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全然マシだった。

まずは村に戻り村人に話を聞く。

ひとしきり雨がやんだ件を感謝されたがそんなことはもうどうでも良い。

「あの勇者登録ってどうしたら・・・?」

「登録・・・?」

「えぇ勇者ポイントがもらえてランキングが付くやつなんだけど・・・」

「なんじゃそれ?わしは知らんぞ。知ってるやつおるか?」

村人はことごとく首を振る。

誰も何も知らないようだ。

「あーそういう都会的なのは都会で聞いたほうがいい。この先北に行くとドルドレイ地区の城下町がある聞いたらなにかわかるんじゃないか」

ということなので早速北へ移動することにした。


城下町・・・人が多い。

やたら人が多い。

町の人に勇者登録について聞くとすぐにわかった。

どうやらこの先に登録所なるものがあるようなのでそこへ行く。

「登録?今更?」

小さな小屋の店先のカウンターでしょぼくれた親父がうんざりした感じで座っている。

「もう勇者の登録者多すぎて今更登録しても何にもならんよ」

「どういうこと?登録できないの?」

「いや出来るよ出来るけどもう10万人近いやつらが登録してんだ。今更登録しても勇者としてどうにかなるわけないだろ、勇者なんかやめてまっとうに働けってんだよ」

「いや・・・それでも登録したいんだけど・・・」

「おまえろくな死に方しないぞ」

もう1回ろくじゃない死に方してるんだが・・・。

「まあ好きにしたらいい・・・」

なんやかんやで登録を進めてもらった。

「・・・ん?登録不可・・・?」

「いま登録申請を本部に転送したら拒否されたぞ。お前なんかしたんか?」

「いや・・・なにも・・・」

「おっかしいな・・・転移してきた奴なら普通なんの審査もなく登録出来るんだが・・・」

「あの・・・どうしたら・・・」

「こりゃ・・・うちみたいな小さな登録所じゃわからな・・・ここから東に行ったところにこの地区の中央支部があるからそこに行ってくれ、うちじゃ無理だ」

まずい・・・魔族側から転移してるから・・・だろうか・・・。

だとしたらこれ以上関わるとろくなことがない気がする。

足早にその場を立ち去る。

中央支部には行けない。

なんかこのあたりからは早く立ち去ったほうがいい気がする。

そんな気がした。

村を抜け道を進む。

特に行く当てはない。

ただなんかやばい気がする・・・それだけが俺の足を動かした。

どれぐらい歩いただろうか・・・夢中だったのでよくわからない。

ただ今その歩みは止まった。

なぜなら目の前に人が立ちはだかっていた。

ピンクの鎧を着た勇者。

道の真ん中に立ち明らかに俺の進路をふさいでいるように見える。

しかし今は本当に誰ともかかわりたくない。

そっと何食わぬ顔で横を通り抜けようとする。

ガッ!!

首根っこをつかまれ止められた。

「なっなに?」

「なに・・・?ってわかってるわよね・・・魔族の勇者君・・・」

ギクッ・・・。

血の気が一気に引いていく。

知ってる・・・こいつは俺の正体を知っている・・・?

まずい・・・とっさに剣を抜き切りかかろうとする・・・が動けない。

そのまま地面に倒れこむ。

体が縛られてる。

ピンクのひも状のもので体が縛られていた。

いつの間に・・・必死にもがくも全然動けない。

「無駄よ1回絡みついたらそう簡単には解けないわよ」

「なんなんだ?何のためにこんな・・・?」

「何のために?決まってるじゃない?あなたが魔族の勇者だからよ・・・しかも改造済みの・・・」

バレてる完全バレてる・・・。

「なんで・・・?」

「それはね・・・」

ピンクの勇者はそう言いながら鎧兜を脱ぐ。

金髪・・・長い金髪の髪が風になびく。

その顔は・・・美人・・・とっても美人ではある・・・がきつそうな感じがしてちょっと苦手なタイプかもしれない。

「あなたさっき登録拒否されてたわよね」

顔を近づけ問いかけてくる。

女性にこんなに近づかれるとちょっと意識してしまう・・・というか鼻息がちょっと荒くなる。

「かわいいわね・・照れてるの?」

そう言うと俺の顎を人差し指でなぞる。

そしてその指はそのまま首筋へ・・・なんかとってもドキドキする・・・。

「うぐッ!!!うごぉっ!」

その指は俺の喉を突き刺した。

激しい痛み。

「大丈夫よ。あなたはこの程度じゃ死なないわ・・・どうせすぐに回復する・・・人間じゃないんだから・・・」

「なんで・・・」

「なんで?しつけよしつけ・・・私に逆らわないためのしつけ・・・」

「しつけ・・・?なにを・・・」

「バラされたくないし捕まりたくないわよね。あなた次第では登録拒否されていた件もみ消してあげてもいいのよ」

「どういうことだ?」

「話を聞く気になった?そう・・・そういう素直なのは嫌いじゃないわ」

「素直も何もこの状況で拒否権なんかあるのかよ」

「よくわかってるわね。単刀直入に言うわ。私に協力しなさいそうすればあなたの正体は秘密にしてあげるわよ」

「協力?何を」

「勇者ランキングの事は知っているわよね」

「なんとなくは・・・」

「私はね・・・1位になりたいの魔王を討伐するまでに1位になりたいのよ」

「1位になったらなんだってんだよどいつもこいつも・・・」

「すべてよ!この世界のすべてを手に入れることが出来るわ・・・そのために私は戦っているしこのエリアの支部長にまで上り詰めたのよ」

「十分じゃないか」

「十分じゃないわ全然足りない・・・いまだランキングは103位・・・100位以内にすら入っていない・・・力よ!力がもっと必要なのよ。それがどんなに汚らわしいものだとしても構わない。勝つことが最優先よ」

汚らわしい・・・さらっとディスられた気がするが・・・。

「魔族を殺して殺して殺して殺しまくるのよ!そうそれがあなたがこの世界で生き残る唯一の道・・・拒否したら殺すだけよ」

やばい・・・完全にやばい奴に捕まった。

・・・マリアの勇者ポイント稼ぎに付き合っていたほうが全然マシだった。

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