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第3話『火力と無課金と仮面と』
“完璧な令嬢”という仮面の裏に、少女は何を隠しているのか。
紗雪の素顔に迫ります。
「リアルじゃ、お嬢様なんだろ?」
ケンジの問いに、紗雪は一瞬、息を呑んだ。
「……ええ、まあ。九重家の、娘だから」
「でも、今のアンタ、めっちゃ楽しそうだぜ?」
仮想世界では、自分で選べる。
装備も、言葉も、振る舞いも。
けれど、現実ではそうはいかない。
望まれた「完璧な令嬢」を、演じるしかなかった。
ふと、真観が呟く。
「仮面とは、己を守るものでもある。だが、仮面に呑まれてはならん」
「……あんたら、どこまで人の心を読んで……」
だが、ふたりと一緒にいると、息がしやすい。
妖刀で暴れて、仏僧に説教され、課金厨にツッコまれる日々。
「たまには……素のままでも、いいのかもね」
彼女の中で、何かが少しだけ、変わり始めていた。
現実と仮想、どちらが“本当の自分”?
紗雪の心が少しずつ動き始めます。




