死んでしまうとは・・・
「おお勇者リオンよ死んでしまうとは情けない」
死んだ?そうか俺は死んだのか・・・死んだ挙句に情けない呼ばわりされるとはずいぶんな言われようだ。
目を開けるとなんだかおどろおどろしい不気味なベットの上に手足を固定され寝かされていた。
「気が付いたようね」
カリエステルが近づきそっと俺の体に触れた。
触れられて気が付いたが裸だ。
完全に裸にされている。
恥ずかしい・・・のとそんなに触られると感じてしまう・
心臓の音が大きくなっていくのを感じる。
「ふふ・・・かわいいわね・・・でももっともっともっとかわいくて素敵な体にしてあげるわよ」
「もっとかわいく・・・って?」
「さあドクター改造を開始してちょうだい!」
カリエステルの後ろからいかにも博士っぽい何かが出てきた。
「まずは蘇生が完了したからなこれから改造だ」
「まってまって蘇生だけで充分なんだけど!!改造とかいらないし」
「何を言うか今のお前では勇者に全く歯が立たなかったではないか?今からあんな勇者ども簡単に蹴散らせるぐらいにパワーアップしてやるんじゃ感謝せい!」
「そうよ感謝なさい。さあ始めてちょうだい」
「やっやめろ・・・」
急に意識が遠のき目の前が真っ暗になっていく。
「さあおやすみなさい・・・目覚めたときはあなたは最高の生物に生まれ変わっているから・・・」
気が付くとまだ不気味なベットの上にいた。
拘束はされてない。
慌てて飛び起きて身体を確認する。
・・・何も変わってない・・・ように見えたけど腰の位置、変なベルトが付いている。
外そうとしてみたけど全然外れない。
「無駄じゃよそれは絶対に外れない」
「えっ?嫌なんだけど恥ずかしいし」
「変とはなんじゃわしの最高傑作だぞ」
「そうよ。それにそれはあなたの心臓・・・それを外したら死ぬわよ」
えっ?心臓?
「むき出しなんだけど・・・」
「仕方がない・・・心臓をしまう隙間が無かったんじゃ」
「危なくない?」
「あぁ危ないから注意して生活するんじゃ衝撃とか食らうと止まっちまうからな」
「そんな弱点むき出しなんて最弱じゃん」
「だーいじょぶじゃ、だーいじょぶじゃ変身したら隠れるから」
「変身?」
「おぉそうじゃ変身じゃ、かっこいいぞぉ右手を天に掲げ叫ぶんじゃ【変身】っと」
「・・・あんまり大きな声出したくないんだけど・・・」
「わがまま言うな!変身と大声はセットじゃ」
セットと言われても・・・。
「さあ右手を上げて叫びなさい!」
なんだなんだなんだ俺の意思は完全に無視か・・・。
しぶしぶ右手を上げる。
「・・・へんしん・・・」
「声が小さい!!」
くそっ声出したくないって言ってるのに!!
「変身!!!!」
ギュゥィィィィン!!!
急にお腹のベルトがうなりだした。
「なになになに?なんなんこれ?」
恥ずかしさが倍増だよ。
なんか急にお腹のベルトが熱くなる。
その熱さがどんどん全身に伝わっていく。
体中が熱い!!
「おぉぉぉぉ!!!!」
熱さが治まり自分の体を確認する。
漆黒・・・全身が漆黒になった。
うろこ状でありトゲトゲしい感じでもある。
鋭い牙が生え悪魔的な顔になる・・・全体的に悪い感じ・・・このデザインのセンス・・・嫌いじゃない。
嫌いじゃないけど・・・これは人ではなくなってしまった気がする・・・これは・・・魔物?改造人間?
しかもこのままでは困るし・・・。
「あのさ戻り方って・・・?」
「ない」
「えっ困る・・・ご飯とか食べづらそうだし寝る時もトゲトゲした感じが布団に穴あけそうだし・・・」
「ご飯もいらんし寝なくても大丈夫だぞ。そういう風に改造しておいた」
「え?ご飯食べれないの?それはちょっと・・・」
「食べれなくはない・・・食べなくても大丈夫なだけだ。それにどのみちその姿でいられるのは3分だけだ。3分経てば勝手に元に戻るし1回変身したら24時間は再び変身することは出来ん」
1日に3分間だけってあんまり使えないな・・・まあ使わなくていいけど。
「勇者出現!勇者出現!」
勇者出現を伝える使い魔の声。
「ドルドレイ南風の塔水色の勇者出現」
「リオンよ早速出番だ!今すぐ勇者を殲滅してくるのだ」
今すぐ・・・。
「待て待て今さっき変身したばっかりだから変身できなくない?」
「・・・・」
「・・・・」
しばらく続く沈黙。
「・・・・問題ないそのままでも十分強くなっている」
「本当か?本当か?変な間あったし不安しか無い」