ある“Family” 仮説4 過去の栄光 仮説2 Stockbridgeの騒乱 仮説3 非日常と日常の境目 仮説2
着いたな。戦場へ。
《雷狼》はそう感じた。
彼はパークアンドライドを使用しxpressと書いてある得体のしれない建物の前のバス停に立っていた。
「そんでこっからどう行けばいいんだァ?」
“彼女”から支給されたのはターゲットの名前と顔が載った紙ッペラのみ。
「どう考えてもこれ準備不足だよな。」
《雷狼》はため息をつく。
「まぁいいか。どうせすぐ見つかるだろ。」
少し考えてから彼はメインストリートの方角へ向かった。
午前11時1分
水の音が聞こえる。
「痛いよぉ〜。」
「うん。そうだろうね。わかるよ。まず流水で洗い流すんだ。そうそう。そんな感じ。」
Tesifaがやけどをしたらしい。
それでGrayが駆り出されている。
「何やってんの?」
「あぁ~。Chrisぅ〜。痛いよぉ〜。」
「がんば。」
「えぇ〜ん。」
Tesifaが泣いてしまった。
昼食の準備は捗らない。
午前11時14分
「よォ。」
その金髪と黒髪が混ざった長髪の同業者は私にコンタクトを取ってきた。
「話し合おうぜ。交渉だ。交渉。」
「なにを交渉する必要が?」
そうは言いつつも私も交渉が必要だと考えていたため、近くにあったMrs. Winner's Chicken & Biscuitsに入る。
その同業者は店に入るやフライドチキンを3ピース注文した。
「仕事の前なのにずいぶん食べるのね。」
「これくらい食べないと充分に動けないからなァ。」
「うーん。もちろんあなたのおごりよね。あなたがはらってくれるのよね。」
「は?そんなわ…」
「シナモンロールを一つくださいな。」
「ちょっ。」
「はい!かしこまりました!」
店員は同業者が話そうとすることを聞かずにシナモンロールを準備し始める。
「あなた…私よりも弱いでしょ?」
「くそっ。」
「お待たせ致しました!」
無駄に元気のいい店員が無駄にでかい声で私たちに呼びかける。おいしそうなフライドチキンとシナモンロールの匂いがする。
「どうも。」
同業者は何も言わない。
昼頃だからか混んでいる店内で席を見つけ、二人は座った。
「で?」
私はチキンを頬張っている同業者に話しかける。
「交渉って何すんのよ。同業者。」
「オレの名前は同業者じゃねェぞ。俺の名前は…《雷狼》と呼べ。」
「あぁ~。分かった分かった《雷狼》ね。りょーかいりょーかい。」
「・・・。」
「で?交渉って?」
「オマエ、何ランクだ?」
「A。」
「オレはBだ。」
「やっぱり雑魚ね。」
「・・・。」
「それで?」
「オレには目標の暗殺は無理だな。」
「あら、そう。」
「だからオレは目標の関係者を殺す。だからオマエは目標を殺せ。」
同業者が話し終えると私は彼に向かって言った。
「あなたってさ…」
「なんだァ?」
「小物感あるわよね。」
「・・・。」
「へえ。黙るんだ。勉強になったわ。ありがとう。」
「・・・。」
「じゃあ私行くから。」
そう言って私は立ち去った。
同業者の「オイ!情報交換しねェのか?」と叫ぶ声が聞こえた気がした。
情報なんて持ってるはずねぇだろカスが。身の程わきまえろ。
午前11時32分
「はぁ。」
「どうしたんだい?Chris。」
Grayが話しかけてくる。
「なんでTesifaのかわりに料理してんだろうって思って。」
「そうだね。だけど言い出したのは君だろう。私はいい行動だと思ったよ。」
「そっか。」
ChrisとGrayは昼食の準備をしている。
「ありがと~。」
Tesifaはソファでやけどした場所に氷を当てて冷やしている。
「・・・嫌な予感がする。」
「そうかい?」
「なんとなく。」
そうChrisが言い終える前に、
「ギャーゴキブリ〜。」
Tesifaが叫んだ。
「クソッ。」
Chrisはつぶやいていた。
午前11時45分
『あぁ。イイぜ。問題ねェ。』
電話での彼はそう言っていた。
「そう。ありがとう。」
私は電話を切る。
そして違う人物に電話をかける。もちろん殺し屋だがこの任務の関係者ではない。
「こんにちは。《壊れないもの》。」
「おっはよ~元気〜?調子どう〜?」
「悪くない。」
「そっかそっか~。よかった~!」
「それで。なぜ電話したか。というと。」
「分かってるよ〜。だから今私はAtlantaにいるよ〜。」
「話が早くてよかった。相談の結果。行動開始は16:00。早く来て。」
「おっけおっけ〜!」
電話が切れた。
「そうね。」
彼女はポツリとつぶやく。
「殺してやる。」
彼女を助けようとしたすべての人々を。
午前12時01分
Claire DunwoodyはxPressと書かれた変な建物の前で佇んでいた。
「僕は…何がしたいんだろうな。」
自分が笑えてしまう。人を殺した。罪も何もない人を。
そこに現れる人影。
「こんにちは。」
奇妙な姿をした女だった。彼女はアリエルが描かれたTシャツを着ていたが、それを首から胸の上のところまで引き裂いていて、胸の下からの部分を結んでいるためおへそが見えている。
そして何より奇妙なのは、彼女の真っ黒なマーメイドスカートの太ももの部分の繊維が透けるような素材でできており、膝下のひだがまるで浮いているかのような錯覚を起こしてしまう。その上、Columbiaのキャップをかぶっていることや、ベルトを付けていて、そこに拳銃を差し込んでいる、変な形の笛を首から下げている姿も奇妙に覚えてしまう。
「時間がない。説明する。」
彼女がCharles Arringtonなのだろうか。
その考えを彼は頭の中で否定した。
Charles Arringtonには一度会ったことがある。たしかスナイパーライフルを使うときに照準を合わせるときに使う眼帯を常時つけていたはずだ。噂だが。それにベルトには拳銃ではなく西洋剣を差し込んでいるはず。確か名前は…Curtain。そこから彼女がU.K.でとても高い位についているのではないかと噂されている。Charlesはとても多くの名前を持ち、多くの役職を持つ。そして、そこから多く呼ばれる呼び名は|《調速機制御》《Governor》。だから、彼女は違う。だとしたら何だ?
その答えは彼女の次の発言でわかった。
「私はあなたの協力者。|《調速機制御》《Governor》に頼まれてきた。」
「それで、何の用だ?」
「近くにいたから。話そうと思って。」
「それに何の意味が?」
「16:00まで時間がある。16:00に行動開始。」
「なるほど。それで?」
「加わって。私は|《等しい昼と夜》《equinox》。あなたは?」
「僕は…《Arie》Claire Dunwoodyだ。よろしく。」
「そう。じゃあ16:00にね。」
「ああ。分かった。」
その少女は静かに立ち去っていった。
午前12時26分
「でき…た。」
「よく頑張った〜偉いぞ〜Chrisぅ〜。」
私はその顔がいいだけのクソ野郎をそこら辺にあったペットボトルで勢いよく叩く。
「痛つッ。何すんの?」
私はそれに応えず外を見る。そして気づいた。
「煙?」
「うん?本当だ。」
いつしかGrayも会話に入ってきていた。彼は眼鏡をかけると言った。
「普通のボヤ…では無さそうだね。山火事かもしれない。」
「な〜にやってんだ?」
Carmillaが上から降りてくる。ご飯を食べに来たのかもしれない。
「大丈夫そうかな?」
「大丈夫さ。ここからは遠いからね。」
そのGrayの言葉に私は安心した。
その直後、消防車のサイレンが聞こえた気がした。
午前12時42分
第一反復は2010年を舞台にしているため、もしかしたら当時なかったはずの店や場所が出てくるかもしれません。




