ある“Family” 仮説5 過去の栄光 仮説3 Stockbridgeの騒乱 仮説4 非日常と日常の境目 仮説3
Arby Glenwoodは学校の食堂で一人、昼食をとっていた。
今はランチタイム。
彼が通っている高校であるPatrick Henry Adult Educationはたぶん誰もが思い描く普通の《U.S.》の高校である。
ただ何か問題があるとしたらSan DiegoのThe Cleveland Elementary School銃撃事件の容疑者が通っていた学校が同じ名前のPatrick Henry高校だったことからあらぬ誤解を生んでしまうことだろうか。
いや、もうそれはないか。だってあれは1979年のことだから。
話を戻そう。Arbyは友人を待っていたのだ。決してひとりぼっちというわけではない。
「よお。Arby。」
そこに現れる一人の人物。昔サザンライブオークの木の下で一つの誓いをした7人の一人である、Alto Brookhavenだ。
彼は細身の黒人でそのスタイルの良さが羨ましがられている…らしい。髪型はアシンメトリーで右側を剃っているかわりに左側の髪の毛が伸びている。
その他…普通。
「あれ?Clydeは?」
「Clyde?知らないな。一緒に来てないぞ。」
「そっか。そういえばおはよう。」
「早くねぇけどおはよう。」
Altoと僕は違うクラスだ。まあ、違うクラスで関わりがないかと言えばそういうこともない。たまに他クラス合同で音楽祭を開催したり、高学年の行事だが、ダンスパーティーなどもあった気がする。
「よっ!」
Clydeが来た。
「午後授業って辛いな。眠い。」
「そんなんじゃ先生に嫌われるよ。」
Clydeも違うクラスだ。
「ああ。まあそうなるかもな。」
「えっと…そっちの担任って誰だっけ?」
「Albanyだよ。Maria Albany.」
「ああ。あの《肥満ウサギ》のMariaだな。」
Altoが言いのける。
「それ1年の時のニックネームじゃなかったっけ?よく覚えてるね。」
「だって俺がつけたもんな。」
「そうだったか?確かSteveあたりだと思ってたんだけどな。」
Clydeが言うSteveとはSteve Athensといい、まあ言ってしまえばチンピラだ。そのうえバスケではGeorgia州1位のチームのエースだというなんというかすごい人物だ。
「Steveは広めただけだぞ。」
「そうだったのか。」
Sydneyは…来ない。AmyはAva Christineとかと一緒に昼食を食べているし、Patriciaはたぶん教室で一人黙々と勉強をしているだろう。彼女はガリ勉だから。
彼女はランチタイムが終わっても来なかった。
午後1時30分
ワタシはそこにいたのが何か分からなかった。
バプテスト教会の近く。正確に言えばFirst Baptist Church-Stockbridgeなのだが、それは置いといて。
その《もの》は天使のようにも見えるし、コスプレをした人のようにも見える。背中から大きな羽が生えている。
《それ》は言った。
「ねえ。あなた、ここがどこか知らないかしら。」
彼女は近くにある高校を指さしていた。Patrick Henry Adult Education。
「どうしてですか?」
ワタシは彼女に聞いた。もしかしたら不審者かもしれない。
彼女は言った。
「私はね。地図の解読がうまくできないのよ。」
「そうじゃなくて、なぜ行きたいんですか?」
「なぜって…。行くべきだからよ。」
ワタシは彼女が言っている意味がよくわからなかった。でもこれだけは分かる。何かおかしい。
「無理です。教えることはできません。」
「あら、そう。じゃ、違う人に聞くわ。」
彼女は去っていった。
その直後、消防車が近くに見えた。
近くの野次馬に話を聞いてみる。
「ああ。山火事だってよ。まったく。」
だという。
なるほど。
「それと追加で州兵も別件で来てるらしいぜ。物騒だな。」
「ありがとう。」
「My pleasure.」
何が起こっているんだろう。
「それよりもさ、お嬢さん。」
「はい?」
「そのリボンいいね。」
そうだった。いい年してリボン着け…リボン?リボンなんて着けていただろうか。それも特大サイズの。まさか…あいつが?
午後1時49分
《復活の天使》は20代後半の女性に道を聞くのを諦めた。そして代わりに大きなリボンをつけてやった。
彼女はStephens Avenueを北に進み、拠点にしている民家の鍵を開けて入った。
「よっ!」
こいつ誰だ?
顔は東洋人風だ。ベルトには銃…Desert Eagleだろう…が1本入っている。その他は…普通か。
「私を知らないとはいい度胸だね!《復活の天使》!」
「本当に誰なの?」
「本当に知らなかったとは驚いたよ!私は《壊れないもの》っていうんだ!よろしくね!」
「あらそう。」
私は内心この少女(15歳くらいに見えた。)に恐怖を抱いていた。
確か《壊れない|もの》《One》は去年、《U.S.》政府の《対テロ|戦争》《Terror》の一環で政府が受注したところ、《Nigeria》のテロ組織であるWilayat Garb Ifrīqīāを一人で壊滅させたという噂がある。その他にも怪物的な噂が後を絶たない。まさかちょっぴり赤な少女だったなんて。
「どうしたの!なにか考え込んでいるね!」
無駄にテンションが高い。仲良くはなれそうにない。
こいつ、本物か?
「何か疑っているね!大丈夫だよ!私は|《等しい昼と夜》《equinox》に呼ばれたからね!君たちのリーダーでしょ!」
ああ、そうだ。|《等しい昼と夜》《equinox》はこの作戦のリーダーだ。
「安心して!私は君たちの味方だよ!」
「あっそ。」
「何だい!何かまだ疑っているね!まあいいさ!作戦会議をしよう!」
「16:00行動開始ってことだけよ。それしかない。作戦?笑わせるわね。私はあなたをまだ信用できない。」
「君は今日標的に確実に殺されるよ!」
「あなた、不快よ。」
「君は死ぬ。」
いままで《壊れない|もの》《One》の陽気な口調が厳かになる。
「うん。死ぬよ。分かる。私は分かるんだ。君は午前中に一度死にかけた。《יִשְׂרָאֵל》の|《גיבור》《勇者》が遣わしたんだろう。その彼に殺されかけた。君を殺しかけて殺さなかった彼の名前は《崩雷》Kebadioso。詳しい名前はよく分からなかった。たぶん君と同じ転移者だね。」
「あら、そう。」
「これだけ伝えたかったんだ!じゃあまたどこかで会えたら!」
そう言って彼女はどこかに行ってしまった。
私はため息をつき部屋を見渡すと食卓の上に置き手紙があった。差出人は…。
頭が凍りつく。
まさかと思った。
|《調速機制御》《Governor》。
宛名は、|《等しい昼と夜》。《equinox》
そこにちょうど|《等しい昼と夜》《equinox》が現れる。
「こんにちは。《復活の天使》。」
「あら、こんにちは。」
「元気そう。よかった。」
「ええ、元気よ。さっき《壊れない|もの》《One》と名乗る輩が来ていたわ。」
「来てた?そうなんだ。」
「いったい誰なのかしらね。あの偽物、私が必ず死ぬとか言い放ったのよ。いい度胸じゃない?」
「その子、本物だよ。」
思考が、止まった。
「は?」
「私が、呼んだ。」
「あら、そう。」
「うん、そう。」
沈黙。
午後2時2分
Hi Equinox.
It's not your turn yet.
Wait until the right opportunity arises before taking action.
And by the way, be careful not to start a fire.
Governor
|《等しい昼と夜》《equinox》はその手紙を炙った。
そうすると別の文面が登場する。そこにあったのは…?
午後2時16分
《崩雷》は森を歩き回る。
先ほどの|《眼》《ዓይን》をどうにかして無力化しなければならない。|《眼》《ዓይን》は他のドラゴン類と同じく人に慣れない種だ。だとしたら人為的なものとは考えにくいだろう。あるとすれば何者かが放ったか。もしくはどこかから逃げ出したか。羽が退化して申し訳程度にしかないため飛来したとは考えにくいだろう。
もしかしたらこの近くに《闇市》があるのかもしれない。
そこに誰かが現れる。
「こんにちは。いい天気。」
「誰だ?」
「私?|《等しい昼と夜》《equinox》。降伏したほうがいい。」
「いいや、降伏はしない。」
「なら。命はない。」
|《等しい昼と夜》《equinox》と名乗る人物は首に掛けている笛を吹きはじめる。ラの音。
「クソッ。」
この音には見覚えがある。《ワイルドハントの角笛》。しかしなぜ?あれはSouth Dakotaに保管されているはずなのに。考えている暇はない。|《眼》《ዓይን》が来る。
低い唸り声。ペンギンの声にライオンの咆哮を合わせたような音だ。
|《眼》《ዓይን》は後ろに立っていた。
気づかなかった。炎は纏っていない。爬虫類的な鱗がついた皮膚で、詳しい人物ならこう断定するだろう。マニラプトル類。もし炎を纏わられたらこの距離だと確実に溶かされるだろう。
「ねえ。」
|《等しい昼と夜》《equinox》と名乗る少女はこう告げる。
「これでもまだ。降伏しない?」
答えは無難だ。
「ああ。降伏しない。」
長髪の黒髪男と爬虫類(+ダサい少女)の戦闘が始まる。
午後2時31分
《Arie》Claire Dunwoodyは拠点にしている民家に入った。
彼は冷蔵庫にスーパーマーケットで買ってきたコークを入れるとミネラルウォーターを取り出し、棚から取り出したグラスに注ぐ。そこでソファで誰かが寝ているのに気づいた。
「やあ。久しぶり。《雷狼》。」
《雷狼》はその声で起きたようだ。目をこすってから話し始める。
「オマエ…《Arie》か。オマエもこの作戦に…」
「関わってるよ。」
「だろォな。ここにいることがその証明だ。」
「ああ。そうだ。」
「そういえば、ワイン冷やしてたんだったなァ。飲むか?」
「仕事前なのに?」
「仕事前だからこそだ。」
「乗った。」
午後2時42分
ArbyとAltoとClydeは今日の授業が終わり、下校していた。クラブの活動は今日は休みだ。
「でさでさ、Hamiltonがメインストリート沿いの歩道でCarolineとキスしてるとこ見ちゃったんだよね」
「まじで?CarolineってHamiltonのこと嫌いって言ってたはずじゃ?」
「どうどう。その話加わってもいい感じかなかな?」
誰か割り込んできた。Ava Kristin.Arbyたちが通っている学校で一番の美人と呼ばれる人物。まあ、それは分からないにしても彼女のファッションのセンスがいいことは周知の事実だ。
彼女はその丸メガネを押し上げると
「ダメダメ。かなかな?」
と確認した。
この人物に話しかけられるとどうしてもOKと言ってしまいたくなる。
Altoが口を開いた。
「そっちも何か話題を提示してくれたらな。」
「いいよ〜。とびっきりのをプレゼントしてあげるげる。」
彼女は一呼吸おくと、
「Sydney Augustaには遠距離恋愛してる彼氏がNantucketにいますます!」
そこにいた全員が凍りついた。
「「「まじで?」」」
Avaはドヤ顔をキメると言った。
「まじのロンですです。」
午後3時14分
第一反復は2010年を舞台にしているため、もしかしたら当時なかったはずの店や場所が出てくるかもしれません。




