恒例行事 鑑定の儀
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領都カマクラは、まだ新年の祝賀の余韻を残しつつも、アケト・ミナモトが示した壮大な未来図に向かって、確かな一歩を踏み出していた。
厳しい冬の寒さは続いていたが、人々の心は、新しい国「日の本国」の誕生と、アケトが語った「総構え」という壮大な夢への期待で熱く燃えている。
「おい、聞いたか?アケト様は、この国全体を巨大な城にしちまうつもりらしいぜ!」
「イズの街がその始まりになるんだと!俺たちの手で、鉄壁の国を作るんだ!」
鍛冶場では新しい農具や武具が力強く打ち鍛えられ、オラライの商店は物資を求める人々で賑わい、子供たちは雪合戦の合間に「俺は朱備えに入るんだ!」「私は蒼備えでアオイ様のお手伝いをするの!」と未来の夢を語り合っている。
その活気は、まさに新しい時代の胎動そのものだった。
アケトは、その日、早速ルカオン、そして測量や設計の知識を持つ数名の村人を社務所に集めていた。
卓上には、イズを中心とした広大な地域の精密な地図が広げられ、アケトの指が、そこに幾筋もの線を描き出していく。
「…イズの街の北側にはこの天然の丘陵地帯を活かす。東側は湿地帯を利用して広大な堀と防塁を。
そして西と南には、何重もの城壁と監視塔を…」
その構想は、まだほんの始まりに過ぎない。
だが、彼の頭の中には、何十年後かの、敵の侵入を一切許さない鉄壁の国土の姿が、鮮明に映し出されているかのようだった。
「ルカオン兄さん、まずはイズ周辺の正確な測量と地質調査が必要だ。
黒備えのゼファーやルナにも協力してもらい、詳細なデータを集めてほしい。
それに基づいて、最初の防衛ラインの設計を具体化する」
「おうよ、任せとけ、アケト!」
ルカオンは、その壮大すぎる計画に目を輝かせている。
「考えただけでもワクワクするぜ!
国全体が城だなんて、誰も思いつかねえようなことを、俺たちの手でやるんだからな!」
その言葉には、ミナモト豪族の、そして日の本国の未来を自らの手で切り開くという、力強い意志が込められていた。
アオイもまた、アケトの「総構え」構想の実現には、まず何よりも安定した食料供給体制の確立が不可欠であると理解し、シャナイアやステフィ、そして新しく農業指導チームに加わった若者たちと共に、イルーガ、ザンバ、スラカン各村での農業改革計画を具体的に練り始めていた。
「ザンバ村の湿地帯での稲作は、水路の整備と品種改良が鍵になりますわね。
ステフィさん、イルーガでの牧草栽培の経験を活かして、稲の裏作としての飼料作物の栽培も検討できませんこと?」
「はい、アオイ様!それなら、家畜の飼育もより効率的に行えますし、土地を無駄にすることもありません!」
彼女たちの会話もまた、新しい国造りへの情熱と、民の暮らしを豊かにしたいという強い願いに満ち溢れていた。
領都カマクラ、そして日の本国全土が、アケト・ミナモトの示した壮大な未来図に向かって、力強く、そして着実に動き始めた二日目の朝。
その道のりは遠く、険しいものであることは誰もが理解していた。
だが、彼らの心には、かつてないほどの希望と、そして何よりも、この若きリーダーと共に新しい時代を築いていくのだという、揺るぎない確信があった。
◇
新年恒例となった鑑定の儀は、日の本国の人口が増加したため、今年から領都カマクラの日ノ本神社と、イズの街の神殿の二箇所で執り行われることとなった。
カマクラには近隣のドリマ村やイルーガ村から、イズにはザンバ村やスラカン村、そして港町キンテロからも多くの人々が集まり、新たな才能の誕生に期待を寄せている。
その賑わいは、ミナモト豪族の勢力拡大と、その統治下で暮らす人々の希望を象徴しているかのようだった。
アケトはカマクラで、ダンテはイズで、それぞれ鑑定の儀を厳粛に執り行う。
「皆、新年あけましておめでとう!この新しい年も、我が日の本国に多くの才能が芽吹かんことを!」
アケトの若々しい、しかし威厳に満ちた声が、カマクラの日ノ本神社の境内に響き渡る。
今年もまた、能力豊富な若者が多数見出された。
「職業、『重盾兵』!魔力610!スキル『アイアンウォール』『挑発』!」
「おお!魔力600超えのタンク役か!朱備えの貴重な戦力になるぞ!」
「職業、『工兵技師』!魔力450!スキル『罠設置・改』『構造解析(初級)』!」
「これは黒備え向きだな!ルカオン殿の下で大きな力となるだろう!」
「職業、『交易商人見習い』!魔力380!スキル『鑑定(初級)』『交渉術(初級)』!」
「内政向きの才能も来たか!オラライ殿も喜ぶだろう!」
武力系だけでなく、内政や生産を支えるであろう多様な才能が、まるで約束されたかのように次々と開花していく。
その多くが平民の平均魔力100を遥かに超える600前後の魔力を持つのは、もはや驚きというより、日の本国の日常となりつつあった。
シュートの導入した魔力訓練と、アオイの『豊穣』による豊かな食事が、この奇跡を現実のものとしていたのだ。
会場は、新たな才能の誕生に何度も大きな歓声と拍手で沸き立った。
そして、一般の子供たちの鑑定が一通り終わった後、アケトは一人の青年を皆の前に促した。
先のコライス軍との戦いでカマクラに帰順し、アケト直属としてその忠誠と能力を試されてきた、
十騎士家アストレア家の子息、ルーク・フォン・アストレア。
彼は今年13歳になるが、まだ正式な鑑定の儀は受けていなかった。
「次に、ルーク・フォン・アストレアに鑑定を受けてもらう」
アケトの言葉に、境内の視線が一斉にルークへと集まった。
元敵国の貴族、しかも十騎士家という名門の出身である彼が、どのような結果を示すのか、誰もが固唾を飲んで見守っている。
ルークは、緊張した面持ちながらも、その背筋は真っ直ぐに伸び、瞳にはミナモト豪族への忠誠と、自らの未来への期待が宿っていた。
「ルーク殿、本人の申告では騎士であったな。
だが、この鑑定の水晶は、お前の真の力を示してくれるだろう。
恐れることはない、ありのままを受け入れよ」
アケトは、静かに、しかし力強く彼を励ました。
「…はい、アケト様」
ルークは、一度深く息を吸い込むと、決意を込めた表情で水晶に両手を置いた。
瞬間――パアアアアアアッッ!!!
水晶が、これまでアケトやアオイが見せた光とも、他の子供たちが見せた光とも異なる、荘厳かつ清浄な、白銀の光を激しく放った!
その光は、まるで天から降り注ぐ聖なる柱のように、まっすぐに天を指し、見る者全ての心を浄化し、同時に奮い立たせるような、圧倒的な神聖さを感じさせた。
「こ、この光は…!?なんと清らかで、力強い…!アオイ様の光ともまた違う、神聖な輝きだ…!」
「まさか…これほどの魔力を秘めていたとは…!」
村人たちが息を呑んで見守る中、光がゆっくりと収束し、水晶の表面に、黄金色に輝く文字が荘厳に浮かび上がった。
神官が、驚きと畏敬の念で震える声で、しかしはっきりと読み上げる。
「職業:『聖騎士』!!」
その言葉に、境内は一瞬の静寂の後、爆発的な歓声に包まれた。
「せ、聖騎士だと!?」
「伝説に聞く、神に仕えし聖なる騎士か!」
「まさか、我が日の本国に、聖騎士が誕生するとは!」
その響きは、単なる強力な戦士というだけでなく、何か特別な使命を帯びた存在であることを予感させた。
ルーク自身も、信じられないといった表情で自分の両手を見つめている。
(聖騎士…私が…?騎士ではなく、聖騎士だと…?これが、私の真の力…)
「魔力:1336!!!」
「い、いっせんさんびゃく!?ライカ殿に迫る高魔力ではないか!」
「やはり、貴族の血筋は違うのか…いや、それだけではない!この方は本物だ!ミナモト様を選ばれたのも必然だったのだ!」
その数値は、先の鑑定で規格外の結果を出したライカに匹敵するものであり、ルークの持つポテンシャルの高さを改めて示した。
「スキル:『聖盾守護』!『破邪顕正の一撃』!」
「聖なる盾で仲間を守り、邪を打ち破る一撃を放つ…まさに聖騎士にふさわしい、攻守に優れたスキルだ!」
「これほどの守護者がいれば、『備え』の力も格段に上がるぞ!」
鑑定結果が出た瞬間、ルークは感極まったようにその場に膝をつきそうになったが、アケトの力強い視線に気づき、ぐっと踏みとどまった。彼の目には、新たな使命への覚悟と、アケトへの揺るぎない忠誠、そしてこの日の本国に全てを捧げるという強い意志が、白銀の光のように燃えていた。
鑑定の儀が終わった後、アケトはルークを社務所に呼び、改めて言葉をかけた。
「ルーク、見事な結果だったな。『聖騎士』…お前の誠実さと、弱き者を守りたいというその強い意志が、その聖なる力を引き出したのだろう」
「アケト様…」
ルークは、感激に声を震わせながら深々と頭を下げた。
「この力、必ずや日の本国と、アケト様、そしてアオイ様がお守りする民のために使わせていただきます。この命に代えましても」
「うむ。その忠誠心、そしてその力、我が日の本国のために存分に振るってもらいたい」
アケトは、ルークの肩に手を置いた。
「お前の今までの真摯な態度、そしてそのスキルから判断して、ルーク、お前にはアオイ率いる『蒼備え』に所属し、その防御の要となってもらう。
特に、アオイやシャナイアが前線で結界や治癒を行う際の、直接的な守護、そして蒼備え全体の防御指揮を任せたい。頼めるか?」
「はっ!このルーク、アケト様とアオイ様のご期待に応え、必ずや蒼備えの盾となり、日の本国の守護神となってご覧にいれます!」
ルークの力強い返事に、アケトは満足げに頷いた。
アオイやシャナイアも、ルークという頼もしい聖騎士の加入を、心から歓迎することだろう。
こうして、アケトたちが11歳となった年の新年もまた、多くの才能が開花し、日の本国の人材層はさらに厚みを増したのだった。
特に、聖騎士ルークという新たな力の加入は、来るべきコライス子爵との決戦に向けて、国の守りをさらに固くする大きな希望となるに違いなかった。
【ミナモト豪族 三つの『備え』メンバー】
1.朱備え - 主力攻撃部隊
* リーダー: アケト・ミナモト
* 中核メンバー:
* ブレディ (『炎剣士』)
* ジャン (『紅蓮弓騎』)
* ライカ (『ゲイルブレード』)
* バルトス (手槍を得物とする精悍な青年)
* エルミ (長剣を腰に差す凛とした雰囲気の女性)
* ライラ (弓を得物とする快活な少女、ジャンの幼馴染)
2.蒼備え - 攻撃補佐、回復、後方支援部隊
* リーダー: アオイ・ホウジョウ (『妖狐巫女』)
* 中核メンバー:
* シャナイア (『聖泉の癒導師』)
* リリー (『清流の恵手』)
* ケイレブ (澄んだ癒やしの魔力を持つ気弱そうな少年)
* アルド (落ち着いた物腰で補助魔法を得意とする青年)
* ルーク・フォン・アストレア (『聖騎士』、防御の要として新たに配属)
3.黒備え - 工兵作業、偵察、特殊任務部隊
* リーダー: ルカオン (『穴太衆』)
* 中核メンバー:
* キャシー (『くノ一』)
* ジョバンニ (経験豊富な猟師、黒備えの補佐・顧問的役割)
* ゼファー (俊足と隠密行動を得意とする鋭い目つきの青年)
* ルナ (物静かで情報収集・分析能力に長けた知的な瞳の女性)
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