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用意なき勇気

「リーラライフの言う通り、普通はやらない愚行も愚行だよ」



どうやらあまりよろしくない選択を選んでしまったらしい。やれやれと目を伏せ、溜め息混じりに頭を振るヴィレジャスさん。

しくじったな、NPCからの好感度はLDDにおいてかなり大事な要素なのに軽率な行動すぎたか。



「……だが時には破滅と隣り合わせの道を進まなければ得られないモノがあるのも事実。かつての私もそうだった」



握る刀に視線を落としながら、ヴィレジャスさんはポツリと呟いた。ダメかと思ったけど流れ変わったか?まだここから入れる保険はありそうか?



「無茶をする馬鹿は嫌いじゃあない。だが、然るべき時ではないのに己を粗末にする馬鹿は大嫌いだ。無計画の勢いだけで行動するのはやめときな。用意のない勇気は只の蛮勇でしかないよ」


「……はい、すいませんでした」



かなりの頻度でノリと勢いで行動する俺には心の奥底まで深く突き刺さる言葉だった。



「しかしお前さんが『雪月天』を引き抜いたのは事実。リスクを承知の上で踏み込んだ気概はあまり褒められたもんじゃないが、一概に悪いというわけでもない。……そうさね、()()()()()()、お前さんに預けてみるのも一興かね」



そう言うとヴィレジャスさんは刀を台座へ戻して工房へと姿を消した。そしてすぐに戻ってくると、その手には『雪月天』と同じく純白の鞘に収められた一振りの剣が握られていた。



「こいつは私が『雪月天』を完成させるまでに試作した武器の一つ。銘は『瑞氷(みずひ)』で『雪月天』と同じく『白氷光晶』で鍛錬した両刃剣さ。ただし『白氷光晶」は『雪月天』が純度100%に対して『瑞氷』は10%程度で残りは『雪華岩』との合金だから威力も性能もまるで別物だがね」



純白の鞘からヴィレジャスさんが柄を握って引き抜くと、『雪月天』とは異なり透明ではない真っ白な刀身が姿を顕した。いや、よく見ると両刃剣の片刃の部分だけが透明になっているな。



「『雪月天』は持ち主から吸収した魔力を斬撃に合わせて飛ばしたり、魔法を刀身に帯びさせたり出来るが、『瑞氷』の場合は持ち主の魔力を吸収して片刃の切れ味が増す程度でしかない。だが鋼鉄製の鎧を濡れた紙を裂くように裁断出来る切れ味を備えてる。お前さんが今腰に差しているブロンズソードと鍔迫り合いする間もなく真っ二つにするのは造作もないことさね」

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