseが自分から居なくなったのだとしたら?もしLouiseが戻りたくないと言ったら?私はどうしたらいい?私は…」

「Ambre…考えないでください。そんな事考えていいことは全く無いです。」

「そう…だよね。そうだよ。うん。」

「はい!そうです!」

10分後…

「さっき買ったコーヒーいりますか?」

「もちろんほしい。」

「あとでお金払ってくださいね。」

「もちろんわかってるよ。」

「はあ。何ユーロだったっけ?」

「一応10ユーロ…」

「そんなにいらないです!」

8月23日15時36分(Strasbourg(ストラスブール)時間)


「ふう。」

何もかもが愛おしい。

「はあ。」

何もかもが狂おしい。

「ふう。」

何もかもが煩わしい。

世界はまだ生きている。

「必ず…この手で…」

終わらせてみせる。

「何を?…」

未来を?

いや違う。

「世界を。」

目の前に40代くらいの男が現れる。

「なぁお嬢ちゃん。こんなとこで何やって………」

その男は吹き飛ばされ倒れる。

「はあ。」

何もかもが愛おしい。

8月23日15時40分(Paris(パリ)時間)


Louis LeclercはParis(パリ)にある《隠れ家》に潜伏していた。

Louis Leclercは《France(フランス)》の軍服を着ており、胸にはロレーヌ十字のバッヂが光っている。

彼は本を読んでいた。

ゆっくりとした時間が流れていく。まるで戦争中とは思えない。

そのとき、その部屋に部下の一人であるGaspard Cahorsが飛び込んで来てこう告げる。

「戦闘が…開始しました。」

Louis Leclercは本を閉じ、壁にかかっている斧銃を取った。

そして一言。

「やっとか。」

8月23日15時49分(Paris(パリ)時間)


AmbreとGustavはGare de(パリ)l'Est() de Paris()に到着した。何か不穏な空気が流れており、人はまばらだ。

「何か…変じゃない?」

改札を出て、アーチ状の屋根のある広場に出る。

「人が少ないですね。」

「もしかして…ストライキ中?」

「TGVは動いていたのに…ですか?」

「わかんないね。」

「わかりませんね。」

そのとき、遠くで銃の音がした。

「銃声!?」

「早くGare(パリ) du Nord(北駅)に行きましょう。何かあったんだと思います。」

GustavはAmbreの手を引く。

ロータリーを出てRue du 8 mai 1945を走っていく。

その中でAmbreはあり得ないものを見た。

「Louise?」

Louiseのような背丈をした少女が向かいの道を通っていく。

「Gustav!Louiseがいた!」

「へ?Louiseは《Deutschla(ドイツ)nd》では?」

「追ってもいい?」

「もちろんです。追いましょう!」

彼らは道をそれてBoulevard de Strasbourgを通っていく。

Louiseを追いかける。

「Louise!!」

呼びかけるがLouiseは答えない。

彼らは走ってLouiseに追いついた。

AmbreはLouiseの肩に手を乗せる。

Louiseの肩は不思議な感触だった。まるで弾かれているような…。

Louiseが生気のない顔で振り向いた。

「Louise?」

「お…おねぇちゃ…ん?おねえちゃ…おねえちゃん?????」

Louiseは泣き出した。

「どうしたの。Louise。なんでいなくなったりなんか…」

「逃げて。逃げて!!アイツが来る。アイツが…」

「アイツって誰?」

「Andreas…Clemmen。アイツを…殺して。」

その名前は最も愚かな人物だった。

「え?なんで?なんで?」

「アイツが…来る。」

そう言い残してLouiseは走っていく。

「Louise!待って!」

AmbreはLouiseを追いかけようとしたがGustavに呼び止められる。

「Ambre!後ろ!」

「お姉ちゃん。逃げて!」

Ambreはそれに気づき、間一髪で後ろから来た何かを避ける。

それはAmbreの横を通過し、Louiseに当たり、爆発した。

Ambreは唖然とした。

「ロケット…ランチャー?」

炎は燃え広がっていく。

「Ambre…逃げますよ。」

Gustavが私の手を引く。

「Louise…Louise…Louiseが…」

「逃げますよ!」

GustavがAmbreを引きずっていく。

二人はなんとかRue du 8 mai 1945まで戻ってきた。

「大丈夫ですか?」

そこにいた軽装備の兵士(?)のような人が尋ねた。

そこにはそのような人が多くいた。戦争が始まるのか…

私はとっさに「大丈夫です。」と答える。

私は立ち上がり、Gustavにこう告げた。

「もう大丈夫…大丈夫だから。」

「いいです。一緒に行きましょう…Berlin(ベルリン)に。」

「もういい。今までありがとう。」

「ここまで一緒に来たじゃないですか。」

「TGVが運休する前に行って!これは…私が一人で終わらせなきゃいけないものだから…」

「………分かりました……死なないでくださいね。」

「もちろん…ありがとう。」

そこで二人は別れた。

8月23日16時37分(Paris(パリ)時間)


第三反復は2011年を舞台にしているため、もしかしたら当時なかったはずの店や場所が出てくるかもしれません。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ