初めてソロでモンスターを倒すのに1日かかりました
「落雷攻撃回避した上で二人助けてとかどんな反射神経してんだよ……本当に同じ人間か?」
「リリースからニヶ月経つけど未だにチートの報告ないから素の技量でアレやってるっぽいから人間だな」
「見えてる世界が違うんだろうなぁー……!くっそ羨ましい!!」
一瞬の救出劇に周囲のプレイヤーから驚愕と羨望の入り混じった声が飛び交う。その中心にいるミサさんは小脇に抱えた状態のプレイヤー達をゆっくりと手放した。
「すんません、助かりました。ありがとうございます」
「ありがとうございますありがとうございますありがとうございます……!この御恩は一生忘れません……!」
「お気になさらず。それよりも貴方達、離れていた方がよろしくてよ」
「え?それはどういう――」
その時、ミサさんに助けられた女性プレイヤーの声を遮るように周囲からどよめきの声が上がった。
「――おいなんか急にヘイトが向いたぞ!?」
「周りを飛んでる小鳥もこっちに飛ん、でき…………待って待って待って待って!!ぜんっぜん小鳥じゃないじゃん!!」
「ダチョウくらいのサイズあるじゃねぇか!?」
「ダチョウが小鳥に見えるくらい離れた上空に居たならそりゃ弓も届かねぇよ!!運営アホかよ!?」
天より飛来したトネルオラージュの周囲を飛び回っていた小鳥、改めダチョウサイズであった大きな鳥の群れが周囲のプレイヤー達を目掛けて雪崩のように襲いかかった。
プレイヤー達はそれぞれの得物を構えて殴り、切りつけ、刺し貫き、魔法を放って応戦する。
俺の所にも一体飛んで来たのでブロンズソードで思いっきり横一線に刃を振るうと、あっさりと倒れて動かなくなった。こいつ、見た目がデカい割にはめちゃくちゃ体力低いな?通常攻撃の一撃で倒せるのか。
というかこれ、何気にはじめてのモンスター撃破である。訓練で土人形は倒したけどあれモンスターではないからな。リペアドランに至っては撃破出来るレベルじゃないのでそもそも論外。
倒したモンスターは……あ、これ即座に素材に変換されないタイプか。剥ぎ取り式か?ミサさんも直接剥ぎ取ってたからな。いやあれが正しいやり方なのか知らないけど。倒したり弱らせて捕獲する前に素材を身体から直接剥ぎ取るのはどうなんだろうな。まあ出来てるってことはそういう方法もOKなんだろうが。
動かなくなった鳥のモンスターに近づくとステートウォッチがチカっと発光し、ウインドウが表示される。
『雷鳥フードゥルを【亜空間箱】に収納します』
その表示の直後、自動で亜空間箱が開いてあっという間にフードゥルを収納してみせた。
どうやらLDDは剥ぎ取り式でもなく丸ごと収納式らしい。周囲を見るとプレイヤー達はこの雷鳥フードゥルを倒したそばから慣れた手つきでステートウォッチをかざして即座に収納している。
これ収納したモンスターはどうなるのか気になる所だ。しかし考える暇もなく続けざまに別のフードゥルが襲いかかってきたので、胴体目掛けてブロンズソードを袈裟斬りにして撃退する。まあとりあえず倒して収納しておけばいいか。




