万雷の拍手
『Lucid Day Dreaming運営事務局です。《Lucid Day Dreaming》のプレイヤー総数が現時刻をもちまして1000万人を突破いたしました。サービス開始以降ご利用いただいております皆様に、心より感謝申し上げます』
「プレイヤー人数1000万人突破ってすごいの?」
「日本国民の10人に1人は遊んでるって考えるとすげーんじゃねぇの?LDDって別に国内専用じゃないから一概には言えんけど」
「1000万人とかヤバ!でもそんな人いる感じしなくない?」
「なんかログイン時にその都度自動でサーバー振り分けられるんじゃなかったっけ?ログイン場所が近かったり、そのサーバー内で知り合ったプレイヤーがいるとログを参照して勝手に同じサーバーに振り分けられるとか記事で読んだけど」
周囲のプレイヤーもステートウォッチを起動して運営事務局から送られてきたメッセージを確認している。文言から察するにDL記念のイベントか配布でもありそうだなこれ。配布っていっても何を配布するのかわからんけど、まあ無難にゲーム内通貨とかだろうか。
『これを記念しまして、現在までにプレイしていただいておりますプレイヤー全員へ100万Gを配布致します。今後とも《Lucid Day Dreaming》をよろしくお願いいたします。』
「給付金キタ――!!」
「ラッキー、これで金策クエストやらなくて済むわ」
「そこ1000万人突破に合わせて1000万Gじゃないんだ」
「1000万Gだとゲームバランス壊れちゃうでしょ。初心者脱出装備を一式揃えるのにだいたい100万Gなんだからいい塩梅じゃない?」
「泡銭ゲットしたら賭場に向かうしかねぇよなぁ!?ルーレットで倍々ゲームだぜ!!」
「ちょっ!?またカモられにいくつもりかよ!?」
突然運営からもたらされた給付金に歓喜に湧くユーザー達。100万Gはありがたいな。金はあって困るものじゃない、なくて困る事の方が多いからあるに越したことはない。
運営事務局からのメッセージを読み終わり、ウインドウを閉じるとステートウォッチが一瞬発光した。ステータスを見ると所持金に100万Gが追加されている。即時入金、仕事が早いなこの運営――と、関心した直後だった。
『GIIYAAAAAAAAAAAAAAAAA!!』
「きゃあ!!?」
「な、なんだぁ!?」
「なんか外暗くね?」
「雷めっちゃゴロゴロ鳴ってんのヤバ」
突如としてギルドの外から届いた怪物の雄叫びが自身を含めたプレイヤーの不安を煽る。
なんだ?何が起きた?街中なのにモンスター?さっきの運営からのメッセージと関係あるのか?
そんな連鎖する疑問をまとめて解かすかのように、ステートウォッチがまるで警告を示すかのように赤く発光し、ひとりでにメッセージを投影してみせる。
『只今より【戦戟万雷トネルオラージュ討伐戦】を開始致します』
 




