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鍛冶職人ヴィレジャス

「ほな雨模様で立ち話もなんやし、はよう店行こか」



超長身のレベさんも余裕で入れる巨大な扉をリーラライフさんが押し開くと、扉の上部からカランコロンと鐘の音が鳴り響く。



「ごめんやす」


「こんにちはー!」



レインコートを脱ぎながらリーラライフさんが先頭で入店し、傘を閉じたレベさんもジメジメとした鬱屈な空気を吹き飛ばしてみせるかのような元気で明るい挨拶と共に入店。もしかして挨拶しないと粗相判定なのだろうか?一応俺も二人に倣って挨拶しておくか。



「お邪魔しま――ぁスッ!?!?」



会釈と挨拶をしながら店内に足を踏み入れようとした途端、足元へ漆黒の短剣が床板に深々と突き刺さった。理由は不明だがとりあえず何かをやらかしたらしい。片足を浮かばせたまま立ち止まる俺。あのこれどうすりゃいいんですか?



「リーラライフ、レヴェリング、そのずぶ濡れの小僧はなんだい?そんな塗れ雑巾みたいな格好のヤツを店内に入れるんじゃあないよ」



突然の出来事に困惑していると、店の奥から老練な女性の声が飛んできた。大阪の道頓堀の看板に描かれているキャラクターと同じようなポーズで未動きの取れない俺は、声の発信源へと顔だけ向けた。するとそこにはかなりラフな格好でオーバーオールを身に纏った茶髪の若い女性NPCが立っていた。

……あれ?若い女性?さっきの声の主とは別人なのか?



「まぁまぁ、そない怒らんといてヴィレジャスはん。それより対雨装備か雨具、売ってくれへん?ご覧の通り困ってるんよ」


「今は両方在庫切れだよ」


「ほなら乾いた布とかでもええんやけど」


「…………、フィー!」


「お師匠様、お呼びですかぁー?」



老練な声はヴィレジャスと呼ばれた女性の声らしく、うら若い見た目と長い年月の積み重ねを感じる声音のギャップに戸惑っていると更に別の声が店内に響いた。お師匠様という受け答えから、彼女の弟子であろうフィーという名のエルフが桃色のポニーテールを揺らしながら駆け寄ってくる。



「工房から適当に乾いた布持ってきてそこの濡れた小僧に渡してやんな」


「はーい」



トテトテと店の奥へと引っ込んでいったフィーさんは、暫くして大きな布を抱えて戻ってきた。

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